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【みこAI】(゚0゚)ゲーデルは「自己言及性のパラドックス」はパラドクスじゃねーと言ってるんだ!

 ゲーデルはとてもおもしろい。

 でも、クレタ島のパラドックス経由では絶対にその面白さはわからないし、それは、前の記事にも書いたようにゲーデルの捏造、ゲーデルの矮小化、ゲーデルのクレタ島のパラドクスへの文系的貶めに他ならず、彼がやったことの理解から100万光年離れてしまいます。離れるどころが逆方向に行く。

 そして、ゲーデルの不完全性定理がわかれば、脳科学者(とその周辺のなんちゃって脳ライター)が言っている「脳をだます」ということが、実に噴飯ものでそんなことは人間存在にありえないことが分かります。良い子は、この記事から続く、いったん中仕切りのゲーデルシリーズを読んだ後は「脳をだます」という言葉のうさんくささがよく分かると思います。

リンク先記事のコメント欄みこちゃん文章より

不完全性定理理解には集合論が不可欠である

 不完全性定理を理解する第一歩は、ゲーデルが不完全性定理証明に先立って行った完全性定理がどういうものかを理解する必要があります。

 そして、今回から論理学と数学の記号がちょっとずつ最小限(あるかないかくらい)出てきます。文系の方でも分かるようになってますのでダイジョブです(^-^)。

 みこちゃんの天敵である朝日新聞(爆)がなぜか、とてもわかり易く信頼できる記事を作っているので、それを使います。

 要するに、集合化されていない1階の論理体系においては、命題は矛盾しないということを証明しています。

 1階というところがキモです。数学的な定義はこうなります。

【1階論理】1階述語論理ともいう。「すべての𝑥 」といった量化の範囲が個体の領域のみにとどまる。2階論理の場合には、その範囲が個体の集合にも及ぶ。

さっきの画像の朝日新聞記事のツールチップから出てきます

 量化というのは論理学のことばです。なぜ、この言葉を最初に文系向けゲーデル論で教えないのでしょう。竹内薫さんでさえも、そういう説明をしていない。でも、ここから始めるのが一番いい。量化は、クレタ島のパラドックスがゲーデル理解に役に立たない(どころか誤解にしかならない)ことを教えてくれる鍵だからです。

 文系の人が大好きなクレタ島のパラドックスを思い出してみましょう。

クレタ島出身のエピメニデスが「クレタ人はみなつきだ」と述べたという命題真偽を問う際、クレタ人であるエピメニデスが真実を述べているとすると、クレタ人はみな嘘つきになり、嘘を述べていたとすると、クレタ人はみな正直になり、発話の主体であるエピメニデスが正直ものか嘘つきかであることと矛盾する、という

 これは、どこがおかしいのでしょうか。直感に反しますよね。これを量化すると、おかしな部分がはっきりします。

■<すべて>のクレタ人は嘘をつく
■そのクレタ人は<いつも>嘘をつく

 もうすこし、厳密にクレタ島のパラドックスを量化の問題として扱っているのに、神戸大学工学部井上善允氏の作られた文章がネットにあります。

 でも、みこちゃんの2つの命題で十分です。

 要するに、<すべての><いつも>(これが量化)という部分が大事です。

 つまり、ぶっちゃけ、クレタ島の人がたった一人しかいなくて、しかも、その人は常に嘘をつくのならば、クレタ島のパラドックスは成立するということです。

 クレタ島の人が嘘をつくといっても、お前の知っている人間だけだろ!俺が知っているクレタ島の人間は嘘をつかないよ!と反論されたら、その論理は破綻します。

 さらにクレタ島の人が一人しかいなくても、その人が「ごめん、俺はいつもは嘘はつかないんだ、その証拠に……」と他の命題で反証可能性を証明したら、やはりクレタ島のパラドックスは破綻します。

 これが量化、すべての∀(全称記号)、とか、存在する「∃」(存在記号)というのを命題に持ち込む記号論理学です。

 ゲーデルが1階の論理で証明した完全性定理は、だから、クレタ島のパラドックスを粉砕しているわけです。

 数学的に見てみましょう。

1. a= bと仮定
2 この等式の両辺にaを掛けると 、a²= ab
3. 両辺から がを引くと 、a²-b²=ab-b²
4.両辺を因数分解すると、 (a+b) (a-b) = b (a-b)
5. 両辺を (a-b)で割ると、 a+b=b
6. (1)から a=bなので、 (5)は b+b=b
7.ゆえに 2b= bとなり
8. 両辺をbで割ると、 2=1

レイモンド・スマリヤン『スマリヤンの究極の論理パズル 数の不思議からゲーデルの定理へ』

(゚0゚) 2=1になっちまっただよ!

 間違っているのはもちろん最初のa=bでした。これがつまりすべての∀(全称記号)=aが∀(全称記号)=b、である(存在する)「∃」(存在記号)ということです。

 a=bの正体は、すべてのクレタ島人はいかなる場合であっても嘘をつくでした!(^-^)

 だから、aとbを特定の固有な数(普通の集合空間としてのベクトルじゃなくて固有値を持つベクトルのその固有値ということ)を代入できるスカラー変数ではなく、集合論で考えないとだめってことで、Python勉強するときにも、スカラー変数って出てきましたよね。読み飛ばした人が多いと思いますが、変数定義もしっかり理解してから集合演算とかやっておくと、Pythonをもっと楽しめます。

 逆から言い換えれば、Pythonとゲーデルの『不完全性定理』岩波文庫は並べて読むと両方とももっと理解できます。

 大学の情報科学ではもちろんそういうところから教えています。

明治大学のサイトより
このPython講座すごくいいです

 さてさっきのa=bを認めると、さっきの数式のようなことが数学界で、そして恐ろしいことにプログラマの書くコードの中に氾濫することになって、この世はカオスです。ノイマンの仕組んだ罠にハマってしまう。

 だからだから、ゲーデルがやったことはクレタ島のパラドックスの数学的証明である、というのは、(゚0゚)ナンジャソレなのでした。

 では、次回はじゃあ、ゲーデルがやったことはなんだったのか、とうことで、いよいよ不完全性定理です。

 次回も天敵朝日新聞のおかげで記事が簡単に整理できそうです。こちらを参照します。ありがとうございます!


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