【声劇フリー台本】すれちがい

どちらか片方の記憶しか残らないため、片や記憶を失い、片や記憶を取り戻していく台本です。
エモい雰囲気でどうにかお願いします。

台本上では「」と【】で読み手を分けて表記しています。
「」はだんだん記憶を取り戻していくので心を開きながら、【】はだんだん記憶を失っていくので距離をとりながら進めていただけたらと思います。

※ご利用の際は利用規則をご一読くださいますようお願い申し上げます。

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【利用規則】

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◆この台本の著作権は全て影都千虎に帰属しています。

　商用・非商用問わずご利用いただけます。
　ご自由にお使いください。

　利用時のご連絡は任意ですが、ご連絡をいただけますと大変励みになりますし、喜んで影都千虎が拝聴致します。

　音声作品には以下を明記するようお願いいたします。

・作者名：影都千虎
・当台本のURLまたは影都千虎のTwitter ID
（@yukitora01）

　配信でのご利用も可能です。
　配信で利用される際には、上記二点は口頭で問題ございません。
　また、配信で利用される場合、台本を画面上に映していただいて構いません。

　台本のアレンジはご自由に行いください。
　便宜上、一人称・二人称を設定しておりますが、いずれも変更していただいて問題ございません。

◆無断転載、改変による転載、自作発言は絶対におやめください。

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【台本】

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「やぁ、こんにちは。初めましてだね」

【ああ、初めまして】

「びっくりしたなぁ」
「ここに僕以外の人がいるなんて思わなかったよ」

【秘密基地みたいだから？】

「うん、そう。よく分かったね」
「へへ……君も、同じように思ったの？」

【まあ、そんなところだよ】

「君はよく、ここに来るの？」

【んー……最近はあまり】
【ただ、ここにくれば会える気がしたんだ】

「会える？　誰か、会いたい人がいたの？」

【ああ。ずっと頭の中に引っかかってるんだ】
【顔も名前もわからない】
【ただ、ここに来るってことだけは知っている】

「そっか……そんな人が、君にもいるんだね」
「実は僕にも、会いたい人がいた気がするんだ」

【君にも？】

「うん。面白い偶然だよね」
「どんな人なのかも分からないんだけどね」

【……そっか】
【お互い、会えるといいな】

「うん、そうだね」

「ねえ、『初めまして』って言ったけど……もしかして僕たち、どこかで会ったことある？」

【え？　どうして急に】

「ええと……不思議なんだけどね」
「君と話してるうちに、前にも君とこうやって話したことがあるような気がしてきたんだ」
「ごめん、気持ち悪いよね」

【いや、大丈夫だ】
【むしろ、こっちの方こそごめん】
【君とは今日が初めましてだと思う。記憶にないんだ】

「そうだよね。へへ……ごめん、どうしてこんなこと思ったんだろう」
「なんだろうね。ちょっとだけ懐かしい気持ちになっちゃった」

【そ、そうか】
【誰か、似た人がいるのかもしれないな】

【ええと……自分は、この辺で】

「行っちゃうの？　会いたい人は？」

【…………？】
【何の話でしょうか。誰かとお間違えではないでしょうか？】

「え？」

【そもそも、何故自分がここにいるのかも……】
【それでは、失礼します】

「ちょ、ちょっと待って！　ねぇ！」
「君は、もしかして──」

「……行っちゃった」
「そっか……君はこうやってずっと、待っていてくれたんだね」
「ごめんね、思い出すのが遅くなって」

「今度は、僕の番だね」
「君のように僕も、ここで君が来る日を待っているね……」