力学§6:2体問題
§6.1 重心運動と相対運動
2つの質点(質量m_1, 位置ベクトルr_1 および 質量m_2, 位置ベクトルr_2)を考える。内力(相互作用)について、
が成り立つ。2つの質点に対する運動方程式は、
であるので(F_1とF_2は外力)、両式を足すと
が得られる。ここで、重心
を定義すると、運動方程式は
と書き直せる。全質量M=m_1 + m_2 である。従って、重心に全質量があると考え、外力の総和がはたらいていると考えればよい。
次に、今度は2つの質点の運動方程式を足し算でなく引き算する。つまり、相対位置ベクトル
を考える。運動方程式より、
換算質量μ
を定義すると、
となる。一見複雑であるが、例えば、外力が重力のときは、右辺第二項と第三項が打ち消しあい、
と式が簡単になる。
以上より、2つの質点(質量m_1, 位置r_1 および 質量m_2, 位置r_2)の運動は、①質量M, 位置r_Gと②質量μ, 位置rの2つの質点の運動として記述できる。
問6.1 以下の式を示せ。
また、全運動量の和は、
となり、重心の運動量に等しい。
全運動エネルギーは、
となり、重心の運動エネルギーと相対運動のエネルギーの和として書ける。
全角運動量は、
となり、重心の角運動量と相対運動の角運動量の和として書ける。
問6.2 以下の図のように、ばねでつないだ2つの重りの自由落下を考える。(伸び縮みしながら落下する。)
重心の運動と相対運動を
を使って表現することで、2つの重りの運動を解析せよ。
§6.2 ケプラーの法則
太陽と地球の相対運動を考える。先ほどの「2つの質点」が太陽と地球になり、前節を参考にすると重心運動と相対運動に分けて議論する。特に興味があるのは相対運動である。
まず、質量について、太陽の質量>>地球の質量なので、状況は m_s >> m_p に相当する。つまり、換算質量は、
と考えてよい。
太陽の位置に対する地球の位置は、
で表現できる。太陽と地球の質量の差を考慮すると、
なので、太陽は重心位置に留まっていると見なせ、地球の運動のみを考えればよいことになる。つまり、重心運動は考えなくてよく、相対運動のみを考えればよいことになる。(地球だけの一質点の運動と近似できる。)
さて、地球と太陽の間にはたらく力は万有引力なので、
より、相対運動の運動方程式は、
と書けることになる。
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