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ぼっちの私がパリピすごろく「ウェイウェイらんど!」を作った理由

おっはモーニング。酒村です。普段Youtubeで一人飲み食いする「読める酒テロ」動画を投稿しています。

ところで皆さんボードゲームやすごろくは好きですか?

私は桃鉄を一人で99年プレイしたり、「キャプテン・リノ」というバランスカードゲームも一人で崩れないように胸をドキ爆させながら遊んでいました。そのくらい好きです。

妹や数少ない友達に付き合ってもらって大学時代は一時期朝から晩までボドゲに青春を捧げてきました。『DEATH NOTE』のLに対抗するくらいのクマを目の下に作りながらも、眠らずに付き合ってくれた仲間たちには今でも感謝しています。

というか、ボドゲって人数を要するものが多いので「僕は友達が少ない」みたいな人には不利なんですよね。ボドゲで遊んでいる最中は、藤井四段が将棋に向かい合う時のような集中ゆえの沈黙が流れていました。浮かれている余裕などないのです。

そんな私が、何故パーティー御用達のパリピすごろく「ウェイウェイらんど!」を作ろうと考えたのか。この世におんぎゃおと産声を上げて爆誕するまでのストーリーをお話しようと思います。

パリピすごろく「ウェイウェイらんど!」って何やねん

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まず、すごろく「ウェイウェイらんど」って何それ美味しいの?という方もいると思うので簡単に紹介します。

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これは、パリピ酒と私が呼んでいる「クライナー」とコラボしたボードゲームです。クライナーとはカラフルで一見可愛く小さなお酒ですが、これはテキーラショットのように、グイッと一気するために生まれて来たお酒です。このクライナーをコマにして進んでいくのですが、ほとんどどのマスに止まってもクライナーを飲む使命が課されます。

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「木を揺すったら酒が落ちてきた、とりあえず飲んでおこう」「恋人ができました。全員で乾杯!」など偏差値を限りなく0に近づけることができるすごろくです。

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カードを引くイベントマスに止まると、乾杯以外に好きな相手を指名して疑似告白したりハグや手を繋ぐことができるイベントもある王様ゲーム要素も詰まってます。

このゲームを探し出しプレイしてくださったクリエイターの方々には感謝の言葉しかありません。一生の運をここで使い果たした気がします。

ここまで聞いて「おや…?」と矛盾に気付いた方もいるでしょう。ウェイ!とは対極にいる私が何でこんなパリピ向けなゲームを作ったのかと。

学生時代に発掘した昭和のすごろく「乾杯倶楽部」がバズった話

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そう、時は遡ること5年前。学生の私は、毎日面白そうだけどあまり知られていないボドゲを発掘すべく一日3時間くらいネットサーフィンを繰り返す日々を送っていました。そこで、レビューもほとんどついていないような「乾杯倶楽部」というボドゲを発掘したのです。

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昭和に生まれた飲むためのボドゲ。トイレ特急券(これがないとトイレに行けない)や今では禁じられている一気マスなどとんでもないすごろくに出会ってしまったのです。一緒に遊ぶ相手はいませんが興味本位ですぐさまメルカリで購入しました。

とにかく内容がおっさん向けの下ネタなどが盛り込まれておりとんでもないので誰のことも誘えず、プレイせず数年間家に眠り続けた乾杯倶楽部。

@yukke_yukke_

「乾杯クラブ」というキチガイボドゲ🍺を一人でやってみた。#笑い納め #ボドゲ #酒が飲めるぞ #おすすめ #昭和時代 #トイレ特急券

♬ モス - サカナクション

でも、こんなイカれたゲームの存在を誰かに共有したい!と思い、TikTokで動画を上げました。この時に初めてしっかりとプレイしました。一人でね。すると、すぐに反響を呼び、当初始めたばかりのTikTokで初めてバズというものを経験したのです。

DMも次々と届き、「どこで買ったのか」「譲ってもらえないか」など世の中の人たちが乾杯倶楽部のようなゲームを求めているんだなということを肌で実感したのです。「令和版の飲むスゴロクを作ってほしい」という声に酒テロクリエイターとして応えたいという漠然とした使命をその時はお酒を飲んでいてほろ酔いだったので感じたような気がします(笑)

クライナーとの出会い、家に届いた200本近くの小さなお酒

そして、クライナーと出会ったのです。Twitterの流行に乗って「愛する酒彼氏の紹介を兼ねて、お勧めしたい酒たちを勝手に擬人化させてみました」とツイートした時に、クライナー公式が反応してくれたのでした。

「ぷるぷる。ぼくわるいクライナーじゃないよ。」と。「やべっ、クライナーの心を傷つけてしまったのか私」と冷や汗をかきましたが、次の日ユニークな紹介ありがとうございますとメッセージをいただき安堵したせいかお酒が飲みたくなって一杯乾杯しました(いつもか)。

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そしてぼっち飲みを極める私の元に200本近くのクライナーが届いたというわけです。部屋がクライナーに埋めつくされて、悪夢として1回出てきたことがありました。乾杯する相手がいないので、一人で飲んでも一向に減る気配がありません。いつの間にか、クライナーをあう人全てに布教するザビエルと化していました。お酒の宣教師です。

そこで気付いてしまいました。「このパリピ酒・クライナーをコマにすればいいのでは?」と。それを思いついたのが、一緒にウェイウェイらんどを最後まで作ってくれた梅酒というフレンズでした。

すぐさま、企画書を用意しクライナーの本社に「令和の酒飲みボドゲを作りませんか!」と梅酒と提案しに行ったのです。コミュ障の私は、乾杯倶楽部の実物を机の上に広げるだけで地蔵と化していました(笑)。

そして、「ウェイウェイらんど!」を作るぞプロジェクトが動き出したのです。この提案を受け入れて、全国に届けてくれたクライナーの会社でもあるシトラムさんには圧倒的感謝です。

お酒を飲む堕落した日常に加え、お酒を楽しく飲んでもらうためのボドゲ作りが新たに加わった瞬間でした。まさか遊ぶ側の人間だったボドゲを自分で一から作れるとは。大興奮し一人晩酌中に鼻から柿の種が逆流したことは忘れません。

酒村、妄想フィールド全開!「ウェイウェイらんど!」プロジェクトが動き出す

SUGOROKU最終

役割分担としては、梅酒がすごろくのどのマスを休みにするのかなど大枠を設計し、販売方法について考えることに。私は、すごろくの世界観作りとマスの文章、イベントやカードの内容を考えることに。

余談ですが、マスなどのデザインは昔からの旧友に手伝ってもらいました。小学校上がりに出会った友人とこうして作品を一緒に作れることってあるんですね。

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一応、このすごろくの文章を考える際に何かストーリーがあった方がいいよねということでクズ大学生が成人を迎え酒を片手に恋や友情、青春を謳歌し最後に無事卒業するという物語を作ってみました。

やっぱり私の中でお酒って大学時代を寄り添ってくれた大親友でもあるので、人生最大のモラトリアムでもある大学を舞台にしました。

イラストを担当してくれたヘロシナさんの描く動物が可愛かったので、色んなところに主人公を見守る柴犬を散りばめています。

とはいえ、このすごろくは大分鬼畜なので主人公を無事卒業させてあげられた人はいるのでしょうか…。私はいまだに卒業させてあげられていません。

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そして、マップの真ん中に絶対行きたくないと直感でわかるワープゾーンが渦巻いています。ここは、私のこだわりポイントです!やっぱり大学生時代は誰にも迷走する時期があるなと思っていて。

例えば、就活とか恋愛、落単の嵐など負のスパイラルってあると思うんですよね。なので、酒の桃源郷ということにして、地獄の酒飲み孤島を仕掛けました。悪魔のような遊び心です。後に、自分がプレイする時に苦しめられるとは思ってもいませんでした。

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叶えられなかった青春をここぞとばかりに詰め込んだ

最後に、このゲームの醍醐味の一つでもある恋愛要素。

これは完全なる私のエゴです。エゴのエゴです。

もしもこのカードを引いたその場に自分の好きな人がいたと仮定して、こんなイベントがあったらムフフだなとネオ無職独身女の痛い妄想をフルで働かせました。

例えば「寝落ちした朝の5時」というカードは、「次のターンが来るまで左隣か右隣の人(好きな方を選べる)とバレないようにこっそりと手を繋ぐ」という内容なのですが、これはRADWIMPSさんの「そっけない」のミュージックビデオを見ながら作りました。

私もあんな友達以上恋人未満みたいなドキドキをしてみたい人生だったと来世に思いを馳せながら。焼け酒ですよ。

学生時代は松山ケンイチのようなイケメンとサークルで出会い、打ち上げの最中に抜け出して、ちょっと二人で飲みなおそうかってコンビニでビール買って歩き、何となく手を繋いでしまうような展開を待っていたら卒業していました。私を拗らせた妄想の中の松山ケンイチのことは許しません。

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ともあれ王様ゲームっぽいけどそこまで際どくなく、恋が生まれるかもしれないよねというラインを攻めたのです。

喫茶店に引きこもり一人キャッキャと心でサンバを踊りながら作っていました。昼から喫茶店で寝巻きでニヤつきながら何か書いている女、側から見たらゾッとしますね。

プレイ済みの方、どうでしょうか。
「恋が生まれたよ」って方いませんか?

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私が成しえなかった青春を代わりに謳歌してほしいという願いと同時に、誰かの恋の青春の一ページの後押しになればなと思いながら完成させたイベントカード。画力のない私が描いたイラストの色塗りを徹夜でしてくれた梅酒、ありがとうな。

そうして、夢と願いと青春を託した令和のパリピすごろくが爆誕したのでした。「令和版の飲むスゴロクを作ってほしい」という言葉を掛けてくれた視聴者の方の声に、私は応えられたでしょうか。

数え切れないほどの感謝と今後の想い


一つの作品を完成させてこの世に送り届けることができたということは、自分にとって一生の思い出です。死ぬ間際に思い出すこと間違い無いでしょう。その時は、妄想に描いた松山ケンイチも現れることを願ってます。

そして、何よりも「ウェイウェイらんど!で再起不能になりました」という(楽しそうな?)二日酔いの声や、「久しぶりに仲間と集まるきっかけになりました」という声こそ私にとっての最高の宝物になりました。言葉の贈り物って、本当に嬉しいですよね。

これが、ウェイウェイらんど!が完成するまでの長いようで短いお話です。またお酒を絡めたり、青春に残るような作品を生み出していけたらなと思っているので、気軽にお声がけください。

最後まで読んでいただきありがとうございました🍺

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PS. テストプレイを一人でしてみたのですが、ハグをする相手も愛を囁く相手も一緒に乾杯する相手もいなかったのでそっと飼っている猫を抱きしめながらクライナーを飲み干しました。残ったのは空瓶と虚しさと猫に噛まれた傷だけでした。

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