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NZ 旅の記録 VO.3

1/5 快晴

 朝は昨日の残りを食べて、さらに残りでサンドイッチを作る。食べ残しをパンに挟むだけまだ最高においしいNZごはんのすごさよ。クライストチャーチにはバスで向かう。バスの出発地であるティマルまで、Aさんに送ってもらう。フォレスター君ともお別れだ。Aさんとも。札幌で壮行会をした時には感じなかった切なさを感じた。どうしてだろう。次、彼女と会える場所はどこなんだろう。日本なのか、海外なのか。彼女の旅は、もう生活になっていて、まだまだ続くね。元気に、たくましくなっていた。ご家族との距離感の話をしていた。フォレスターで颯爽と去る彼女を見送って、旅は第二段階に入る。

 クライストチャーチは教会の街。2011年の大地震で大聖堂が崩れた。坂茂という日本の建築家がコンテナやダンボール資材で仮の大聖堂を作った。マレーシアから来たという親しみやすい笑顔の素敵なスタッフさんが、日本人はとてもクレバーですと言ってくれた。外にはそこで亡くなった人の数の白い椅子が並べてあった。子供用のものもあり切ない。

 2011年から7年経つはずなのに、街のいたるところに崩れたままの建物や瓦礫があり、復興は途中であることがわかる。日本だったら、いち早く撤去してなくしそうなものだけど。仮の大聖堂も50年持つ設計なのだとか。50年かけて新しいものを建てれば良いということ。気が長い。復興は急ぎすぎなくても別に良いという感覚なのかも。地震の爪痕がそのへんにあっても、街の雰囲気は極めてピースフルでハッピー。こんな雰囲気があるのは、夏の晴天のおかげだけではないと思う。日本でよくある「がんばろう!クライストチャーチ」みたいな雰囲気がまるでない。それがなくても大丈夫ということ。復興は、各々の心の動きに合わせてで良いのかもしれない。

 宿のフロントのかわいい女の子が、明日のタクシーを電話で予約してくれたので、Rくんがジュースを差し入れする。笑うと目がなくなるくらいくしゃっとして、キュンとする。酒屋みたいなところで買い出しし、バックパッカー宿の庭で飲む。この明るいうちからダラダラとしゃべりながら飲むのが最高に心地よい。何もしなくていい旅。何もしないという無為な時間は実は苦手だった。たぶん、ただ無邪気にワクワクしながら毎日を過ごしていた10代が終わった頃から。この人生で、私は何者かにならなければならない、ということに気づいた頃から。何かしていないと自分がとても無意味な存在に思え、心がウズウズ、モヤモヤすることがある。日本では。NZでは、そのウズウズモヤモヤを感じない。好きなだけ星空や湖を眺め、羊が草を食む様子をずっと見ていられる。何もしないでいられる。それは旅だから、という理由はもちろんある。生活となるとそうではないということもわかる。でもNZでの時間は、無為と思えていた時間がとても大切な時間であることを教えてくれる。そんなことを考えているうちに、Hさんがウクレレで旅人集団にからみだす。ウクレレ弾きまくって歌う。それを聞いていた外国人の若者が、平井大の曲の一節を鼻歌で歌いながらパスタを茹でていた。おもしろい夜。

1/6 快晴

 この宿はめちゃくちゃ暑くて寝苦しかった。二段ベットはきついことがわかった。ほとんど眠れず身支度。朝日が目にしみるー。でもアドレナリンでなんとかできちゃうのが旅のすごいところ。 

フレンドリーなタクシー運転手さんが空港まで送ってくれる。こっちの人はだいたいみんな親切。 

 オークランド空港へ出発。日本からなんと北京経由でやってきたMさんと合流。リュック1つできてた。空港からバス移動でオークランド市街へ。久しぶりの都会…羊がいない(当たり前)南島が恋しくなる。

 みんなでフェリー埠頭近くのオープンなパブに入る。生牡蠣、フィッシュ&チップス、おなじみペールエール。とてもおいしいし、にぎやか。テンション上がる。店員のお姉さんがとにかく笑顔が明るくて、元気で、かわいすぎる。みんな楽しそうに働いているのが印象的。

 一人街ブラタイム。MACPACでおみやげ買い。家族にTシャツ、友達にポーチとか帽子とか、自分にも。買い物中、店員さんに「何日滞在してるの?」と聞かれて「10日間」と答えると「短かっ!!」と驚く。日本で同じく答えると「長っ!!」って言われるの。この違いとは。バカンス制度だけではないと見ている。何かが違うのだと思う。だって、5時になると、どんなに明るくても、人通りがあっても、閉店時間で店が閉まるのだ。それはもう容赦なく。明るいうちに自転車で家に帰って、自分の時間を過ごす。これだけ明るいとガーデニングなんかもできるね。仲間とパブでビール飲んでから帰ったり。明日に向かう時間を大切に過ごす。

 みんなと合流し、スーパーで買い出し、エアビへ戻る。都会らしいマンションの一室で、おしゃれですてき宿。Hさん、Rくん最後の晩餐。切ない。旅は第3段階へ入る。オークランドの夜はやかましい。朝方、二人が空港へ出発。なんだかさみしい。


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