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2024/06/30 6:44

昨日、図書館で借りてきた本の中に恩田陸さん『麦の海に沈む果実』がある。

これ、理瀬シリーズと呼ばれる中では、根幹をなす本編中の本編という位置付けのお話。私も何度も手に取った記憶があったし、理瀬シリーズ面白いわー、好きだわーと思っていたのだけど。
こないだ、理瀬シリーズの短編を集めた『夜明けの花園』を読んで、湧いてきた疑問。

もしかして、私、『麦の海に沈む果実』読んでないんじゃない?

よくあるのよ。
何度も手に取って、でも、結局、読まずに本棚へ、書店の平積みへ、返した本って、手に本の重さが馴染んじゃって、読んだと勘違いしちゃうこと。

そう思ったら、確かめずには、いられない。

昨日、図書館で、まっしぐらに行った恩田陸さんの棚に見当たらず、けっこう前の本だから、もしかして、もう、置いてないのかな、じゃあ、いいか、Kindleか文庫本で買うか、と他の本を選んで、だけど、やっぱりハードカバーで読みたいし、ほんとに無いのかな、と不安になりながら、久しぶりに蔵書検索用パソコンで調べ、その図書館にあること、借りられることを確認し、でも保管場所が「書庫」となっていて、一瞬、「えーーー、書庫から出してもらうよう、頼まなきゃいけないのか、どうしよう」とためらったけど、受付カウンターでお願いして、手に入れた『麦の海に沈む果実』。

家に帰って、あらためて手に取って、やっぱり見覚えがある。重さも手に馴染んでる。
読んだ気がするんだけどな?内容忘れてるだけかな?そのまま読み始めたら。

うん。
やっぱり、『麦の海に沈む果実』は読んでなかった。
確信を持ったのは、第四章(といってもまだ序盤。416ページ中、89ページから始まる)の中で、ある本について触れていて、その本は私、恩田陸さんの別のお話の中で知った本だったから。『麦の海に沈む果実』にも出てたのかって驚いて、同時に、やっぱり読んでなかったんだな、と納得した。

今まで、あちこちで読んできた理瀬シリーズの長編やら短編やらのエピソードが伏線としてようやく繋がってきて、時間を遡ってるような感覚。楽しい。

というのは、ちょっぴり負け惜しみが入っていて、本音はやっぱり順番に読みたかったな。

『三月は深き紅の淵を』で理瀬を知って、
そのあと、この『麦の海に沈む果実』で理瀬と再会して、聖や校長や憂理と出会って、
『黒と茶の幻想』や『黄昏の百合の骨』や『薔薇のなかの蛇』で、それぞれの学園後の人生を知って。
短編の中で、理瀬の学園以前の日々を知って、そうか、あれはそういう意味だったのかって伏線を回収して。
そんな風に出会いたかった。

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