◉母との再会
中学になったある日。
突然母から連絡がきた。
『みんな元気にしてますか?お久しぶりです。よかったら一度会いませんか。』
居なくなって以来の連絡だった。
兄弟3人は目をまんまるくして驚き、その光景が一瞬信じられなかった。それと同時に、会えることに対するワクワクとドキドキが込み上げてきたのを覚えている。
再会の当日。家に母が車で迎えにきてくれることになった。
3人で今か今かと外で母を待っていると、それらしい車が近づいてきて、目の前で止まった。
久しぶりすぎて少し心臓がバクバクしていた。
車の窓がゆっくり空いた。
『久しぶり。』
優しく微笑んだ母が窓越しに顔を覗かせた。
嬉しすぎて思わず叫んだ。
久しぶりだったけど、すぐ幼かったあの日に戻ったようだった。
その日を境に、月に一度母には会えることになった。私は母が大好きだったから、その日は必ず予定を空けて一緒に遊びにいっていた。
ある日2人でドライブしていた時、思い切って母に聞いてみた。
『どうしてお母さんはお家でていったの?』
『、、、、大人になったらわかるよ。』
そのまま話は終わった。
でも、それでもよかった。母が元気そうだったから。
月日が流れ、高校に上がった時、また2人でドライブに行った。
姉と弟は友達と遊ぶ機会が増えていたから、母と遊ぶ回数はだんだんと減っていた。
だから母は私と2人で出かけることも多くなっていた。
2人でドライブしていたとき、母の口がゆっくり開いて私に小さい声でこう言った。
『ゆき。お母さんね、再婚する事にしたんだ。』
母は、緊張している様子だった。かなり勇気を振り絞って私に言ってくれたんだろう。
私はそれを聞いた時、
『え!そうなの?相手見つかってよかったじゃん!』
それを聞いてほっとした様子の母は、
頑張って笑って感情をごまかしてるのがわかった。
母は遠い目で何かを見つめてる様な感じで、少しだけ微笑んだ。
いつもの様に、家の前でバイバイした。
その晩母から一通のメールが私宛に届いた。
"ゆき。いつもありがとう。お母さん再婚のこと2人に言ったら嫌われちゃうよね。もしかしたらもう会えなくなっちゃうかもしれない。
でも、お母さんが悪いから、仕方ないのかもしれない、、、本当に2人に言っても大丈夫かな。嫌われちゃったらもうお母さんにはきっと会いたくないよね、、、、"
そんな文章がとどいた。
もしこれで本当に嫌われてしまったら、、、
一生子供たちに会えなくなってしまったら、、、
そんな事への恐怖で胸がいっぱいになったんだろう。
私は一言『大丈夫だよ!!!嫌うはずないよ!!!』
母の不安を取ってあげたくて出た言葉。
それを聞いた母は、その晩思い切って母はメールで2人に伝えた。
母からのメールを見た2人、真剣に目を通していた。
その文から2人も母の気持ちを察したんだろう。
2人の口から出た言葉、
『そうなんだ。よかったじゃん!』
そう言って送ったメール。
"お母さんおめでとう!"
それを見た母はもしかしたら、安堵で1人泣いていたのかもしれない。
その晩みんなそれぞれの思いを抱えながら
布団に入っていった。
これを読んでくださっている中にも、親が離婚している方はいますか?
いろんな両親の別れや、さまざまな事情で会えなくなった人達も中にはいるかと思います。
憎んだり、許せない思いがあったり、怒りが残っていたり、
でももしくは、お互い折れどころが分からなくなっている人もいるのかもしれない。
様々な感情はあると思いますが、母といえども
1人の人間であり、その人だけの人生の物語や、使命を必ず持って生まれてきています。
家族だから絶対"お母さん"をやらなきゃいけない。"お父さん"をやらなきゃいけない。それが全てなのかな、、、
こう言うと、変に思われるかもしれませんが、
私は別に、それぞれの人生でいいと思うんです。
私はあの日思い切って決断して家を出た母の行動はかなり勇気が必要だったんだろうと思います。
母には母の人生があり
私には私の人生がある。
お互い1人の人間。
大事なことは、一人一人が自分の足でしっかりと立つこと。自分の足で立てれば、何度だってやり直せるのではないでしょうか。
今母は、最高に優しい旦那様と一緒に幸せは生活をしてる。そんな姿を見れているわたしは、心からほっとしています。
お母さん、これからも自由に思うがままに生きて下さい。それ以上に自由な私をいつも応援してくれて本当にありがとう!
最後まで最高な人生にして行こうね!
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