見出し画像

読書記録 夏の災厄

日本脳炎の地域感染とワクチン

なんてサブタイトルをつけられそうな、感染症の原因究明とワクチンの実用化に向けての医療の現場の人々の物語。

篠田節子先生、角川文庫、2015年

◎あらすじ
お話のプロローグはインドネシアのブンギ島という小さな島のできごと。女は激しい頭痛と高熱の中、残された乳児と自分のために水を汲みに行こうとして、息たえる。

本編は日本の首都圏にある小さな都市の保健センターから始まる。

今日はインフルエンザの予防接種の集団接種の日。若い事務官の小西は、年配の看護師、房代らをつれ、接種会場に向かう。

そこでは、ワクチンの副作用を懸念し予防接種反対する、グループに出会う。

また、保健センターへは、頭痛と高熱の訴えの患者が数名訪れたが、いずれも匂い、嗅覚の変調を訴えてくる。また眩しさも訴える。

医師は髄膜炎などの重症化を懸念し、地域の大きな病院を紹介する。

が、その後、看護師の房代が問い合わせみると、いずれも数日で意識障害、痙攣、頭痛、吐き気などの日本脳炎の症状があらわれ死亡していた。

そして、同じような症状で死亡する患者がふえるにつれ、その人たちがある一定の地域に限定されることに気がつく。

その頃には、診療所の医師、鵜川も日本脳炎の患者が市内のある一定の地域からでることに気がついていた。しかし日に日に重症者は増えていった。

医師の鵜川、看護師の房代、事務官の小西は、この小さな都市での日本脳炎の大流行をなんとかしようと、ワクチンの接種を呼びかけていく。

だが、ワクチンの接種が進んでも、患者が減らない。

そこで鵜川はインターネットを使って日本脳炎のワクチンの開発について調べ始め、そしてインドネシアを訪れ、日本の医療の現実を改めて思い知らされる。

◎感想
ここから、すごいスピードで話が展開していく。

これは小説だけれど、医療や教育もそうだけど、現場で働く人は、

あれ、ちょっと、何か変だな。

と、いう感覚を逃してはいけないなぁと思う。

ワクチンは不活化ワクチンとバイオワクチンがあって、不活化ワクチンは動物の脳を使って培養するので、治験とかで1年半かかるようだ。

そうして、ワクチンを接種しても何万人、何十万人の中のわずかの人は何らかの副作用が逃れられないという、これも人間は一人ひとり違う生命体だということを改めて気づかされた。

そして、またまた、読み出すと先が気になって仕方ない小説を書いてくださる篠田節子さんに感謝してやまない。

◎今日も目一杯ながーい、読書感想文でした。
もっとまとめろよ、ってどこからか聞こえてきます。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。🙏🙏🙏

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?