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滑らかな曲線

生きていると,何とかして線分同士を滑らかな曲線で結びたいという思いになることがよくあります.(なくてもここではあることにしてください.)

線分で結ぶと,端点が滑らかにならないので,放物線のように2次くらいの次数は必要ではないかと思うのですが,必ず放物線で結べるのでしょうか.

ここでは,3次の多項式では結べることを示していきます.

3次関数の決定

$${y=0\ (x<0)}$$と$${y=\alpha(x-w)+h\ (x>w, w>0)}$$とを滑らかに結ぶことを考える.後者は,$${(w, h)\ (w>0)}$$を通り,そこでの傾きが$${\alpha}$$となるような半直線である.

$${f(x)=ax^3+bx^2+cx+d}$$の係数を決定していく.

まず,$${y=f(x)}$$は原点を通るから,$${f(0)=0}$$,すなわち$${d=0}$$となる.

$${f'(x)=3ax^2+2bx+c}$$となる.原点での傾きは$${0}$$となる必要があるから,$${f'(0)=0}$$,すなわち,$${c=0}$$となる.

そして,$${y=f(x)}$$は$${(w, h)}$$を通り,そこでの傾きは$${\alpha}$$となることから,$${h=aw^3+bw^2}$$及び$${\alpha=3aw^{2}+2bw}$$を得る.

今の2式から,$${w\alpha-2h=aw^3}$$及び$${bw^2=3h-w\alpha}$$と変形することができるから,

$$
a=\frac{w\alpha-2h}{w^3}, b=\frac{3h-w\alpha}{w^2}
$$

と係数を決定することができる.故に,

$$
y=\left(\frac{w\alpha-2h}{w^3}\right)x^3+\left(\frac{3h-w\alpha}{w^2}\right)x^2
$$

の曲線の一部が,2つの線分をつなぐ滑らかな曲線であることが分かる.

放物線になる条件は

3次の項の係数は$${w\alpha-2h}$$であり,これが$${0}$$となるときは,$${w:h=2:\alpha}$$となる.この条件を満たすとき,2つの半直線は,原点を通る放物線により結べることになる.

例えば,$${h<0}$$のときを考えると,$${y=0\ (x<0)}$$の上を正の方向に水平に滑らせ自由落下したビー玉を,音を立てずに受け止めるためには,上の条件が必要十分となることもわかる.

逆に言えば,上の条件を満たさないように,半直線を傾けたり位置をずらしてしまえば,ビー玉が着地したときに,コツンと音を立てることが分かる.

まとめ

今回の計算で,3次関数を用意すれば,半直線を滑らかに結べることが分かった.ここでは,半直線の角度が$${-90^{\circ}<\theta<90^{\circ}}$$しか考えていないが,半直線を回転,平行移動して,何回か3次関数を用意してつなげれば,それより大きい角度の半直線の場合でもつなげることができるので,その場合を考えなかった.

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