足らざるを生かす

あまりすべてが整いすぎると、足らざるを補う努力の大切さが忘れられ、また、どのように適材を適所に生かしたらいいかと苦心するおもしろ味もなくなってしまいます。
将棋の極意は「足らざるをもってやる」ことだと言います。大山康晴名人は「アマチュアは飛車や角は大事にするが、歩を粗末にする。プロは歩を大事にする。歩の使い方で他の駒の働きが倍加する。将棋を人生に見立てると、歩の使い方の巧拙が成功の鍵を握るのではないか」と言っています。足らざるを嘆くか、足りないところを生かすか、その人の心次第です。

『開祖随感』1964年(昭和39年)

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