“Mucho Trabajo Poco De Dinero” ムーチョ トラバホ ポコ デニーロ
日本レストランで働いていた時のこと。
キッチンにメキシカンの男性が何人か働いていた。
日本語が飛び交う中で、彼らは黙々と働く。
私が彼らから初めて教わった言葉。
「ムーチョ トラバホ ポコ デニーロ」
“Mucho (たくさん)Trabajo(仕事) Poco (少し)De Dinero(お金)”
「どんなに働いても手にするのはわずかなお金」という意味である。
なんと、メキシコではこの言葉が題名になっている歌があるではないか!
MikkiMというアーティストの曲。
言葉がわからないから意味は不明だけれども、リズミカルに楽しそうに唄っているように聴こえる、明るい曲である。
そういえば、彼らがこの言葉を大声で発している時にも悲壮感はまったくなかった。自分たちを鼓舞していたのだろうか、わからない・・・
とにかく、この言葉を毎日のように大声で発していた。
その中のひとりが仕事を辞めて家族が待つメキシコへ帰った。
数カ月後、再度NYへ戻り元職場に顔を出した彼は新調した真っ白のジャケットを
着ていた。何年もの間仕事を掛け持ちし働いて貯めたお金で故郷に家を建てた、
と話す彼はとても誇らしげだった。
毎日、“Mucho Trabajo Poco De Niro” と声を張り上げ、家族の為に家を建てたというのだ。やはり、あの言葉は自分を鼓舞していたのだろうか。
彼の生命力とパワーを感じた。
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