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米国生活5年目の視点から見た日本

1年ぶりに12日ほど日本に帰国して休暇を過ごした。4年半を経て、日本の日常が私自身の日常からかけ離れてきたことへの気付きや「そう、こういうところは日本だよなぁ」と思ったことをNoteしてみようと思う。

徹底されている規格

実家の母親に頼まれて夕飯の材料を買い出しに行った。頼まれたのはカレールウとベビーフードだけなのだか、久々に日本のスーパーマーケットを物色した。
渡米する前は日常であったはずのスーパーは、やや異常さを感じさせるものになっていた。全てがきれいに陳列されているのは当然のこと、形がどれも均一に揃っており、なおかつ汚れやキズが全くない野菜類はもはや造り物かと錯覚する程であった。
あらゆる野菜類には規格があり、それから外れたものは出荷されることがないことはもちろん知っているが、海外に慣れた目線から見たそれは「Crazy」と表現するに値するものであった。

素材の味

今回の日本滞在中に3泊ほど金沢に旅行した。たまの贅沢ということで、懐石料理や地元の蕎麦の名店など、おいしいものをたくさん食べた。料理の繊細さも然ることながら、素材一つ一つの味がしっかりしていることに改めて気付かされた。これは凄いことだ。

驚くほど低い物価

とにかく物価が安く感じられた。昔、東南アジアに旅行したときに感じた物価の低さを日本で感じてしまったのは少しショックだった。
金沢といえば九谷焼が有名である。その繊細な色付けは長年培われ受け継がれた職人の技術を肌で感じるものであった。いくつか九谷焼を取り扱うショップを見て回ったが、新幹線やクルーズ船の来航の影響から外国人観光客もかなりの人数がいた。そんな彼らの口から「So cheap(すごい安いな)」と発せられるのを何度も聞いた。同様の事は都内でも経験した。
以前は気にならなかったが、米国のと比較してずいぶん物価が安いのだ。例えば九谷焼の湯呑は1500〜2500円($13~22)程度でなかなかの物が買えるが、米国でその値段で買えるものはたかがしれている。

安いのに高品質

しかしながらタイやマレーシアと比較して面白いのは、物価が安いのにもかかわらず質が良いものが多いということだ。100円均一ショップの品ぞろえと品質には驚かされる。アメリカにもDollar treeという1ドルショップがあるが、その差は歴然としたものである。
品質に対して安過ぎる物価をこの20年の間、保ち続けているのだ。日本全体の経済が良くなるわけはないし、ただ広がった格差がうまくうまく隠れるような状況であると感じた。

テレビから見えてくる社会感

日本に滞在する間、もちろんテレビをなんとなく観る機会もあった。久々に観てみると、不愉快とまではいかないが少し眉を顰めるような内容が多かった。今の社会に重要で無いニュースばかり扱う報道番組、出演者の容姿をからかうような表現、古典的な男女のあり方を刷り込んでくるような描写のドラマと、挙げればきりがない。
これらの点について何も感じないことが今の日本における『真っ当な感覚』なんだろう。

最後に

色々思うところはあるが、日本の食生活はとても豊かだ。都内にでなくとも、様々な国の料理を手頃な値段で提供するレストランがあるし、何より各野菜や肉の品質がとても良い。日本に住めば食事に文句が出ることは無いだろう。
その一方で、(このNoteでは特に触れないが)報道や経済においては、あまり明るいものは無いと感じざるをえなかった。

旅行するにはいい国、それが今の日本としか言えない。

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