人種差別の話
今日はいつもの男子ラクロスでなく、女子ラクロスの練習をカバーさせてもらいました。
女子ラクロスの担当のATはインターンの女の子で、まぁ実は私より年下だけどもちろんそんなのも関係なく、頼れる姉御肌でサバサバしてて話しやすくて、私はその子めっちゃ好きです。
雪がチラつく極寒の中、3時間のクソ長い練習を見ながら色んな話をしていました。その流れで彼女はこんな話をしてくれました。
「私は子供生みたくない。なぜなら子供に私みたいにつらい思いをさせるのが嫌だから」
え?なんで?どういうこと?何が問題なん?と聞いたら、さらに詳しく彼女が歩いてきた人生について教えてくれました。
彼女は母親が白人で父親が黒人だそうです。たしかに顔のつくりは黒人っぽい丸くて大きな瞳で、ボリューミーなカーリーヘア。肌は白人ほど白くないけど黒人ほど黒くない。それを聞いて、確かにこの子は黒人っぽい白人だなと最初なんとなく思ったことはあったけど、"ハーフ"だったんだ、と納得しました。
黒人差別の歴史について知識としてはもちろん知ってはいるけど、実際アメリカに来てから黒人だから白人と違う扱いを受けてる場面なんて1mmも見たことなくて、教育レベルの高いコミュニティだともはやそういうのって現代では問題じゃないのかなって思っていました。実感として特に気になることは何もなかったんですよね。
でも、おじいちゃんおばあちゃん世代では黒人を嫌う白人、白人を嫌う黒人という価値観でがっつり生きている人たちは結構いるらしく、どちらでもない彼女は両親両方の祖父母からかわいがられなかった、と言っていました。
子供のとき学校では黒人のグループからはお前は白すぎるから黒人じゃないと言われ、白人のグループからはお前は黒すぎるから白人じゃないと言われて、どのコミュニティにも属せなかった。私がfitする場所はなかった。
黒人か白人かって、やっぱり、アメリカ人にとっては非常に大きな問題みたいです。クラスメイトの白人の子は、「黒人と付き合っても別にいいけど、まぁ普通は選ばないかな」って言ってました。別の子は「私は気にしないけど、もし私が黒人と結婚とかしたらおじいちゃんに撃たれる」って言ってました。
アメリカの人種差別の歴史は根深くて、メディアや社会の風潮の力は文化を作り、その大きな力の前でほんの一個人には到底どうにもできないことがきっとたくさんあるんだろうなと思いました。
留学経験者の先輩からは、道を歩いてたら生卵投げつけられたことがあるとか、アジア人であることで差別を受けたことがあるという話も聞いていましたが、少なくとも私は個人的にこの街でそういった理由で悪意を向けられたことは一度もないし、そもそもアメリカ人ではないことで精神的な不利益を被ったことも特にないのですが、それはきっと守られた環境で分別のある行動を取れる人としか関わっていないからかもしれません。
人種差別だけではない。アメリカにはとても悪い側面がたくさんある。
仲のいいアメリカ人にこうやってはっきり言われると、もちろんどんな環境でもメリットデメリットはあるってわかってても、改めて「アメリカは別にアメリカンドリームの国じゃない」って冷静に実感してしまいます。
やっぱり日本は平和な国なんだと思います。
白人と黒人が子供を作ったら悲劇だ。だから子供は産みたくない。
そうは言ってももちろん普段は明るくて、普通に暮らしているように見えるけど、心の中で自分のアイデンティティをそんな風に否定して生きるのは苦しいだろうなと思います。
でも私は彼女のゴージャスな髪は美しいと思うし、まつげの長い大きな瞳はセクシーだと思います。何人だろうが私は好きな人は好きだし、素敵な人は素敵だと思うんです。You are amazing, just the way you are.だよ。
読んでいただき、ありがとうございます。いただいたサポートは、他のクリエイターを応援するために使わせていただきます。