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なぜ、精神障害者の雇用は難しいのか?

なぜ、精神障害の雇用は難しいのか?

障害者雇用では、精神障害の雇用が難しいと言われています。その理由は、いくつかの要因があります。

主な要因となるのが、障害の特性が多様であり、一人ひとりの支援の必要性が異なるため、企業は個別対応が求められること、また、精神障害者はストレスや環境の変化に敏感で、職務継続が難しいことがあります。さらに、職場でのコミュニケーションや人間関係にも特別な配慮が必要で、この対応が企業にとって難しい・・・となることもあります。

精神障害は、その種類や症状の表れ方が非常に多様であり、個々の障害が雇用に与える影響も異なります。代表的な精神障害として、うつ病、双極性障害、統合失調症などが挙げられます。

また、最近多いのが、発達障害の二次障害で精神になる方です。

発達障害を抱える人々が職場等の環境に適応できず、結果として精神障害などの二次障害が現れるケースも少なくありません。発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが含まれます。これらの障害を持つ人々は、職場でのコミュニケーションやタスク管理に困難を感じることが多く、適応できない場合には、強いストレスや挫折感を抱きやすくなります。

大学等の学生生活では大きな支障がなかったものの、就職して社会に出てから大人の発達障害と診断されるケースも増えています。

精神障害者や発達障害を抱える人々が職場で直面する具体的な困難は多岐にわたりますが、主な原因となることが多いのは、次の点です。

・障害受容ができていない
障害を受け入れることができていないと、自分の限界や必要なサポートを正確に認識できず、結果として職場でのストレスが増大し、業務遂行に支障をきたすことがあります。たとえば、自分の障害特性に合わない業務を無理に引き受けてしまう、サポートが必要な場面で適切にサポートを求められないなどの問題が生じます。

・セルフコントロール
職場で働く際には、体調管理や自分の感情や行動を適切に管理するセルフコントロールが求められます。精神障害の人の中には、病気に対する認識ができていないと生活管理や服薬管理ができず、それにより体調管理や感情のコントロールが難しくなることがあります。このような状態は、仕事に影響を与えることになります。

業務に集中できない、生活リズムが管理できないために仕事中に眠くなる、急に休むなどの状況が発生すると、職場での理解を得られにくくなり、職場でのコミュニケーションが円滑にいかない、対人関係が悪化するといった問題に発生することがあります。

・体調不良
精神障害や発達障害を持つ人の中には、対人関係の構築が難しく、職場でのチームワークに支障をきたす場合があります。そのため職場の同僚や上司と円滑にコミュニケーションを取ることができず、誤解やトラブルが生じやすくなることがあります。

そして、それらが原因となりストレスやプレッシャーを感じるかもしれません。ストレスやプレッシャーに敏感な精神障害や発達障害の人は多く、これが業務の継続や一貫したパフォーマンスの維持を難しくすることに繋がることもあります。そのため体調を崩しやすかったり、予定している勤務時間がこなせないことがあります。

多くの企業は求職者の業務経験や知識、スキルに重点を置きがちですが、安定した長期的な雇用を目指すには、他にも確認すべき重要な点が存在します。それが「職業準備性」です。

ある企業では、過去に障害者を採用する際、一般的に重視されるスキルや経験に基づいて選考を進めていました。しかし、実際に雇用した後、一部の社員が体調管理ができず職場に定着できないケースが多発したため、現在では「健康管理」や「日常生活管理」といった職業生活の基礎となる要素も確認するようになりました。

スキルや経験は、適性さえあれば入社後に習得することが可能ですが、働くための基盤がしっかりしていなければ、業務そのものが困難となり、結果として長期的に安定して働くことが難しくなります。障害者雇用では、この「職業準備性」を重視しています。

障害者採用がうまくいない場合には、「理由」があります。それらの原因を理解して解決しないと、同じことを繰り返してしまいます。失敗を重ねると、社内での協力体制をつくることが難しくなります。

障害者雇用は、「障害者」だけに焦点をあてて考えがちですが、一緒に働く人が協力しやすい環境になっているかがとても重要です。


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