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THE DEAD DON'T HURT by Viggo Mortensen



 パンデミック中に認知症の父への思いを綴った『THE FALLING』で監督デビューしたヴィゴ・モーテンセン。『THE DEAD DON'T HURT』は監督作2作目だ。なんとこれはアメリカ開拓時代が時代設定のウエスタン(?)だが、カーボーイとインディアンという常識的なウエスタンではない。
 まず主人公が女性、リヒテンシュタインの誇る名女優ヴィッキー・クレイプスがヴィヴィアンを演じる。時は1860年代、彼女はフランス系カナダ人という設定で、ヴィゴ演じるデンマークからの移住者ホルガーと出会い恋に落ち、町からはなれたネヴァタ州の山麓で暮らすことに。生計を立てるためにホルガーは兵士を志願し独立戦争の戦場へと出征し、ヴィヴィアンは孤独に耐えながらもバーで働きながら自立で生計を立てる。



 物語は開拓時代の厳しい生活環境の中でたくましく生きるヴィヴィアンを追うが、彼女さえも男性社会の厳しい現実に直面しなければならなかった。そして帰省したホルガーも彼女の傷を分かちあうことに。
 核にあるテーマは女性の自立とサバイバル。これをウエスタン映画で描きたかったヴィーゴの真意はいかに?ヨーロッパでもっとも注目される女優のひとりクレイプスも、これまでやったことのないウエスタンというジャンルに惹かれたという。そもそもは若手男優をホルガー役に抜擢していたが、キャンセルされ自らえんじることになったという裏話を、上映会で話してくれた。
 自然と人間のかかわりなどをふんだんに織り込み、いかにも彼らしいやさしさあふれる映像作りが、テーマと対照的に使われ魅力的だ。



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