言葉の呪い

カモミールティーがあまり好きではないときみが言ってから、カモミールティーが美味しく感じられなくなってしまった。きみの言葉は、きみ自身よりも強い力を持って、ぼくの中に残り続けている。それは言葉がぼくの鼓膜を震わせたそのときよりも特別な美しさを持っていて、それなのに、それだけに、ぼくを苦しめる。言葉というのは、それを発する人間よりも息が長く、生まれた時点では薬であったものも後になって強力な毒に転じることがあるらしい。言葉は劇物である。

しなないでください、と言ったきみの言葉を思い出すとき、ぼくは確かに傷ついている。あのとき救われたように感じさせてくれた言葉も、今となっては足枷である。きみはぼくの人生の片棒を引き受ける覚悟もなく、あんなことを言うべきじゃなかった。きみの言葉はぼくを呪い、ぼくはぼくを呪ったきみを呪う。可愛さ余って憎さ百倍というが、きみが美しければ美しいほど、きみに対するぼくの憎しみも募る。かつて天使のように感じられていたきみは依然として天使のまま、ただぼくの中のきみの言葉だけが、悪魔となってぼくを苛む。

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