フジロックに「やってほしかった」ある対策

既知の通り、有観客で開催されたフジロックが多くの批判を受けた。

2016年から参加していて歴は浅いが、大好きなフェスだけに主催者に対してものすごくもやもやしてしまったので、自分の意見を記そうと思う。

有観客開催については否定はない。第五波が酷くなるなか、「マジでやるの?」という不安は非常に大きかったが、同時に開催に漕ぎつけたことはスゴいな、できるだけ代償が少ないまま終わりますように(無事とか成功という言葉は安易に使えない)と応援していた。

配信で映し出された光景の第一印象

初日の金曜日、期待してYouTubeの配信を観たが、その光景を見て、正直ガッカリしてしまった。

分かりやすいのは以下のツイート。

さすがにこれを見た第一印象「やべえ、想像以上に密だ」である。この第一印象が今回とても重要。

今年は早々に現地参加を諦め、グッズ購入での応援を決めたが、もちろんフジロックのことは気がかりだったので情報収集はしていた。

政府・自治体のガイドラインに沿って、観客数制限などの対策をしっかりやっていたことはもちろん知ってる。現地の最前エリアは、マークをつけて距離を保とうとしていたこともTwitterの現地情報で知った。

なんなら、どうしてもカメラの都合上、圧縮効果が出てしまい、実際よりも密に見えてしまうということも知っている。

「やべえ、想像以上に密だ」からの「いやいや、そう見えるだけだ。ガイドラインに沿って対策しているはずだ」って思い直した。

でもね、それってフジロックが好きだからこそ、擁護したいからこそ、しっかり頭働かせてたどり着く結論なんだよ。

フジロックのことをよく知らない大多数にとっては「やべえ、想像以上に密だ」で終了し、当然批判するわけです。

そしてメディアはこれ幸いと密になった観客席の写真を使って記事を書き、批判を煽るわけです。

フジロックに「やってほしかった」ある対策

「現地での感染拡大を抑える」という観点では、主催者は現実的にできることをほぼすべてやったのだと思います。

今回の対策を実現することさえ、エゲツない労力とコストがかかったはずで、その実現力は素晴らしいことだと思います。

しかし「コロナ禍にもかかわらず、不充分な対策で開催を強行した社会の敵」というネガティブな印象を残してしまった。

来年もフジロックを応援してもらって開催できる状況にするには、引いてはフェス産業を前進させるためには、現地だけの対策じゃ足りないんだと感じました。

つまり「フジロックそのものに興味がない大多数の人からはどう見えるか」という点での対策を行ってほしかった。

具体例を挙げると、グリーンステージの最前エリアに描かれた、距離を保つためのペイントマークは、もっと広げるべきだった。

写真を見る限りでは1m間隔なのかな。現地での対策としては充分なのかもしれないがそれでは足りていない。2m、3mとカメラの圧縮効果を打ち破るだけの距離を取って、写真で切り取られても第一印象が「ちゃんと距離保ってるじゃん」になるよう計算すべきだったと思う。

ホワイトやヘヴンでは面積的に難しかったかもしれない。グリーンでも厳しかったのかもしれない。でもグリーンではもっと無理してでもやるべきだった。メインステージであり、記事やSNSでも切り取られることが多いフジロックの「顔」なのだから。

それができないなら、ガイドライン以上に観客を減らすべきだった。

これはあくまで一例にすぎない。


現地参加した人が「マークを使って距離を保っていたよ」「演奏の前と後に必ず主催者がMCで注意喚起していたよ」などなど現地の様子を報告し、「外から見たフジロックと、内から見たフジロックでは大きく異なっていた」と擁護の声を上げている。

でもそれって現地参加した人の仕事じゃなくて、主催者の仕事じゃないの?そうした取り組みをもっと外部向けに発信すべきだった。とっても酷な話だけど、今回に限っては社会・世間に対しても責任を持っていることをアピールすべきだった。外部からの批判への対策という点では隙だらけだった。

分断

初日の金曜日、SWEET LOVE SHOWERを含めた3つのフェスの中止が発表された。フジロックの初日に発表されたことが特に痛かった。

フジロックが批判されている状況を見て、3つのフェスがフジロックに対し「NO」を突きつけたように見えるからだ。

特にSWEET LOVE SHOWERの開催予定日は、フジロックの翌週である8月27~29日。直前過ぎる。フジロックの状況を見てから判断したと思われても仕方がない。フジロックは梯子を外されたのだ

もちろん内々で中止を決定してからも、発表までに調整すべきことはたくさんある。たまたま発表が重なってしまったのかもしれない。

にしてもタイミングが悪い。主催のSPACE SHOWER NETWORKSは、番組制作でフジロックに現地入りする程にはSMASHと関係があるため、「お前、嘘やろ・・・」と思ってしまった。

これをSMASH側になんとかしろというのは無茶苦茶な話だ。ただフェス産業も一枚岩ではないことが露呈した。

終わりに

言いたいことはまだまだたくさんあるが、とっ散らかってしまうし、果てがない。

僕が個人的にフジロックにやってほしかった「国民の理解を得るための対策」を仮にやっていたとしても、もちろん批判は免れなかっただろう。100%の対策なんてありえないから。

それでも少しは素直に応援したいという声は増えたんじゃないかなと思う。

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