二度とない奇跡
私は、どんくさくて足も遅い子どもだった。
幼稚園の頃から、徒競走でも必死で走っているのにも関わらずほぼびりっけつだった。
それは、小学校に入学し、初めての運動会。
父は非常に心配していた。(またビリになるのか?)と。
「ユウコ、練習しよう!」と、近所の神社の境内に一緒に出かけ、特訓は始まった。とはいえもともと速く走れるわけでないから、基本的(?)な、スタートダッシュの仕方を教わる。
前傾姿勢で岩(神社なので豊富に岩がある)につかまり、腿上げ。
何日かその練習をした。
で、運動会当日。
よーいドン!
ともかく走り出す。
自分でもよくわからないけど、懸命に走った。
いつも人の背中を見て走っていたのが
ゴール!
なんと2位!
カメラを構えていた父は、まさか2位とはと思いカメラが追いつかなかった〜!と、笑い。
(ちょっとは撮れてたかな?もうわからないが、)
その奇跡は、たった一度だけだった。
翌年もそのまた翌年も、ビリ。
本当に奇跡だった。
その時あれほど早く走れたのはなんだったのか、今となっては何もわからない。
可哀想な私に、神様が一度だけくれた贈り物だったのかもしれないね。
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