【声劇フリー台本】ロクでもない後日談
ろくでなししかいません。
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【台本】
酷く歪んだ自己認識がロクでもない結果を生んだ。
あーあ、またやってしまったなって後悔したところでもう遅い。
時間は巻き戻らないし、やり直すことは出来ない。
そもそも最初から間違えていた。
僕というやつは、本当に人を見る目が無いらしい。
相手がいい人かそうでないかとかは関係なく、着眼点がおかしいらしい。
曰く、通常許容出来ないところまで許容してしまう。
曰く、無視してはいけないところを無視してしまう。
距離が近づけば近づくほど、許容は酷くなっていく。
それはもう一種の宗教だった。
おそらく僕は、友人と呼べる人間ほぼ全てにそうしているのだろう。
そして毎回、友人ではなくなり、宗教をしなくなった後にようやっと許容してはいけなかったものに気付いて酷い痛みに苛まれるのだ。
ようやく分かったよ。
分かったところで直せるのかどうかは分からないが。
距離感を間違えればすぐに破綻する。
今回もそうだった。
誰に言うこともなく、自分で気づくこともなく。
対等に見られていないという劣等感を抱え続けた。
距離が近くなければ抱くことのない劣等感だっただろう。
そうして抱え続けた負の感情が、ひとつをきっかけに大きく爆発して。
結果、一人の友人と数人の知り合いを失うというロクでもない結果を生んだのだった。
爆発した感情が思考を狂わせたが、どうやら最後の最後で理性が働いたらしい。
僕は最後まで真に抱え続けたものを本人に言うことは無かった。
どうせ言ったところでという話でもあったのだろう。
どうにも後味の悪い話だ。
おかげで、憶測であれこれ言われているのだろうという想像が容易に働く。
好きなのは確かだった。
尊敬もしていたし、楽しく過ごせる友人だった。
同時に許容し続けた嫌いな部分がたくさんあった。
好きが百で嫌いが五十あるけれど、その嫌いは見なかったことにする。
これが僕のやり方で、見なかったことにできなくなれば一気に噴出する。
激しい掌返しの正体はこれだった。
本当に、ロクでもない。
ただまあ、嫌いな箇所が一気に噴出したからと言って好きだった箇所がなくなるわけでもない。
願わくば、どこか知らない遠いところで精々健やかに生きていてほしいものだ。
僕はもう関わる気もないし、関わりたくもないけれど。
僕はロクでもない奴だが、君も大概ロクでもない奴だった。
僕は性格故いろいろと許容してしまったが、普通に人間として最低な部分もあった。
ひとつ言えることがあるとするならば、君のそのおかしな距離感をもう少しどうにかしたほうがいいだろうということだけれど、もう伝える機会もないし伝えたいとも思わない。
精々自分で気づいてくれ。
万が一これが本人の目に触れてしまったらきっと怒られるのだろうな。
知ったことか。
僕はただ、やりきれない感情をこうして処理しているだけだ。
未練がましいだのなんだのと言われる筋合いはない。
そもそも後悔はあれど未練などない。
うるさいな、言葉ぐらい吐かせろ。
なんていう、ロクでもない後日談。
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