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キティちゃんは「感染症」とは言わない。ピューロランドのいまをレポ

こんにちは、Comexposium Japan 代表・古市優子です。感染症を巡る状況は相変わらず日々動いていて、まだまだ目まぐるしい状況が続いていますね。

そんなコロナではありますが、日本でも大きな問題となってきたタイミングの昨年の3月、私はこんなnote記事を書いていました。

この時、中止したイベントの代替コンテンツとして企画したweb講演に登壇してくださったサンリオエンターテイメント小巻亜矢社長率いる「サンリオピューロランド」に先日行ってきました!コロナのニュースが出始めてすぐに長期の休館を決定したサンリオピューロランドも予約制で1日の来場人数制限付きではありますが、再開しています。まだまだ続くこの状況下で体験型のエンターテイメントはどうなっているのか、レポートしていきたいと思います。うちのイベントでもマネできるところは真似するぞ、と意気込んでいったのですが最後は来園者として純粋にはしゃいですごーく楽しんでしまったので最後はサンリオファンのレポになります、笑

来園者を身構えさせない検温

まず館内のいたるところに消毒液が設置してありました。ここにもキティちゃんがいるのがさすがですね!

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……なんで当たり前にあるだろう消毒液の話からしたのか。

実は、入場時の「検温システム」に私が全っっっく気がつかなかったのです。ランドの方に伺ったところ、入場ゲートのところにAI搭載のカメラが目立たなく設置してあり、そこでチェックしているのだそう。飲食店でスタッフの人が体温計でピッとやってくれたりするとき、あるいはビルの入り口なんかで「カメラがあるなー、モニタリングしている人がいるなー」というのに気づいたときに、自分の体温が高くないかちょっとした緊張を覚えた経験ないでしょうか?しかし、ピューロランドではなんと気づかない。そのあたりはコロナを必要以上に意識させないような仕掛けを工夫しているのかな、と感じました。

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館内のゴミ箱も蓋が固定されていてゴミ捨ての度に蓋に触れなくていいような心遣いがされていました。

キャラクターは「コロナ」「感染症」とは言わない

サンリオピューロランドの見所はなんといっても館内に複数あるシアターで1日何演目も開催されるショーです。ミュージカル仕立てのものや、キャラクターが客いじりをするトークショー的なものまで様々な種類のショーが上演されています。もちろん、今までなら「一緒に歌って!」「名前を読んでね!」といった来園客も参加できるような構成です。

しかし、今は大きな声を出すのは厳禁。そこでキャラクターや司会者は

「歌ったり、拍手したり…あ!今は拍手だけでの応援だね!!」「今は一緒に歌えないけど」「大きな拍手で応援してね!」

といったセリフでコロナ対応な応援の仕方を教えてくれます。大人だけのビジネスカンファレンスなら「お静かに」などの控えてもらいたい行為を伝えるだけでいいのですが、たくさんの小さな子もいるテーマパークではこのように「代替手段」を積極的に提案してくれるのだなと勉強になりました。そして、この代替の応援方法を教えてくれるときに「コロナ」とか「感染症」とキャラクターは絶対に言わないんですよ。エンターテイメントと日常の線引き、すごーくうまく工夫してあるのだなぁ。

それと普段、大人しか来場しないビジネスイベントばかり主催している身としては「3歳以上の方はマスクをしてください」というスタッフの方の声かけも新鮮でした。乳幼児はマスクしないですもんね。

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ピューロランド限定で登場するウィッシュミーメルちゃんの演目、以前はパレード形式?だったみたいですが今はショー形式。近くで見られる分、ファンには嬉しいかも?

「愛のある観客」限定のイベント30周年パレード

サンリオピューロランドは1990年の年末に開園し、今はまさに30周年を迎えたばかりのアニバーサリーなタイミングです。その30周年を記念して開催されているパレードが30th Anniversary Parade 「Hello, New World ~虹を、つなごう~」です。このパレードはクラウドファンディング形式でファンからの応援を募って製作されたものです。(クラファンのページの文章もとっても胸にくるのでぜひ読んでみてください https://motion-gallery.net/projects/spl-ohl

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あれ、これってまさに昨年末に私がお話した「愛のある観客」のためのイベントなのでは……?クラファンで出資するほどの愛!現地での観覧についても、パレードは閉園後の開催のため入園料とは別に指定席観覧チケットを購入する必要があります。おお、まさに「愛のある観客」限定のイベント!

正直、ピューロランドとしてはなかなか心苦しい判断だったと思います。アニバーサリーのパレードですから、1人でも多くの来園者にみてもらいたいに違いありません。コアなファン向けの指定席を作ったとしても、フラッと来園した人も観られるようにしたかったはず。それでも今はギューギューの立ち見で見てもらうわけにはいかない、限られたランドのスペースに密にならないよう観覧ポイントを割り振るしかない。その判断は苦渋の決断だったといっても過言ではないのでしょうか。

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観覧エリアの床には番号が割り振られていて観覧客はチケット記載のスポットに座ります。

そして、そのパレードはとっても素晴らしいものでした。30周年の歴史を振り返るのはもちろんのこと、今の状況をキティちゃんをはじめとするキャラクターたちが悩みながらも受け止めて、タイトルにある通り「Hello, New World」という気持ちを表明します。

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これ以上書くとネタバレになってしまうのですが、サンリオピューロランドに足を運ぶ機会があれば是非観てほしいです。

今回、サンリオピューロランドに訪問してみて、エンターテイメントの現場でのコロナ対応は幅広い客層への配慮や世界観の維持などビジネスイベントとは違う視点での工夫があるのだと目の当たりにしました。そして「愛ある観客」向けのイベントとしてはひとつの成功例なのではないかと感じました。感染症を世界が乗り切ったらピューロランドはまた違うアプローチでエンターテイメントを提供していくのかもしれませんが、少なくとも今時点では非常に参考になりました。何より、純粋にとっても楽しかったです!

おまけ

お土産のマイメロちゃんもマスクしてます。


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