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【デスグロ】クエスト製作記

こんにちは、同好のみんな!
今回のテーマは公開したオリジナルクエスト、デスオアグローリー『深雪の宝玉』の作成についてだ。
作成をした時のプロセスを思い出しながら、ここに書いていきたいと思う。
これが君のホビーに役立つことがあればとても嬉しいな!

これが最初に作った深雪の宝玉の骨組みだ。
僕はアイデア考案にMindMeisterを愛用している。
だいぶ後から書き足しているが、最初はギミックとストーリー
クエストのタイトルだけを並べたよ。

出立の計画 ~アイデア出しと決意~

元々僕はRPG(D&D、パスファインダー、ソードワールドにクトゥルフの呼び声など)のシナリオ作成を学生時代から楽しんでいたのだが、そのすべては自分のプレイメンバー用、自分がゲームマスターをして、一回だけ遊ぶ用のゲームだった。

そんなスモールステップなゲーム体験だが、しかし僕がゲームをデザインする楽しさ、人を自分のゲームに招き入れ楽しんでもらうあの満足感に憧れるのには十分だった。

いつかは見知らぬ人にも遊んでもらえるものを世に出したいと思っていたところに、ソロ用で遊べる冒険ゲームであるデスオアグローリーとの出会い、デスグロへのチャレンジは渡りに船だった。

デスグロはクエスト作成ガイドの発売こそまだであるものの、タウン、ウィルダネス、ダンジョンの構造や、構築できそうな多数のクエストアイデアは展開されており、RPGに比べて大枠を作る滑り出しはとてもよかった。

僕はいつもゲームシナリオを作る際、『①なにかのギミック(裏切られるとか、天候不調とか、飛行船とか)』『②お話の舞台』『③入れたいシーン』を決めてアイデア表を埋めていくスタイルで作成していく。

クエスト『深雪の宝玉』であれば、『①凍える』『②死地の村』『③雪山で食べるスープ』といった具合に設計したよ。③については、各イベントを意味するためとにかくたくさんアイデアを出して、パート(タウン、ウィルダネス、ダンジョン)の下に吊り下げる形で作っていった。

大抵僕はある程度見たいシーン(状況)を決めてから、ゲームの最終目標を決める。シーンのアイデアを出すうちに『本当の敵』『事件に巻き込まれた別の怪物』といった最終目標を変えてしまうような要素が出てくるからだ。

一方で愛読書でありバイブルの『コボルドのRPGデザイン』によれば、ゲームであることを担保する為に、ゲームには終わりがあり、それをしっかりと明示すべきとある。

ゲームにもよるが、プレイする時には最初に最終目標が明示されている方が概ね遊びやすい。これによってプレイヤーは初めて『手を考える』楽しさを味わえるのだ。クエストモジュール『ヒスイの髪留め』もこのスタイルを踏襲しているね。

今回は、このスタイルに沿って冒険の最終目標をオープニングに明示することにしたよ。『死地の村』を救えなかったでは後味が悪いので、ラスボス(ウォーロード)を倒せばガーネットが無事手に入るように設定した。その代わり道中で名誉か財宝が手に入るようひねりを加えることにした。

出立そして道中 ~イベントの作成~

さて、おおむね作りたいイベントは出そろった。
赤と青のジェムを使い、全てのパートで3回イベントを行うと考えると、イベントの総数は18個となる。

イベント同士のつながりは非常に深い冒険体験が得られるものの、ルート設計と同時にイベントを作ると複雑さ(このイベント数でも512通り!)に頭がパンクしてしまうので、ここでは何も考えず、ただそのパートにありそうなイベントをまとめていく。

出来事と一緒に中で行われる選択、判定、ゲームを設計する。これはクエストモジュールを参考に作ると良い。僕は冒険者の意志判断が求められるシーンが好きなので、『選択』を行うイベントを多めに配置したよ。

戦闘 ~ルートの設計~

いよいよ戦いの開始だ。

いつものRPGでは冒険者の判断に合わせてイベントという手札を出していけば事足りるのだが、スタンドアロンのゲーム設計においては完全に機能するルートを構築する必要がある。

手探りでの設計だったが、実を言えば『こだわりすぎなければ何とかなる』というのが持論だ。

回避するべきことは単純明快で、重要度順に以下の2点だ。

  1. ジェムが枯渇してゲームが進めなくなる。

  2. クエストの発生順からしておかしい出来事が起こる。(助けたはずの村人が、また死にかけているなど)

ジェムについてはジャンジャン渡すように設定すればよい。難しければ、すべての判断、判定結果でジェムを1つ入手するように設定すれば、絶対に枯渇バグは発生しない。

気になる場合は、常に入手量が最小の選択肢を選んだ場合、バッグの中のジェムがいくつになるかメモを作成してみるといいだろう。僕はこの2ステップでジェムを調整したよ。

2つ目については、基本的にイベントを独立させることで解決可能だ。先述の通りイベントのつながりは冒険の濃度を引き上げるのに有用であるものの、必須というわけではない。

特にデスグロの場合、冒険者を中心に必然的にストーリーが作られていくため、イベントはバラバラの小粒である方がむしろちょうどいいと思った。

つながりを作る場合には青1の前に青2が来ることや、青1の次に青3が来ることは絶対にないというポイントに注目すべきだろう。青1で宝箱の場所を見つけて、青2でカギを見つけ、青3で宝箱を空けるといったつながりであれば問題なく作用する。

注意点としては、テンションをイベント間で持ち越すと不具合を起こしやすいという部分だ。例えば青1で病人を見つけ青2で病人を助けるといったイベント構成にすると、間に赤のジェムを引いた場合、病人の目の前で赤2飲み屋で飲み明かすといったちぐはぐなストーリーになってしまう。これは避けたい。

イベントには一定の完結性を作り、テンションが落ち着いたら次のイベントへ進むという理解で設計した方が、安全にクエストを作成できるよ。

ダンジョン ~校正・テストプレイ~

晴れてこのようにイベントリストが出来上がれば、君はオリジナルのクエストを遊ぶことができる。早速遊んでみよう。きっと予想以上に楽しいはずだ。

一方で誤字や表記の揺れについて、僕は大変苦心した。これはなかなかに終わりの見えない作業だがグラウンドの石ひろいのごとく丁寧にやっていくしかない。特に判定のダイスが書いていなかったり、戦闘の完了条件がおかしかったりするケースが多いのでよく見てみよう。

ある程度できたらテストプレイをするといい。実際にゲームをやってみるとまたいろいろな問題点が見えてくる。ちょこちょこ赤を入れながら直していくのだ!

君がゲームマスター役をやってプレイヤーを誰か別の人に任せるのもおすすめだ。特にこの場合文章を音読して相手にも聞いてもらうので、おかしなところや意外な疑問点、理不尽すぎる要素に気が付きやすい。

決戦 ~リリース~

お疲れ様! これでゲームの作成は完了だ。
修理しなきゃいけない点はまだまだあるかもしれないが、しかしどこかで区切りをつけて世に出さなければ遊んでもらえない。

思い切ってリリースするのが吉であると僕は信じているよ!

以上が僕が『深雪の宝玉』を作成するにあたって歩んだ道のりになる。
君がデスグロについて何か作るきっかけや参考になればとても嬉しいな!


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