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特例子会社のストに思う

先日、光学機器メーカーオリンパスの特例子会社、オリンパスサポートメイトの社員が生活できる賃金への引き上げを求めて終日ストライキがありました。

特例子会社とは、障害者雇用の促進を図るために設けられた会社で、障害者が働きやすいための設備や人材配置が一般の企業よりも行なわれていることが一般的です。仕事内容は、バックオフィスの業務や清掃などが切り出されることが多く、昨年のコロナ禍やDXの影響を受けて、業務の切り出しに苦しんでいるところが多く見られます。

今回のストでは、特例子会社の社員は「賃金が最低賃金レベルで生活が成り立たない」と話しており、月額1万円の賃上げを求めたようです。ストを行ったのは、労働組合「首都圏青年ユニオン・オリンパスサポートメイト分会」の組合員。

仕事はフルタイムで契約書のデータベース作成や翻訳などの事務的業務をして賃金は月額約17万円、手取りは約14万円、時給に換算すると1126円になります。

給与は仕事内容はもちろんですが、業界の水準なども大きく関わるので、一概にこの金額が高いか低いかについては、ここでは触れません。が、障害者雇用の給与を議論する時には、会社が障害者雇用おこなうときの環境整備のコストについても考えていく必要があると思っています。

障害者雇用を進める基になっている【障害者雇用促進法】の考え方も障害者雇用はコストがかかることを理解した設計になっています。障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定を図ることを目的としている法律で、障害の有無にかかわらずそれぞれの希望や能力に応じて、各地域で自立した生活を送ることができる「共生社会の実現」を目指すものとなっています。

この法律の中には、「障害者雇用納付金制度」が設けられており、この制度は、障害者の雇用にともなう事業主の経済的負担の調整するようになっています。障害者雇用は、設備や施設の充実を図ったり、雇用管理にリソースが必要になったりと、一般の雇用よりもコストがかかることが多く、このような事業主の負担を社会で連帯して負っていくという考えがあります。

そのため、障害者雇用が未達成の企業は「障害者雇用納付金」を納付し、徴収された納付金は、事業主が障害者雇用を促進するための作業設備や職場環境を改善するための費用や、雇用管理や能力開発をおこなうなどの各種助成金、雇用を多くしている事業主への調整金として支払われているのです。

つまり、障害者雇用促進法の中でも、障害者雇用は費用がかかるものであることが認識されていることがわかります。

このような背景を考えると、仕事内容と給与だけでは語れない部分もいろいろあると思います。もちろんそれは、環境整備にかかるコストだけでなく、多様な人がいることによって生まれる組織力などのプラスの影響もあると思いますが・・・。ここを経済的な側面だけで考えるのは、結構難しい問題だな~と感じてしまいます。


今の話、もう少し詳しく知りたい方は、こちらをみてください。


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