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第3回定例会・「カーボンニュートラル(脱炭素社会)実現に向けた具体的な取り組みを」質問しました

9月8日、私が質問した内容と答弁をご紹介します。
 カーボンニュートラルに向けた具体的な取組みについてです。
 9月5日に世界の主要な医学誌であるイギリスの医学雑誌「ランセット」や「ブリティッシュメディカルジャーナル」などを含む世界の200以上の医学誌や健康関係の専門誌が地球の気温上昇を制限し、生物多様性の回復と健康を保護するための緊急行動を呼びかける共同社説を発表しました。
 共同社説は「人々の健康はすでに地球上の気温上昇と自然界の破壊によって、害をこうむっている」と述べたうえで、多くの政府が二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロとする取り組みは不十分であると指摘。そのうえで健康と環境の安定性に壊滅的な結果をもたらすと警告しています。
 世界では欧州グリーンディールや韓国ニューディールなど、景気回復や雇用創出、脱炭素を目指して政府レベルでグリーン・ニューディールの具体案が打ち出されています。またアメリカではバイデン大統領により、気候変動、エネルギー政策も約208兆円という大きな予算とともに具体案も示されています。
 こうした世界の動きや世論におされ、昨年10月に国は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること」いわゆる「2050年カーボンニュートラル」が表明されました。政府の第6次エネルギー基本計画素案では、再生可能エネルギーで発電した電力を優先的に使う原則が明記されましたが、十分な説明と具体的な施策はまだ示されていません。実態は発電量が過剰になると、まず太陽光や風力での発電が発電系統から外され、原発などの発電が最優先になっています。また基本計画素案では「2050年カーボンニュートラルには革新的な技術が不可欠」としながらも、現時点では実用化されていないけれど、新技術が実用化された場合を想定した計画も含まれた数値目標となっています。

 なぜ私たちは気候危機に取り組む必要があるのかといえば、2度気温が上昇すれば洪水にさらされる人口が2.7倍に増加し、サンゴの生息域は99%減少してしまいます。日本でも何十年かに一度とされる豪雨災害が毎年発生しています。目黒区では一昨年の台風15号19号の風水害の記憶が一番新しいと思います。その他に貧困層や女性はより気候変動の影響を受けやすいと言われています。女性は男性に比べ、非正規雇用が多いため、経済的な被害をより受けます。このような格差は気候変動の影響を受ける大きさも深くかかわっており、社会的に脆弱な立場にある人たちは、より大きな被害をうけることがわかっています。
カーボンニュートラルは地域全体で取り組んでいくべき大きな課題として逆算して計画を実行していく必要があります。
以上を踏まえて、大きく5点質問します。

1.ゼロカーボンシティ宣言せよ

 8月31日時点でゼロカーボンシティ宣言した自治体の数は1都3県の全市区町村の3分の1にあたる66市区町村にのぼっています。特別区ではすでに10区が宣言しています。

国がカーボンニュートラルを表明したあと、目黒区議会では今年の第1回定例会で3月に「目黒区ゼロカーボンシティ宣言の陳情」を採択しました。

環境省が示す「ゼロカーボンシティ宣言」とは「2050年に二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す旨を首長が宣言する、又は地方自治体として宣言する」としています。

「ゼロカーボンシティ宣言」は計画や具体的な数字をもたなければ宣言できないものではなく、外に向けて行う決意表明であり、区民や事業者への意識を変えるためにも必要な宣言でもあります。

住民、事業者、行政が一体となって地球温暖化対策のさらなる推進に向けた決意を示すものとして早く「ゼロカーボンシティ宣言」をするべきではないか伺います。


答弁 令和4年度の目黒環境基本計画改定とともに適切に検討する

2.学校施設更新計画のなかでゼロエネルギービル実現を位置付けよ

   目黒区環境基本計画では重点的に取り組むテーマとして「一人ひとりの自主的な行動をうながす」として個人の行動変容に重きをおいてきました。めぐろエコプラン3では「ゼロのZ、エネルギーのE、ビルBの頭文字をとって、いわゆるZEB化の検討」や「出来るだけCo2等の排出量が減るように削減努力をしても、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスについて、排出量に見合った削減活動に投資することにより、埋め合わせをするという考え方、いわゆるカーボンオフセットの検討」など新規取組内容として記述はあるものの、具体的な実現には至っていませんでした。

カーボンニュートラルを地域一体で達成するには区有施設での取り組みも求められます。今後の学校施設更新計画にゼロエネルギービル化を盛り込むべきだと考えますが伺います。

答弁 ゼロエネルギービル化を推進し、学びの場を創造していく。

3.ゼロエネルギービル化を導入してもらうため、区として積極的な取組みを。

ビルオーナーに対し、ゼロエネルギービル、ZEB化への積極的な働きかけはカーボンニュートラルの高い目標を実現するには不可欠です。

ZEB化を進める理由として、特に事務所ビル、商業施設などの建物での最終エネルギー消費量は、日本全体の約2割を占めており、エネルギー消費量の増加がもっとも大きくなっています。

そのため、建物でのエネルギー消費量を大きく減らすことができるZEB化の普及が求められています。

ゼロエネルギービルには創った電気で消費する電気をすべて賄う自己完結型のゼロエネルギービルや省エネしながら創った電気と消費する電気の差を25%以内まで縮めるビル、現在の電気の消費量を省エネのみで半分以下まで削減するビルなど、いくつか種類があります。

経産省が設置したZEBロードマップフォローアップ委員会が行ったアンケート調査によると、ZEB化の成功要因としてあげられていたのは、①ビルオーナーへの啓もう活動が効果的であった、②補助金の活用がPRになった、③エネルギーを減らすための技術、エネルギーを効率的に利用する技術の設計がうまくいったことがあげられています。以上を踏まえて2つ質問します。

(1)区内にある民間のビルは戸建てよりも太陽光パネルなどを設置しても耐震性に問題のないビルが多数存在します。民間の既存のビルオーナーがどの定義のZEBを導入するかはオーナーの選択になるわけだが、ZEB化のメリットを理解してもらうため、積極的な働きかけ、導入してもらうため積極的な取組をするべきだと考えますがいかがかでしょうか。

(2)区内で建てられる大規模なビル建設に対して、一定規模のビルについてはZEB化を導入してもらうための働きかけを区として取組む必要があると考えますが、いかがかでしょうか。

答弁 区として検討していきたい

4.ZEB専門担当者を設置せよ


  経産省が設置したZEBロードマップフォローアップ委員会が地方公共団体におこなったアンケートのなかで、ゼロエネルギービル化を実現するための課題として最も多かったのが、「ZEB化実現のための専門的な発注ノウハウを持った職員がいない」という回答でした。専門的な知識を持った職員がいないことで周囲からの理解を得ることが難しい実態があります。ゼロエネルギービル、ゼロエネルギーハウスの専門的知識を持った担当者を事業が始まる前に設置できれば、区内事業者への積極的な働きかけや事業者の課題がどこにあるのか把握することができるというメリットもあります。区民からの問い合わせに身近な自治体が応えられる専門的知識を持った担当者がいるというのは重要です。ゼロエネルギービル、ゼロエネルギーハウスの専門的知識を持った担当者を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁 設置する予定はないが、職員の知識向上を図っていきたい。

5.地球温暖化対策地域協議会について

地球温暖化対策地域協議会は区民、事業者、エネルギー事業者、官公署、学校など大変多くの委員で構成されています。コロナ禍で全委員が参加する協議会の開催が難しくなっています。またエネルギー事業者、エネルギー専門の委員が同日程にオンラインであっても参加することも難しくなっています。

カーボンニュートラル実現に向け、協議会の役割を十分発揮してもらうために、必要な論議を進めるため、分科会なども設け、海外の再エネや省エネの事例などを紹介するなど様々な情報提供をしつつ、十分に論議できる時間をきちんと設けるべきではないかと考えますがいかがかでしょうか。

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