【朗読】ありふれた思考

なんのとりとめもない思考の書き散らしです。
明るくは無いので苦手な方はご注意下さい。

ご利用の際は利用規則をご一読ください。


【利用規則】


◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。

 商用・非商用問わずご利用いただけます。
 ご自由にお使いください。


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 台本のアレンジは自由ですが、台本の意味合いが大きく変わるような改変(大幅にカットするなど)は不可とします。


◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。


【台本】


 赤い三日月が散らばっているのが目に入った。
 嗚呼、今日は長袖を着ていてよかった。
 ぼうっとそんなことを考えた。


 自販機の前に立って、普段飲みもしない珈琲を買う。
 無感情のままそれを胃に流し込んで、あまりの味の薄さに落胆した。
 顔をしかめるぐらい苦いものだと思っていたのにな。


 自分がいなくなった後の為だけにひたすら手を動かし頭を回す。
 その先に自分は居ないのに、何故こんなことをしているんだろう。
 何故自分がそんなことを考えてやらないといけないんだろう。


「しょーもない」と口で言いながら、延々とそれを考え続ける自分にわらえてきた。
 いつかこうなるって分かっていた筈だろうに。
 心のどこかでは何かを期待していたのか? はは、まさか。


 いやに明瞭なくせに、何も湧き上がらない思考にうんざりする。
 脳内を埋め尽くすぐらいの騒がしさはどこへ行ったのやら。
 一体これはいつまで続くのやら。


 いい加減病院にいかなければならないことをふと思い出す。
 その後のことなんて考えたくもないけれど、向き合わないといけないんだろう。
 どうせまた悪くなるのに?


 成り立たない会話を今日もする。
 何度同じことを説明すれば理解する?
 壁打ちでしかない会話に何度応じればいい?



 どれもこれも虚しくて仕方ない。
 ぽつりぽつりと思い浮かぶことはこんなものばかりだ。
 ただひたすらに無気力で、集中出来るわけも無くて。
 だけど何故か疲労感だけが身体に残っている。


 落ちているわけでも沈んでいるわけでもない。
 ずっとずっと平坦で、むしろ少し前よりも調子がいい。
 その筈なのに、なんなんだこの有様は。

 なんなんだよ。どうすればいいんだよ。
 なーんて、喚いてみたら少しは気分が晴れるのだろうか。


 きっとこれは天気のせい。
 頭が重くて、息が少し苦しくて、ほんの少し吐きそうなのも全部全部天気のせい。
 きっとみんな、同じ様な感情を抱えて生きている。
 だから大丈夫。これは普通だ。
 今日も今日とて平々凡々とした一日だった。
 そう思うことにしよう。

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