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読書記録 明治乙女物語

読書 明治乙女物語

滝沢志郎さん、2017年、文春文庫。

私は亡くなった父や母の生きた、
大正、昭和、の時代にすごく惹かれる。

どんな人達が、どんな暮らしをして、
何を考えていたのか、すごく知りたい。

父や母が言葉にしなかったけれど、本当は伝えたかったことが、そこにあるような気がするような気がするからだ。

今日の読書は、明治乙女物語。

◎あらすじ

時代は明治21年。

欧米の列強国に追いつけと、欧米文化の導入、
富国強兵を掲げる明治政府だった。

それには良妻賢母の育成のための
女子教育が大切と、師範学校女子部の充実を
唱える文部大臣がいた。

そんな時代の
東京の高等師範学校の女生徒達のお話です。

野原咲は、21歳、3年、成績優秀、
駒井夏は、19歳、2年、
お話は、この女子師範学校の講堂で催された
舞踏会からはじまる。

この舞踏会で、植木と中庭でちょっとした爆発が起こる。

警察の捜査で、人力車の車夫、
久蔵や車夫組合の若衆達が、
捜査線上に浮かんでくる。

咲は久蔵に会った時、
どこかであったような思いに
かられる。

そして、横浜の実家に帰った時、
幼い頃、迷子になった自分を探し当ててくれた、
兄の友達だったことを知る。

そして、咲は久蔵のことを知人を通して、
調べていく。

久蔵は、米国大使の通訳だった、
米国人と花街の芸妓の母との
間に生まれた。

父は急速な欧米化に反対する、
日本人に暗殺された。

母は病気で亡くなった。

そして、久蔵は良き父母の知人に
育てられた。

そして久蔵の仲間たち、
車夫組合の若衆は、江戸時代の身分制度の
崩壊で、経済的に困窮して、車夫に転身した
ものも多かった。

彼らは明治政府の急速な欧米文化の導入を
快く受け入れては、いなかった。

そんな時、
外務省主催の舞踏会が鹿鳴館で
開かれることになり、
高等師範学校女子部の生徒たちは、
外務省から、招待状を受け取る。

そこでは、

◎感想
まず、明治の時代に真剣に学ぶ女子たちに、敬意を持ちました。女に学問はいらない、と言われた時代に教師になるために勉強するなんて。

あなた達は、教師になるために国費を受けているんです。

これは、舎監の先生の言葉ですが、彼女達や師範学校の先生の言動に、時代を創るパイオニアとしての気概を感じました。

そういえば、私の母も実は昭和の師範学校出身でしたが、私が奨学金を受けたいとか、学校推薦を受けて受験したいとか、いうとひどく嫌って、

自分の実力でやりなさい!

と、言われました。

多分、紐付き、ご恩は返さなくてはいけない、
という身分を、都会の学校から一人で臨海部に移ってきた、母は味わってきたんだろうかと、今になって思います。

時代に翻弄されたといえば、車夫の久蔵は、
正しく明治という時代に、外国人の父と芸妓の母の子どもとして生まれ、その容貌から幼少期から
仲間はずれには、なっただろう。

しかし同じような境遇の大人たちに守られて、同じような時代に翻弄された没落士族の仲間の中で自分の価値観を信じて生きた。
決して裕福ではなかったが、その人柄から、出会った人たちとの深い交流があったのではないかとも、思う。

などとりとめない、明治と今を行ったりきたりしながら、楽しく読書タイムは終了です。

◎今日も私のnoteに、ご訪問していただきありがとうございます😊 皆さまも、今日1日お疲れ様でした😊

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