O006-_もぐら_1982_5

渡辺尋志  桜井さんのこと#2

土竜の彫刻

造形大学には沢山の猫がいました。特に研究室(先生方が常駐するアトリエ)では常に5~6匹の猫たちがおりました。そして、石切り場(石彫専門の作業場所の名称)にも猫が1匹おりました。櫻井さんもしかり猫が好きだったのだと思います。ここの猫がとんでもないものを捕まえてくるのです。例えば石切り場から200mもあろう鶏小屋から牝鶏をくわえて運んでくるのです。そして最も多く捕まえる獲物に土竜がいました。櫻井さんはその獲物をしっかり観察して石で作っていたのです。実物大の大きさで手のひらに載せて嬉しそうにはにかみながら私たちに見せてくださいました。インド産の黒御影石で作られた生き物はまるで命を吹き込まれたかのような艶とフォルムがありました。普段裸婦ばかり作っている桜井さんがそれ以外のモノを作ったことが皆驚きで、またその技量の高さに驚かされました。

初めての個展?

記憶が曖昧ですが、35.36年前だと思います。櫻井さんが初めて?個展を開催すると案内され見に行ったことがあります。たぶん中央線沿線のどこか(国分寺だったかな?)の駅前だったと記憶しています。ここでも桜井さんの別の一面を見ることになります。なんと、猫の作品があったのです。形を単純化しデフォルメして何とも言えない猫らしい猫を作っていました。たぶん会場は喫茶店だった記憶があります。その会場に溶け込んでとても自然に存在していたように心に残っています。ほとんど毎日登校していた私は櫻井さんが作っている作品を常に見ていたつもりでしたがいつの間にか個展に並ぶ作品群を作っていたことにもとても驚きました

                     20202.2 加筆・訂正      渡辺尋志

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

↑写真 モクラ このモグラは、手元には残念ながらない。備前焼と、石膏のモグラが存在し、備前焼のは、今NishiIma25で展示中(2020.2月現在)

画像1

写真↑@NishIma25  2019.12 ドンベイ

画像2

↑渡辺さんがご覧になられた展覧会でのドンベイ

DSC_9391 Zokeidai gakusei 忠良さんと-S

↑ドンベイも写っている  左から2番目佐藤忠良先生3番目桜井敏生みんなドンベイが好きだったのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?