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どうでもいい話(2022年 5月分)


いい人 症候群

そんな言葉が有るかは知らんが、何事にも“白”と“黒”でしか判断 出来ない、私。
これは頭で考える ものでは無く、本能的に そう 捉えてしまうのだ。
この人、いい人なのかも…
一度感じてしまうと、善悪が塗り替えられてしまうのだ。
目盛りが傾く程度では無く、反対側に振り切る。
それも、優しみが見えた とか、手を貸してくたれた とか、ほんの些細な事で 善悪が塗り替わるから タチが悪い。
どんなに嫌いでも、苦手でも、嫌な事されても、善の判断が降りてしまうと 許せてしまう。
いい人だと感じると、コロッと落ちる。
つまり、惚れっぽい。
ヤンデレ度が高域。しょうもな。

トランスジェンダー度 ※苦手な方ご注意※

文脈だけ見ると若干 解離しているようにも取れるが、私の場合、精神は男女両方 備えている状態だ。
悪ガキな男の子、夢見がちな女の子、二人 手を繋いだまま大人になってしまった、馬鹿ップルな感じ。
どちらか一方を否定するものでは無く、共生している。
格好良くも ありたいし、可愛くも ありたい。どちらも自分。

なので、母親にカミングアウトした時「出来ることなら、性転換したい」と、口からポロッと出て、一番驚いたのは、自分自身だ。

黙っていることは得意でも、嘘をつくのが苦手な、私。
意識しないで零れたのは、明らかに 抱えていた、本音。

思春期の頃は、生まれ持った性別に 結構 悩んでた。
異性の友達と遊んだり、異性のまねごとをしてみたり、好きになるのは同性だったり。

確かに、性転換したい、と思ってた時期もあった。

当時、メディアで取り上げられるのは、自分の身体が嫌で嫌で 死を考えるような思い詰めた方々ばかりで。
そこまでじゃ、ないんだよなあ。
私の場合、トイレやお風呂に入る度
「何で 有るんだろう?何で 無いんだろう?」
不思議に思う程度の軽いもの。

なので、自分は“そう”じゃない、と思い込んでた。

大人になり、
「折角この身体で生まれたのだから、生まれたままの性で生きてみよう」
と思ってた。
生まれた性で 幸せを得よう、と考えてた時期も有った。まあ、体調崩して音をあげたんだけど。

それからは どっちつかずに生きて、カムアウトに達した訳で。

「性転換したい」と言ってから、何で言ったのか、自分で自分が分からず考え込んでた。

気付けば、性転換の詳細・手術法・体験談なんかを
調べ続けている自分がいる。

ひょっとして、やっぱり私は “性転換したい”のでは。

気づいたらもう その気になって、異性になった自分を想像しては、不思議と他の物事にも やる気が出てくるではないか。

なので、年頭に
「今後十年の間に、計画して 実行に移そう」
と決めた。

年齢的には遅いけど体調面や先立つ物なんかあって、すぐ実行に移せないしね。

何事も白黒つけないと吹っ切れない性分で、あやふやにグレーな存在だった自分が、一番 許せなかったんだと思う。
一体全体いつになるのか、現状では想像もつかない けれど、楽しみ過ぎて 毎日 ハッピーだ。えへへ♪

スローモーション

危険な目に遭って 全てがスローに思えた 時は、有るだろうか。これ「タキサイキア現象」て 言うらしい。

こんな私でも 経験したくらいだから、結構 経験者は 居るんじゃないかな。
私は、2回 覚えが有る。

学生時代 と、わりと最近。

もう一個あった気もするが、忘れてしまった。
昨今 記憶力の減退が酷い。よる年波には勝てないな。

当時、私が 感じたままの 臨場感を、稚筆で お伝え出来るか 甚だ疑問ではあるが、スキルアップも含めて、ちょっと頑張ってみようと思う。
再度、見守って頂ければ幸いです。

タキサイキア①

高校②の時分、私は主に車やバイクで登校していた。車通学OKな学校だったので。
実家から学校まで、およそ40km。だいたい1~2時間。
毎日往復していれば「私、運転 上手いんじゃね?」なんて、過信するのが若気の至り。

その日はバイクで登校した。
授業 実習を終え、帰路に着いた。

道程が長いので、その間に軽くバイクが止まる仕組み、ブレーキについて説明しようと思う。
私が乗っていたのは、油圧の前輪ディスク式・後輪ドラム式。バイクでは よくあるパターン。
ディスク式はタイヤホイールに付いている丸い板を、パッドで挟み、摩擦でタイヤの円運動を止める。自転車に近い。
ドラム式はタイヤの主軸の回りに付いている円筒。内側のパーツが外側に向かって張り出し、円筒に触れる摩擦で円運動を止める。
ディスク式の方が停止する力が強いため、前輪3:後輪7 程度の加減でブレーキをかける。
前輪は手元右側のレバーを握る、後輪は右側のペダルを踏む。
皆様興味 無いかな。

現行は知らんが、当時のバイクにABSなど搭載されてはいない。ブレーキ加減を間違えれば、タイヤがロックして路面を滑り、止められない。

帰路の3分の1程 走っただろうか。
渋滞する国道を避け、枝道を進むのが 登下校の定番だった。

ひょいっと入った二車線の枝道。
走行する車も まばらで爽快だ。
そこそこスピードに乗り、ルンルンでバイクを走らせていた。

前方をワンボックス(車)が走っていた。走行距離も まあまあ空いていたと思う。

特に信号も無い道路で、ふっと、前方車両のテールランプが点灯した。

ん?停車でも するのかな?

私も軽くブレーキに手と足をかけ、追い越し姿勢に入る。
車線 中央に寄った、私。特にスピードは緩めない。

それがいけなかった。

前方車両が、パッとウインカーを出した。左 に出すかと思っていたのに、まさかの 右。
方向指示とほぼ同時に、スイっと車体が右車線に はみ出した。

空いた左車線には、軽自動車。
停車中の車が、私には見えて無かった。

(誤記) 走行距離 × → 車間距離 ○

目前に並んだ軽自動車とワンボックス。すり抜ける隙間は無い。

ッぶつかる!!!

咄嗟に 握り踏み込んだブレーキ、急ブレーキだ。

キキキキーッッ

加減など頭に無かった。

あ…あれ??

あれよ あれよとバイクが道路と垂直になっていく。

ブレーキペダルを強く踏み過ぎ、後輪がロックしたのだ。
よほどスピードに乗っていたのだろう。
後輪が滑ったバイクの車体は、横薙になったまま前進していく。

ガシャアアアンッ!!

体勢を立て直せず、私はバイクごと すっ転んだ。
ここからは もう、コマ送りの世界だ。

バイクから離れた私の体は、道路に投げ出され、倒れたまま 慣性に従い転がっていく。
道路と垂直にゴロゴロと転がりながら、ハッキリと見えた。

倒れたバイクは、なおも回転しながら路上を滑り、停車中の軽自動車に寄っていく。

後続の大型トラックが、私に近づいてくる。

澄み渡る青い空に白い雲、飛び交う三羽の小鳥まで静止して。

まるで映画のスローモーションな演出の様だった。

ヤベェ!
バイクが軽自動車にぶつかる!
トラックに ひかれる!
このまま転がると 歩道の縁石に頭ぶつかる!

様々なことを考えてた。なのに、体は動かせない。

ゴロゴロゴロ…パッ タンッ…

うつ伏せの状態で、ようやく私の体は止まった。

死んだ。

と、思った。

だがどうだろう、意識は有る。
生きてるかもしんない…
あんまり、痛くも無い。
骨も、折れて無さそうだな。

道路にうつ伏せのまま、しばらく考えてた。

後続トラックの運転手さんが、慌てて飛び出した。

「だ、大丈夫かーッ!!?」

「…だ……大丈夫でー…す」

としか言えない 私。

よろめきながら立ち上がり、周囲を見た。

私は縁石 30cm 手前で止まったようだ。ヘルメットが有るとはいえ、ぶつかってたら惨事である。
後続のトラックも 5m程まで接近していた。ひかれなくて良かった。
バイクも ギリギリ 1m程 手前で止まっていて、軽自動車には接触していなかった。

色々、助かってるー…

もの凄く、胸をなで下ろした。
とはいえ、通行の邪魔になってしまうので、私は慌てて駆けてバイクを引き起こし、ギアをニュートラルに入れて、路肩に寄せた。
トラックの運転手さんに軽く礼を述べ、先に行ってもらった。

…もの凄い滑り方してたけど、バイクは無事なんだろうか…

バイクのガソリンタンク側面はベッコリ凹み、注入口の蓋からは、ガソリンが漏れ たれ流れている。
左側の後方ウインカーは、根元から ボッキシ折れ、配線コードで ぶら下がっている状態。

ああー…やっちまったなぁ…

実家も学校も遠い、復路の ほぼ中腹。

一度 家に帰るか、整備の道具類が揃っている学校に戻るか。
メチャメチャ悩んだ。

だいたい、エンジン生きてるのか?
ガソリン漏れてるけど、エンジンかけて引火しないか??

ちょっと、エンジン かけるのに勇気が要った。
怖々 スターターをキックしてみると、ドルンッ と良い音を響かせて、エンジンが かかったではないか。

…学校に戻ろ。

こうして、私は 九死に一生 を得た。
その後、学校にバイクを置いて、公共交通機関で 実家に帰った。

先生方に大変心配をかけた上に、実習時間の間、授業そっちのけで バイク修理に明け暮れた。
タンクにパテ持って塗装して、ウインカーの配線直して元の位置に戻して。
なかなか出来ない体験をした。本当に、ありがとうございます(礼)

あ、抜けてた(汗)
己の運転技術を過信した「だろう運転」は、大変 危険です。
皆々様は「かもしれない運転」で 安全運転 を、心がけて下さいましね。

なんか覚醒した

ちょいと差込み。

小学校一年生
漢字テストで0点を取った。

名前を書き忘れたとかでは無い。単純に、漢字が書けなかったのだ。

小学校二年生
九九が半分しか覚えられなかった。

同級生が全ての暗唱をクリアしていく中、私は一年 掛けて この体たらく。いまだに 九九は怪しい。
小四 までの当時のテストは、解答が問題文に隠されていたので、探し出す作業のみで 成績は悪くなかった。

小五 で壁に ぶち当たった。テストの中に解答が無いのだ。もの凄く狼狽したのを覚えている。

そこから 中学三年間は赤点ギリギリ。先生に呼び出しを くらうのなんか、しょっちゅうだ。
とにかく、覚えられない。
いわゆる 劣等生だ。

当時 主流の覚え方とは、ひたすらノートに書き出すこと。
それ以外、無かった。

どんなに書き出しても書き出しても、私の頭には残らない。

中卒でいいや。

そんな私でも 年並に将来の夢なんか抱えていて、進学するなら高専に行きたい、と思ってた。
だけど、勉強の仕方なんて知らない。お塾にも通ってなければ、参考書を開いても ちんぷんかんぷん。

受験勉強に かこつけて、部屋に こもってゲームばかり していた。

そんな状態で入試に のぞんだところで、結果は見えてる。
スパッと落ちた私は、学友と同じ安全圏の 公立高校を受けることにした。
高校に入学できた 私に、最初の中間テストで ミラクルが起きた。

数学テストの点が、なんと 78点 だったのだ。

おおー、こんな点数見た時 無い!

喜ぶ私は、数学の先生に呼ばれ職員室に赴いた。

「○○!お前、手を抜いてるのか!?この点数は何だ!お前、もっと出来る子だろう。真面目にやれ!」

──はい????

ですよね。
褒められるなら分かるけど、叱られるなんて思いもしなかった。
そんな出来る子、私は知らない。

なんでだか入試の点数が、すこぶる良かったらしい。

一体 何点 たたき出したんだ…
怖くて聞けなかった。

とりあえず 負けず嫌いな私は、先生に発破をかけられ、悔しく思う。
次の期末では、良い点数、取ってやる。意気込みは最高潮。

とはいえ、勉強の仕方なんか知らない。
どうしたものか…
自分の記憶 について、考えた。

勉強は覚えられないけど、一度観た映画や漫画なんかは、台詞もびっしり頭の中に再生 出来る…

とりあえず、日々授業をちゃんと受けよう、と思った。
黒板と教壇に立つ先生までを、映画のワンシーンだと 思い込むことにした。

テストと同時期に、ノート提出がある。
皆が授業中に色ペンを持ち替えノートを完成させる中、私は鉛筆一本。黒板から先生の雑談まで、全てノートにメモ取った。
家で授業風景を思い出しながら、ノートを綺麗に清書する。
ほぼ それのみで、期末テストにのぞみ、晴れて100点を叩き出した。
正直、名前呼ばれてビビったんですが。

周りと同じ覚え方が、私には合ってなかったのだ。

私の場合、書き “出す” だけでは、覚えられない。
頭の中に 再度 “入れ” 直さないと、駄目。

頭の中で再生して反芻する事でも代替出来る。それに気付くまで、十五年かかった。
今では“鬱”という字がソラで書ける。能力の無駄使い。たははw

最近の学校では、そういう子に合わせた学習方法を、個別に指導するらしいじゃないか。

なんて素晴らしい世の中になったんだ!

教育関係の皆様、大変とは思いますが、草葉の陰から応援してます!

(誤記) 十五年 × → 十三年 ○

んんん?十五年で良いのか。高校だもんな。
なんか、グダグダでスンマセン。

タキサイキア②

これは ニャンコの話 でもあるんだが、私の身に降り注いだ現象なので、こっちに書こうと思う。

我が家のニャンコ、クロ(仮名)の出来事。

クロは4歳位のオス猫。臆病で人見知りだが、頭が良く 芸事は すぐ覚える、甘えん坊だ。
ええ、目に入れても痛くないほどに カワユイんですよ。
歳若く、兄弟猫とヤンチャしながら 家中を走り回る活発さ加減で、スクスク成長したクロは、気づけば 5kg強、我が家で一番 巨漢な たくましい猫に成長した。
ビビりな性格に 変わりは無いんだけど。

わりと最近、私が家のベッドで くつろいでいた時分。眼鏡を外していたから、スマホいじってたのかな。
ええ、老眼だもんで、ド近視用眼鏡を掛けていると、手元が見えないんですよ…

我が家のニャンコ用設備として、あまり場所を取らないキャットタワーが設置してある。天井突っ張りタイプ、半畳程のスマートなものだ。

お部屋の中をランニングして エキサイトしたクロは、タワーを駆け上がり 駆け下がり
もちろん、いくら私でも ニャンコに踏まれたくは ないので、ベッドから離れた場所だ。

ドダドダットーンッドダダッ

走ったり ジャンプしたり、クロの足音を聞きながら、ちょっと幸せな気分に浸っていた。

ふふ、今日も元気いっぱいだな。

ご老体の先住猫らを はべらせて、私は枕に頭を沈めた。
我が家のカーテンレールは、昭和の香り漂う 弱々しい支柱がむき出しの、二車線のもの。
先住猫らは興味を示さなかったが、チビたちに とってはキャットウォークだ。

いつも私から斜向かいの長いラインを、若干 震えながら進んでは、エアコンの上を確認して、後進しながらキャットタワーに戻ってくる。
いい加減、猫重によりレールのたわみ具合が半端ないので、ぶっ壊れる前に 止めて欲しい…
思ってはいるが、ニャンコに言っても無駄なので、口にはしない。

私のベッドの上にも、短いカーテンレールが在る。
こっち側来る事は滅多に無いんだけど、なんか そういう気分だったのかな。

カシャッ…

頭上で カーテン吊る滑車の動く音がした。
あんまり近くに聞こえたので、私は思わず、パッと音の方向を見た。

それが いけなかった。

あの真っ黒い塊はクロ。眼鏡無くてもわかる。
いつの間にやら、横臥する私から垂直の真上まで、カーテンレールを進んでいた。

もう一度言うが クロは、ビビりだ。
突然、目が合った!と思ったのだろう。
驚いたクロは、カーテンレールの上で、飛び上がった。

ここから私の 視覚処理能力 は、極限に達した。
再び、時の流れが 緩やかになる。

普段の私には、眼鏡が無ければ1.5m先のニャンコの姿は判別 出来ない。
それが、ハッキリと表情まで、見えるようになる。
両手 両足を びよっと伸ばし、滑空姿勢を取った、クロ。

私の顔の直上で、ふわふわとした胸毛を逆立て、柔らかそうなお腹の毛並みが 皮膚の根元から たなびいている。

細い猫毛の一本一本の、流れまで しっかと見えた。

クロは にゃんぱらり と、着地姿勢に移行する。
両手両足を畳んでいき、背を丸めて、四足を突っ張った。

目前に見えるは、大きく開かれた、指と肉球。
しばらく爪を切っていなかった。鋭く尖った爪が光る。

あのッ! 爪にッ! 踏まれッ!たくないッッ!!!

恐怖に おののいた。

だけど、やはり体は動かせず、避けられないまま、見てるしか無かった。

ドッッ …ボフン

視界が真っ黒に おおわれ、星が瞬き 弾け飛んだ。

私の顔面に、文字通り、クロが 降り注いだ。

あまりの衝撃に呼吸が止まった。
例えるなら、5kgの土嚢が 仰向く自分の顔に 落ちてきた様なもの。
枕を敷いていた とはいえ、鼻からクリーンヒットして、なかなかに 強烈だ。

死んだ。

と 思った。

視界は真っ白へと反転し、呼吸が出来ない。

ヤベエ…首、逝ったかも…

そう思った刹那、過去最高ともとれる強烈な痛みが、鼻先と後頭部に走った。

「ッッッい゛ッ…!!!」

痛いとか、言葉にならない。
私は強く目を つむり、両手で鼻っ柱を押さえた。

悶絶。

小一時間、同じ姿勢で 痛みと戦った。
たまらなく痛い。痛いが、クロは無事なのか…??

私は運良く、踏まれてはいなかった。四肢はギリギリ顔横に位置し、クロのお腹ら辺に ぶつかったのだ。

見えていた範囲では、私の鼻先が クロの みぞおちに、刺さった気がする…

うっすら目を開き、眼鏡のレンズを目に当て、ベッドサイドを確認する。
周辺を トコトコ歩く、クロの姿。
私が動いたので、こちらを見た。

クロは、何事も無かったかの様に、ケロッとしていた。

よ…良かったあぁ…

安堵した私は、再び、自分の痛みとの格闘を始めた。

その後、鼻血は出るは、後頭部は突き抜けたように痛いは、首は おかしいは、で 私は数日苦しんだ。
お家の中にも 危険は いっぱい。
ニャンコは、目には入りません。

母の日でした。おめでとう。

シングルマザーで子供三人を育て上げてくれた、私の母へ。

十代の頃は、
「私が父の代わりに 男手として、母姉・一家を支えねば」
と、勇んでいた時期もありました。

今は、そこまで する必要は無いんだと、信じています。

貴女にとっては、私はいつまでも 手のかかる
何も出来ない、甘ったれたガキんちょ なんだと思います。

あまり、侮ってくれるな。

母姉それぞれ、家庭を持って、幸せなんだと、信じてます。
私は私で、楽しく 幸せに 生きているから、あまり、心配してくれるな。
心より、感謝を込めて。

あ、話し相手は欲しいんで、母も姉も、お喋りしてね♪

白黒

少し前に、自分の中の白黒が反転し 悪が善に判断されてしまう話をしたが、極めて稀だが、逆のパターンも存在する。
自分では ねじ曲げる事は困難な 本能 だもんで、黒 に変色した 白い人間とは、出来うる限り関わり合いたくない。
接触しないに越したことはないが、そうも行かない場合もある。

身内の場合だ。

私の中で、黒い人間の筆頭に上がるのが、おなかを痛めて 私を産んでくれた、実の“母親”だ。

産んでくれたことには、感謝している。

お世話になりっぱなしで何ほざいてんだ。と自分でも思うのだが、どうしても譲れないものがあり、皆様には不快でしかないが、語らせてもらいたい。

母親は、アレ①

あえて現役時代、周りに公言していた言葉を使わせてもらう。

「私は、母親を“社会人”としては尊敬しているが、“母親”としては尊敬していない」

先に述べれば、私の母親は “嘘つき” なのだ。

時代背景や 心もちを考えれば、なんで そんなこと言ったのか、分からんでもない。
単純に冗談や いたずら の可愛い嘘では無い。一度や二度でも無い。

私が育つうちに 幾度となく重ねられた 母親の嘘 は、私の母親への想い全てを、白から黒へと塗り重ねてしまった。

本能が、母親 を拒絶した。

母親を語ると どうしても自分を棚上げして見下したような言い分になるが、ご容赦願う。

※重い話※

幼少期
「あれが、パパだよ」
母親が指さしたのは、夜空に輝く 真ん丸な お月様 だった。

私は信じて、月が姿を出す都度、ベランダから懸命に呼びかけていた。
父親は不在がちではあったが、その頃は存命である。

小学校低学年
「パパは、海外出張に行っている」
そう聞かされていた。

小学校高学年
母親が子供達を集め、真実を打ち明けた。
「実は、アンタらの父ちゃんと、離婚した」

年の離れた姉らは 父親のことを理解していたから、即、受け入れた。
私も合わせて理解を示しつつ、父恋しさに トイレに こもって独り泣いた。

後から「本当は 離婚したのは、アンタが小二の時」
聞かされた当時の、私の驚きは計り知れない。

「母ちゃん、絶対 再婚しないから」
そうも言ってた。

メインの嘘は このくらいかな。

成人過ぎた頃に、母親は再婚した。
それまでの間に数人 御付き合いされていた事も知っている。
母親とはいえ 一人の女性なのだから、幸せになって欲しいと思った。
だが、私の中で“嘘つき”のレッテルを貼られた母親とは、正直 関わり合いたくない。

大人になってから、私は逃げるように実家を出た。自分が家庭を持った事を期に、連絡を絶った。
子供じみた、反発心だ。

女手一つで子供三人を育てるのに、母親は様々な仕事に転職し 最大3つ掛け持ちで働いていた。
子供ながらに、毎日徹夜で忙しそう、まるで くノ一のようだ、と格好良く映っていた。
ワープロキーボードのローマ字入力やブラインドタッチを、私に伝授したのも 母親だ。
そういう社会的側面では、尊敬している。

まだまだ語り尽くせないんだが長いので、とりあえず 小出しに していこうと思う。

先日、母親からラインで

「母ちゃんは、アンタと仲良くしたい」

と 来た。私は、

えー……ヤダ。

と 思った。

私は別段 母親とは仲良くしたくないんだが。
向こうが その気なら、私の事を理解してからに欲しい。彼女は私を知らなさ過ぎる。
母教育は続きそうだ。

母の日ギフトは用意しましたよ。

器用貧乏

手先は器用に産んでもらえたので、勉強は出来なかったが、図工と家庭科は得意だった。
空き箱・ハサミ・セロテープ が有れば、日がな一日 遊んでいられた。

空想好きで、独りでボケ?と している時間も苦ではない。

夏休みの工作や裁縫の宿題なんかで母姉の手を わずらわせた覚えも無い。
そういう面では「なんでもソツなく こなす、手のかからない子供」に 思われていたんじゃないかな。

わんぱく だったので「遊んで!遊んで!」と わがまま言ったり、いたずら仕掛けて叱られたり、なんてのも しょっちゅうだったけど…

え、やっぱ 手がかかる子 だったかな。成長しとらんな。

虫は嫌いじゃなかった

子供の頃はティッシュ箱で作ったお手製の虫かご下げて、トンボを捕まえて遊んでた。
数十というトンボを、部屋の中で離しちゃって、母親が大騒ぎしてたのとか、面白かったんだがな。

セミも バッタも カマキリも、ぜんぜん平気だったのに…

虫の話も沢山あるよ。うひひ。

ワンダーワールド①

テンション上げるのに、ちょっぴりセンセーショナルな話も含めて語ろうかな。
あ、ちゃんと伏せますよ。流石に。

成人して間もなく、逃げるようにして実家を後にした時の話。
私は バイト先の仲良くしてた先輩宅に身を寄せた。
ワクワクしながら、初めて訪れた、先輩宅。

「お、おじゃましま~す…」

部屋に上がった第一印象は

…汚ったね。

だった。

7~8畳くらいの1Kかな。
我が家もびっくりの築年数で、汚れたワンコンロの狭い台所に、換気が悪いのか 壁紙は剥がれかけ 煙草のヤニと黒カビだらけ。
部屋の中は、シングルの万年床に、足の踏み場無く 散らかり放題。
無精な 私が言えた口じゃないんだが…
働き詰めの成人男性の部屋なんて、あんなもんか。長く住んでるらしかったし。

座るとこも無いので、敷っぱの しっとりとした お布団に ちゃぶ台を乗せて ご飯食べたり、生活してるらしい。
私も布団のゴミを少し寄せ、座り、先輩との雑談に花を咲かせた。
ブラウン管のテレビの横には、存在感を放つ ゴ○ジェット。

い…居るよね、この古さと散らかりようだもん。居るよね…

気が気でない。
実家にGは居なかった。
大人になるまで、チラッと外で見かけたくらいで、まともに目にした時は無かった。

風呂トイレは一体式。ユニットバス など想像するな。
脱衣場は無く、部屋から直接ガラス戸で繋がっている。
トイレを お借りしようとガラリと戸を引けば、目前に立ちはだかるのは、深い風呂桶。

oh…

ご存知の方 いるのかな。昭和の団地で よくあった古いタイプの、水色で ほぼ正方形。肩までしっかり浸かれる、股下位の高さの 浴槽 なんだが。
動線の悪いことに、奥のトイレに たどり着く為には、この風呂桶を またいで乗り越えねばならん。

一体、いつから掃除して無いんだろう…

小さい窓は在ったが、換気扇も無く 湿り放題、ぬるみ放題。
トイレは洋式で一段高くなっていたが、タイル貼りの床は 水気で滑って滑って、用を足すのも一苦労。

着の身着のまま実家を出てきた 私は、先輩にスウェットをお借りして、お風呂に入った。
ギリギリ給湯器とシャワーは在ったものの、この風呂桶に お湯を溜めるのは 勇気が要る。トイレが高くなってる所為で、洗い場が30cm幅しかない。
仕方ないので、風呂桶の中で体を洗った。念の為、丁寧めに。
先輩が お風呂に入ってる間に、私は 冷たい お布団に横になった。

掛け布団も一枚しか無く、周囲のゴミで圧迫された空間は、成人二人横になるには狭い。
私は出来る限り端に寄り、小さくなって、ゴミに膝が乗ってしまっていた。

バサバサとタオルを洗濯機に放り込んで、先輩がお布団に足を入れた。

「○○、もう、寝ちゃった?」

起きてます。

やましい気持ちを悟られたくなく、先輩の方を向けない。
私は狸寝入りを決め込んだ。

「狭くない?布団 出ちゃってるじゃん。こっち寄りなよ」

突然、上半身が後ろに引っ張られた。
先輩の片腕で、グイッと引き寄せられたのだ。
密着した背中が温かい。

こ…これは!バックハグ!!

心の臓が口から飛び出すかと思った。
まさか、こんな展開になるなど予想もしてなかった。

いや、まだ、私のことだ。期待値からの勘違いかもしれないし…

ぎゅうっと目をつむり、体が こわばる。

「…○○」

私の様子を うかがっていたのか、先輩に名を呼ばれた。
チラッと目をやると、先輩は酷く真面目な顔をしていた。

「俺、あんまり経験無いんだけど、いいかな」

私もです!!!

開通してはいたけど、こんな甘ったるい状況は初めてで、どう動けばいいのやら 見当もつかない。頭も心臓もパンクしそうだった。
…こんなウブな時代も、ござんしたね(遠い目)

スウェットの裾から入り込んだ、先輩の掌が熱い。
首筋に当たる先輩の唇が、音を立てる…

──はい!伏せ!!

やっば、全部喋っちゃうとこじゃない。はい、自粛!

あちこち いじられて、身じろぐ度に「可愛い」て、言って貰えたの、凄く嬉しかった。
好きな殿方とするのって、何て気持ち悦いんだ。
──お布団が、カビ臭く無ければ 最高なのに……

集中しきれなかったのは、言うまでもない。

こうして、カビの香りと共に始まった、先輩との共同生活。
驚きと 発見と 楽しさと 僅かに愁い、先輩との生活で得られた経験値は、私の人生では かなりでかい。
②に続く──

バイな話 ※苦手な方ご注意※

性別問わず恋愛しちゃう私ではあるが、求めるものは それぞれ異なる。※これは性差的な意味合いで無く、本来 持ち得る機能的な部分の違い。

男性 → 包容力・快楽
女性 → 安心感・幸福感

正直言って、私の性欲は深い。いざ ことが始まれば、気持ち快いを貪欲に追う。
女性には、そんな私に無理して付き合わせなくても いいんじゃないかな、と思ってる節が有る。
代替 出来んこともないけど、無理させるくらいなら、いっそ 性的な繋がりは無くても良い。自分独りで処理すればいい だけのこと。
軽くペッティングはしたいが、ぶっちゃけ、体温のぬくもり 欲しいし。
簡単に まとめると

男性には、ぎゅって ハグして欲しい。
女性には、ぎゅって ハグしてあげたい。

この違い。

今のところ こんなもんだが、そのうち、性欲についても語るだろう…

ええ、困っちゃうくらい、気持ち快いこと、大好きなんですよ…

ワンダーワールド②

先輩と交際には発展していない。あくまでも、私は先輩宅に居候した身。
私は先輩に「好き」を伝えたけれど、先輩から それに対する答えは無い。「付き合おう」的な ものも無い。

先輩にとって私は “仲の良い兄弟” 若しくは “動く抱き枕” 程度の存在。

私はそれで構わなかった。
先輩が私を“見限らなかった”という、事実。これだけで 充分だ。

ところで、居候3日目、私は困った事態に陥っていた。

猛烈に、空腹なのだ。

うっかりしていた事に、お財布にカード類は入っていたが、現金が入ってなかった。
小銭が数枚、自販機で飲み物買ったら終わりだ。
今と違って、コンビニでクレジットカードが使えない時代。ATMも 無かったり 提携してなかったり 稼働時間がタイトだ。
バイト時間も微妙にタイミングが合わず、銀行にも行けなかった。
実家では三食きっちり食べてた、私。
糖分の多そうな飲み物と水道水で しのいでいたが、労働に加えて、毎日 夜の運動で 体力が限界だ。
押しかけといて、先輩に そんな事 言い出せない。

今日一日耐えれば、明日休みだし…

なんとかなるだろう、と思ってた。

だが、やっぱりフラフラするし、空腹で情緒不安定だし、夜には泣き言を 言ってしまった。

「おなか、空きました…」

ちゃぶ台を挟んで、先輩は目を丸くした。事情を聴いて、
すぐに宅配ピザ屋に電話してくれた。

ほっかほか で ふっかふかな、チーズの伸びるピザ。
めっちゃウマかった。
先輩に おごってもらった、あのピザを越えるピザに、私は いまだに出会えていない。

恩義に報いねば。
学費と自動車ローンを抱えていた私は、お家賃を入れる代わりに 飯炊きを申し出た。
十五の頃から、働きに出ていた母姉に代わり、晩ご飯を作っていた 私。わりと何でも作れた。

問題は、台所。
勝手が分からない上に、凄く狭い。一口コンロに、小さなシンク。調理台など存在しない。
切った食材を置く所も無ければ、コンロも旧式で 点火装置が無い。丸型のたこ焼き器みたいなコンロ。
着火のためには、ガスを僅かに出して、ライターで火を点けねばならない。
一口しか無いのに、凄く面倒だ。
電子レンジも無いから、作り置きも出来ない。

それでも出来る限り、おかず二品と お味噌汁を作ってた。

味は結構、好評でしたよ。

夜には どちらからともなく、ハグッと抱きつき、くっついて
やられたら やり返し、子犬みたいに じゃれ合って、毎日毎日 楽しかった。
初心者同士、色んな事に挑戦しました。うふふ。

若干の不自由は有りつつも、先輩との共同生活に慣れていった、ある日。
食材の入ったレジ袋を引っ提げて 玄関を開けた瞬間に、忘れ果てていた ヤツ に遭遇した。

Gだ。

今思い出しても身の毛がよだつ…何アレ。

小型の茶色いやつで、思ってたほど大きくはなかった。
シンクの天井間近の壁に止まってた。
あまりの存在感に目が釘付いた。
私は戸を開けた姿勢のまま、固まった。

今すぐ、この戸を閉めて逃げ出したい!

恐怖だ。
ぞわり と 背中が総毛立った。
だが 今逃したら、次に会う時は30匹だ…
いや、既に お住い なんでしょうけども。

私は悲鳴を呑み、そおっと玄関に上がり、戸を閉めた。
ヤツから目を離さないように、ゆっくりと、レジ袋を置き部屋へと。

手にしたのは、常備されてた ゴ○ジェット。

た、戦うぞ!

意を決し、ヤツに狙いを定める。

プシュッ

案外と簡単に ふりかけられた。
直撃したヤツは、ポトッと落ちて、シンクの縁に置いてあった台拭きの上を弾み、床にひっくり返った。

…裏側キモい!

とどめに長めに噴射して、ちり紙を重ねがけ ビニール袋を手に掛け拾う。

ううう、触感が なんかリアル…

でも、とりあえず 一安心。
一息ついて、上の方で噴射したから、一応 食器類 洗い直して殺虫成分 落とさねばな…なんて辺りを見回して、ギョッとした。

…台拭きに、小豆が乗ってる…

小豆なんか、料理で使ってない。
夕べ ちゃぶ台を拭いた後、ゆすいでおいたから 何も付いて無かったはずだ。
見れば見るほど、背中が寒い。
大豆位の大きさで、色は てかった茶色。Gの色…

これは!! 噂に聞く、Gの卵か!?

戦慄した。

うええん、もう嫌だよおお(泣)

半泣きで 台拭きごと袋に詰めて、収集日で無いけど ゴミ捨て場に投げた。

かくして、プラス30匹の増殖を未然に防いだ、私。
まだまだ、ほんの入口ですよ。
③に続く──

少年漫画との出会い

小学生時代、お小遣いなど たかが知れてる。せいぜい500円、お手伝いの駄賃含めて1000円 行くか行かないか。
当時、私が買っていたのは、おまけの付いてる 少女漫画雑誌。

よく一緒に絵を描いて遊んでた女の子の友達が居た。その子も同じ雑誌を購読していた。
その子が発案、
「同じ雑誌なら貸し合えば良い、そしたら別の漫画も読める」
なんて頭の良い。と思った。

「じゃあ、私は少女誌を買うから、○○ちゃんは 少年誌を買ってね」
ズバッと言いきられた。

特に不服は無かったんだが、お子様なりの気を遣わせて しまったんだろうか…

まあ、少女誌は姉が買ってるのを
盗み読みしてたし…
あ、これバレると めっちゃ怒られるんで(汗)内緒ですよ!

それがキッカケとなり、少年漫画の元気いっぱいな まばゆい魅力に ずっぷしハマった、私。
描いてる漫画もどきも少年漫画になっていき、現在に至る。

あの子には感謝しかない。元気してるかな。
本当に、ありがとう♪

ワンダーワールド③

若さゆえに上司と大げんか。
勢い余って、そのままバイトを辞めてしまった。
色々 支払い抱えてたのに、全く馬鹿なことをした と思う。だが、せいせい したのも、また事実。

すぐに仕事も見つからず、時間が出来たので、この散らかり放題の先輩の部屋を なんとかしたいと考えた。
手提げ鞄くらいの私物しか持ち込めておらず、もう少し着替えとか置かせてもらいたい。
先輩に許可を得て、留守中に片付けを始る。

ええと…どっから手を付ければ良いんだろう…

部屋を見渡し、途方に暮れた。

万年床の周りには、積まれたままの洗濯物 に 雑多な物品。
ゴミの袋もそのままだ。
とりあえず、洗濯物畳むか。
結構な山であるが、使われているのは 頂き付近の数枚のみ。

…きのこ とか生えてたらどうしよう…

漫画で良くある光景が浮かんだ。

一枚一枚 怖々 畳んでいく。
降り積もったホコリとヤニで、低層の衣類は変色しちゃってるけど、人の物だし 捨てるに捨てられない。
ギリギリ きのこ は生えてなかった。

畳んだ衣類は万年床に寄せておき、ゴミは台所の袋に入れ、雑貨類を仕分けながら 積んでいく。

健全な成人男性宅なので、普通にエロ本が転がっている。
ちょいちょい中を のぞかせてもらった。

熟女系が多いなあ…
先輩、年上派なんだろうか。

気は散りますね。

片付けを進めていたら、雑貨の山を底上げしている土台が在ることに気付いた。

おおお、オシャンティなガラスの座卓が!
良いものあるじゃないか!

間口は広いので、片付けば お布団の上で ご飯食べなくて良くなる。これ、使えるじゃない。

となると、万年床一面を占領した物品を仕舞う所が欲しい。
物の山に はばまれて、たどり着けなかった押入れ、開けた時 無いけど隙間あるかなあ。

ガッと ふすまを引くと、目の前に そびえたのは 積み上げられたDVD。

高さからして、ざっと50本。
全部AVだ。

…持ち過ぎ。

動画はメジャーでない時代、私が言えた口では無いが、レンタルじゃ、ダメなのかな。

ラインナップは、妹系と素人企画。

先輩、振り幅広いな。

パッケージを見る限り、巨乳より貧乳系。

だから、私の ぺちゃパイでも良かったんだ。

ちょっと安心した。

休憩も兼ね、リピート率が高そうな一番上のAVを観ることにした。
映し出されたのは、妹に お尻を いじめられる お兄ちゃん。

ははぁん?先輩 “されたい側” の人間か。

大変、勉強になりました。うふふ。

とはいえ 押入れも、物が ぎゅうぎゅうで雪崩が起きそうだ。
仕舞うのは あきらめて、ガラスの座卓を 物置代わりに使わせてもらった。
積んで寄せただけだが、随分スッキリした。初めて見る板張りの床はホコリだらけ。

もう少し片付いたら、雑巾かけるか。

壁際に本棚代わりのカラーボックスが在る。棚前に散らばった 漫画本や雑誌類をま とめていった。
底の方から、ハードカバーのノートとアルバムが出現した。やはり表面はヤニにより、黄ばんで ベタッとしている。

何だろう。

なんとなしに アルバムを開いた。
収められていた写真には、若き先輩と 可愛らしい女性。

彼女だ。

瞬間的に確信した。

──こんな、幸せに満ちあふれた先輩、見た時 無い…

先輩から恋愛系の話は聞いた時 無かったけれど、写真に映る先輩は、どれもこれも幸せそうだ。

私では、笑わせることは出来ても、決して引き出せない表情…
旅先での写真、綺麗に片付いた この部屋で ガラスの座卓に並んでる写真…

胸が きしんだ。

ハードカバーのノートは日記帳だった。

彼女との別れから、彼女の帰りを待つ心情。

ミミズの のたくった様な字で、意味不明な ひらがな ばかりの文だったけれど、どんな少女漫画よりも、心に刺さった。
読後に残ったのは、圧倒的な敗北感。

先輩は、今も 彼女が帰って来るのを待ち侘びている。
思い出を見ないように、この部屋を片付けられなかったのかも しれない…

私は、日記帳とアルバムの表面を拭って、集めた本とは別に、カラーボックスの隙間に収めた。

彼女が戻って来たら、潔く身を引こう。
彼女と体の繋がりは少なかったようだけど、心の繋がりは誰より強い。

いつもの負けん気も嫉妬心も、浮かんでは こなかった。

ただただ、先輩の幸せだけを願った。

せめて、彼女さんが戻って来るまでの間、私が思い切り笑わせてあげる。
そのくらい、良いでしょ?先輩。
心根を あらたに、決めた。

部屋の片隅に積まれたバッテリーや工具に埋もれて、掃除機を発見した。

おおお、良いもの あるじゃないか!動くかな?

コードを差せば、軽快な吸引音。

遅くならないうちに、かけちゃいますか。まずは、布団を上げなくちゃ。

「そぉれ!……ひゃあっ!?」

布団の下の何かを踏んだ。ヌルッとした。

──腐海に手を出しては ならぬ──

猛烈な菌類の臭いに、おおばばさま の声が聞こえた。

そおっと両手に広げた敷布団を見れば、一面びっしり カビ模様。

oh…

万年床の下には、赤青白黒 色とりどりな、腐海が。

昔、姉が自由研究でやった、食パンにカビ生やす実験結果より、カラフルなんだけど…

もう踏んずけてしまった のもあるし、こんなの見るチャンス無いだろうし、敷布団を二つ折りにして、しゃがんで観察した。

見い出せたのは、カビの勢力図。何色が、てのは忘れてしまったけれど、黒の上には赤青 乗るけど、白の周りは何色も近付かない、みたいな感じ。
面白かった。勉強になりました。
敷布団は そっと敷き直して、腐海を封印した。

この上で いたしてたのか…ちょっと嫌だな…

足を洗って、万年床の周りだけ 掃除機をかけた。

後日、トイレで用を足してたら、小窓の木枠に、もやしの根の様なものが刺さってた。

嫌な予感がした。

なまっ白くて、エノキ茸みたいな色…
時間を置き、確認すると、小さく傘が出来ていた。

きのこ、生えた…

胞子を巻き散らかされても困るので、傘が開ききるうちに片付けたかったが、面白いので 先輩に見せてからにしよ、と思った。

帰宅した先輩に 見せびらかして爆笑してから、ちゃんと摘み取ってトイレに流しましたよ。あははw
④に続く──

イマジナリー?

私は心が へし折れそうな時、いつも思う。

「ユキ君に逢いたい…」

こういう時は大概、自分の中の ガッツだとか、やる気だとか、負けないぞ、みたいな強い部分、漢気が失せている時だ。

ポチ君も 佐倉君も 中身は私だけど、ユキ君だけは別格だ。

彼は誰より強く私を反映している。
いわば、分身。

あ、設定や見た目なんかは別ですけども。
口調や性格、嗜好や趣味 は完全に私だ。

ユキ君に逢いたい…て願っていると、彼は必ず夢に現れて、面白おかしく とんちき な冒険を繰り広げては、私を浮上させてくれる。

夢の続きを見たくて、ユキ君の物語を考えるうちに、話が増える。
多分
「しゃんとしろ、男だろ」
て、彼は私に発破をかけに来るんじゃないかな。

あんまり こういう事言うと
「ナルキッソス な イマジナリーフレンド」
だって言われそうだけど…否定はしない。

ユキ君、愛してる。

いつも、ボロボロで後ろ向きな 私に付き合わせちゃって、ごめんね。
ありがとう♪

ワンダーワールド④

新しい働き口に就きはしたが、依然としてジリ貧だ。
私も先輩も よく食べるので、食費 と 支払い で収支は とんとん。
大好きな漫画も買えず、先輩の持ってる漫画も読んでしまった。
先輩を無視してまで漫画を描くのも はばかられる。

地味にフラストレーションが溜まっていた。
どうにか漫画が読みたい…空想世界に浸りたい…

その頃、夢に ユキ君 が出てきた。

久々に逢った彼は、ファンタジーな世界で レイヴン と衝突していた。

目醒めてからもドキドキは治まらず、私は布団を被ったまま、しばらく物語を広げていった。

そうだ、この物語を書いて、読めば良いじゃないか。

紙と鉛筆さえ有れば、私の世界は無限大…程では無いが、楽しみは増える。

早速、携帯し易い小さめのノートとシャーペンを買い、昼休憩の僅かな時間、物語を書くことにした。
流石に人前で絵を書く勇気は無かったので…小説にする。

現在の私の原点が、この時だ。

物語は、実家に居た頃 書いた
BL小説、演劇界で悲恋を遂げた 佐倉君 の役柄、剣聖 つまり ポチ君 を主人公にしたファンタジー物語とした。
ええ、実家でもエロい絵を描く度胸が無かったんですよ…たまに描いてたけど。

BL小説『ナイトメア(仮)』始まりである。

書き始めたは いいものの、恐ろしいほど 漢字が書けない…
パカパカの携帯 開いたまま、ノートの横に設置して、電卓みたいに しょっちゅう漢字変換してる様は、はたから見たら 異様な光景だったかも しれない。

だけど、私は楽しくて楽しくて、毎日 昼休憩が くるのが待ち遠しかった。

『ナイトメア(仮)』に とどまらず、昔書いてた少年漫画の詳細な物語や、
ネームだけ きってあった 魔王と勇者の邂逅、再び戻って佐倉君の『ナイトメア(仮)』TV版 収録話、など…

結構 書いた。
余程 溜まってたんだと思う。

妄想時間は私の生き甲斐。毎日毎日ハッピーだった。

実家からゲーム機なんかも持ち込んで、夜は先輩と遊ぼうと思った。
旧式のプ○ステ2。
ぶっちゃけ、遊べてなかったド○クエが やりたかったんだけど。

だが、どうだ。
久々 起動してみれば、30分程で電源が勝手に落ちる。

セーブ出来て無いんだけど!!

何回やっても、30分の良いとこで落ちる。

何遍この町からスタートしてんだ(泣)さっき聞いたよ、その話(泣)

凄く悲しかった。
どうも 空冷用のファンが回っておらず、オーバーヒートして電源が落ちるようだ。

厚みのある 本体カバーを開いてみたけど、先輩宅の物品では修理できず、そっとカバーを戻した。

あんまり悲しくて、いつも以上に 先輩に ぎゅううっと抱きついて眠った。強く顔を胸板に押し付けると、安心する。
翌日、帰宅した先輩から袋を手渡された。

「あげる」

別に誕生日でも無いんだけど、なんだろう。

引っ張り出してみると、つや消しの黒くて四角いA4程の箱。

こ…これは!新型プ○ステ2!

余程 しょげて見えたのだろう。
中古品で箱も無かったけど、どんなプレゼントにも勝って、嬉しかった。

先輩は あまりゲームをした時 無かったようだけど、友人からオススメされた、と 一本ソフトを借りてきた。

サ○レン2…

今はむしろ好んで観るホラーだが、当時の私には恐怖でしかなかった。

私、絶対やらない。

おトイレも お風呂も 夜道も怖くなるし。

画面を見るのも怖くって、先輩が爆音でプレイする さなか、先輩の足に しがみついて布団を被ってた。
目の前に股間が あったものだから、ちょいちょいイタズラはしたけど。

先輩は すっかりサ○レン2 にハマってしまい、連日 深夜にプレイし続ける。恐ろしい音が聞こえるばっかりで、眠れない。

何、この苦行…

苦痛でしかないですね。
だが、いかんせんゲーム初心者。力技で なんとか進んでいたようだけど、どうにもクリア出来ないフェーズが訪れた。
先輩は ぽんっと、私にコントローラーを渡した。

「○○、ゲーマーだから出来るよね」

はい!!?

私、ゲーマー違う。ゲーム好きなだけ。

しかも画面を観ておらず 操作も分からない。
泣きそうになりながら、ゾンビに囲まれた女学生を動かす。
何度も何度も見つかってはEND…

うええん、もう嫌だよおぉ(号泣)

四苦八苦しつつも操作に慣れてきた折、背後からイビキが聞こえた。

この野郎…私を恐怖に残して寝やがった…

怒りから躍起になった私は、意地でもクリアしてやる、と誓う。
苦闘の末、なんとか そのフェーズをクリアした頃には、小鳥が さえずり 夜が明けていた。

はあ…やっと眠れる…

出勤までの僅かな時間、仮眠をとった。全然スッキリしない。

その後も、先輩が進めないフェーズは 私のターンだ。本当に参った。

ボスなのか、白くてデカいやつが何か生み出してくる。
こいつ、どうやって倒すの…

キモい人の背丈ある うじ虫みたいのに取り囲まれて、にっちもさっちも 進めない。
流石に「自分でやれ!」と コントローラーを先輩に押し返し、布団を被った。

先輩が サ○レン2 をクリア出来たのかどうかは、私は知らない。

後日、おトイレに向かった時の事。
風呂桶を またいで段差に足をかけた折、カランッと軽い落下音がした。

ヤバッ、壊しちゃった…

かかと が劣化した目地に引っかかり、タイルが剥がれてしまったのだ。

あーあ…ホームセンター行かなきゃなあ…ううん?

剥がれた箇所を眺めていたら、便器周りの水気が波打っている事に気付いた。

このトイレの水気、お風呂からの湿気で無くて、便器から直に水が漏れてる…??

しかも、なんか居る…

目地の黒ずみかと思っていたのだが、よく見ると 動いているのだ。
1cm程の、細い芽ひじきの様なものが、うごめいている。
それも、かなりな数。

ひいぃッ…

つま先から天頂部まで鳥肌が立った。
お風呂場にはハート型の小バエが住んでいた。
りん粉持ってて叩くと壁が汚れちゃうやつ。チョウバエ、て言うらしい。

アレの、幼虫だった。

しかも、殺虫剤ふりかけても せん滅出来ない。水気もバリアなのか、しぶといんだ。

おトイレ入る度、知らずに踏んずけてたかと思うと、心底 気持ち悪い。
即、ホームセンターで タイルの接着剤 と 防水の目地剤 を買った。
タイルを貼り直して 目地 盛って、残った分で 便器と床の隙間を埋めた。
作業は楽しかった。
小バエ自体は居座っていたけど、便器 周りからは幼虫は消えた。

ひじきの煮染め が食えなくなった。好きだったのに…

⑤に続く──

顕現

さ、さ、さ…さこつさま では あられませぬか!!!
いったい ぜんたい、いずこに おかくれあそばされて おいでで いらっしゃったのかー!!!

鏡で確認したら、なんと!鎖骨があるじゃないですか!
お肉に埋もれて消えてたんです…

水が溜まる程じゃないけど、嬉しかったもので…差込み。えへへ♪

ワンダーワールド⑤

先輩には困った趣味があった。
浪費癖、ギャンブルだ。

私も小さい頃は お菓子が貰えるのが嬉しくて、父親に席取り替わりにパチンコ台に座らされたものだけど、今となっては 何が良いのか分からない。

休みの日は、日がな一日 パチスロ台に座り、手を真っ黒にして帰ってくる。
私も何度か手は出したが、お札が消える勢いが怖くて、続けられなかった。

勝てば儲け、加えて パチスロのゲーム性とやらにハマってたのかな。その辺は分かる気もするんだが。
“同居人が居る”という安心感からか、有り金 全部使いこんで、すってんてん。
先輩も 私も、貯金は出来なかった。
休みが被っても、二人で遊びに行こう、とはならず、先輩は一人で 開店前から原付飛ばしてパチンコ屋に並びに行く。
時々は先輩の原付目印に探しに行って、そっと隣りの台に座ったりして みたものだけど。

休日は 独り ぼんやり、自分の世界に浸ることが多かった。

当然、衣類にかける余裕も無い。

靴下、随分 穴が空いて しまったな。

洗濯ものを畳みながら、新しいのが欲しいと思った。
だが、靴下すら、新調 出来ない。

そうだ、直して履けば良いんだ。

早速 百均で、針と糸を買い、ちまちま つくろい始めた。
ちょっと楽しくなってきた。
あらかた自分の靴下を やっつけたが、物足りない。

先輩のも、つくろってしまおう。

先輩の靴下も、随分 沢山 穴が空いていた。洗濯物と畳んであるのと引っ張り出し、穴を探している時、ふと気付いた。

なんか…セットアップが おかしい…

先輩の靴下は黒ばかり。だが、よくよく見ると、若干 色味や長さ、質が違う。

組合せ違うの、気持ち悪いな。
靴下パズル の開始である。

長さが同じでも質が違う。色が同じでも丈が違う。合わせて初めて違いが分かる。

むむむ、片側しか無いのも あるのか…厄介だな。

苦戦した。全部 揃え直すのに 小一時間かかった。

はあ、ちょっと疲れた。休憩にしよ。

先輩のエロ本に付いてたDVDを観ることにした。
オムニバスの長編だったので、早回し しながら かいつまんで勉強した。どうやったら、ああいう感じに舐められるかなあ…なあんてね。

先輩の靴下も全部つくろったら、凄く喜んでもらえた。褒められるのは嬉しい。えへへ♪

つくろった靴下を履いて、出勤した。
道すがら、足元に違和感を覚えた。

小石でも入ってるかな。

結構 大きめで平たい、まるで カボチャの種を踏んでる感覚だった。
靴を脱いで ひっくり返しても、何も入っていない。
何度か脱いでは、ひっくり返し、そのうち踏んでる感じは無くなった。
気付かなかったけど、取れて落ちたのかな。
そのまま、職場の店舗に入った。

勤務中、足のくるぶしの下辺りが むず痒くなった。

あ、靴下の中に何か入ってたのか。

靴を脱ぎ、靴下を引っ張り脱ぎ、つま先部分を持ち振った。

ポトン…

落ちたものを目にして、全身が凍りついた。

このッ!!裏側はッ!!紛れもなくッ!!
──G!!!!

小型の茶色のヤツ。再び天敵との邂逅であった。

ひいいいいぃッッ(泣)
こんなのが、こんなのが、靴下の中で、私の素足に直に!!?

ひっくり返ったGに触覚は無く、なおも わさわさ と足をばたつかせている。

に…逃がす訳には行かない!!

だが、職場にゴ○ジェットは無い。
私は咄嗟に、靴を履いてる片足で、Gを踏み抜いた。

………踏んじゃった…

足を上げるに上げられない。
見たくない。凄く、見たくない。

私は蒼白しながら、ちり紙を重ねて靴に当て、ズレないように慎重に足を どかした。

うええん、もう嫌だよおぉ(号泣)

泣きべそかきながら、ヤツを これでもかと くるんで片付け、店舗のゴミ袋の底に突っ込んだ。
床と靴底も拭いて、ウエットティッシュで素足もゴシゴシ。

拭っても拭っても、痒い。
痒くて たまらない。

今すぐ洗面台に足上げて、石けんで めっちゃ洗いたい…(泣)

その事しか、考えられなかった。

片足素足も見た目悪いので、靴下を買う羽目になった。

靴下は裏表 確認してから履く習慣が出来た。
⑥に続く──

ワンダーワールド⑥

先輩がパチスロで大負けた。
給料日の翌日のことである。

「え、どうすんの…」

呆れを通り越して、途方に暮れた。
私だってお財布に余裕無い。

話を聞けば、ギリギリお家賃は残っているらしい。
水道は共用だが、電気代とガス代は まかなえない。しかも高いプロパンガス。
それだけじゃない。次の給料日まで お昼 どうすんの。
晩ご飯の おかずは まず残らない。お弁当までは作ってやれない。
その上、晩酌はしたい、とか言う始末。

ちょっと待って。小遣いやる余力なんて無い。

凄く頼りにされた感はあるが、解決できない無理難題。

電気・ガスの明細と にらめっこだ。
これ支払ったら、一万ちょっとしか残らない…二人分の晩ご飯すら危うい…

朝は抜くことが増えてたけど、昼夜二食はキッチリ食べてた、私。

ううぅ…ぐぬぬぅ…

「分かりました。電気ガスは払います。
晩酌用に缶チューハイ1本買います。
お昼は自分で何とかして下さい。
それで、良いですよね。」

なかばプランを押し付けた。

私だって、晩酌したいのに…

100円の缶チューハイとして、毎日3000円…一万円から引いたら7000円…

これで晩飯作れだと!?私の昼は!?

気付いたのは、プランを提示してしまった、後の祭り。

やっちまった…暗算苦手なのが仇に…

冷蔵庫も空っぽ。お財布も空っぽ。
米びつ も空っぽ。

詰んだ…

一ヶ月しょうゆ飯 生活が脳裏に浮かんだ。

──いや、まだだ!
少食ではあったが、実家で母と二人の時、一ヶ月6千円で済んだ時あった!
やってやれんことは無いはずだ!

翌日早速、コンビニで電気ガスを支払い、仕事帰りに電車を途中下車。目的地は…

業○スーパー !!
5kgのお米と、2kgの冷凍 鶏もも肉、お麩と缶チューハイ買って、抱えて帰った。重かった。

鶏もも肉はシンクに置いて自然解凍。少し緩んだくらいでビニールの小袋 手に掛けて、一枚ずつ むしりながら小分けにする。
作業に取り掛かるのが早すぎて、めっちゃ手が凍って痛かった。
結構な量冷凍出来た。

お野菜は栄養満点、もやし様。10円から30円で量もあり、味は なんにでも化けて万能だ。

味噌汁は麩一択。腹が膨れれば それでいい。

毎日二人で、鶏肉一枚半分こ。たまに半額の豚肉にしてみたり、量はもの足りなかったけど、どうにか一月やりくりした。

問題は、私の お昼ご飯。
こいつは悩んだ。
68円の食パン8枚切り。これに100円のジャムを塗って二つに折り、袋に戻して冷蔵した。
冷凍した方が美味しいんだけど、電子レンジ無いし、冷凍庫いっぱいだし、で…
毎日一枚 ラップに包んで持って行った。冷蔵だから、美味しくない。

流石に職場で愚痴ってしまった。

話を聞いて お優しい店長は、すぐに集めてた食パンの引換券を、お財布から出してくれた。
パン屋でパン買うと貰える、パン屋の美味しい食パンが貰える引換券。

店長…(感涙)

安い食パン と パン屋の食パン、ペットボトルに汲んだ水道水で、お昼は潤った。足りなかったけど。

次の 給料日がやってきた。

ようやく解放される…

その日 休みだった先輩は、帰宅した私に告げる。

再び、パチスロで大負けした、と。

「お前…」

言葉に なりませんね。

お米も食べきって しまっていたし、食パン生活 二ヵ月目 突入。

やっぱり職場で愚痴る、私。
食パンの引換券を くれる、店長。

どうも店長は私のために、わざわざパン生活して、引換券を集めて下さってるようだ。

店長…(涙)

どうせなら、食パン引換券を貰うために買った 惣菜パンが欲しい…
と 思ってたのは、内緒だ。

二ヵ月経過し、待ちに待った給料日。

嫌な予感がした。

嫌な予感は的中する。
先輩は またも、パチスロで大負けた。

やっても良いけど、残せよ。

鶏肉も食パンも好きだけど、流石に飽きた。
永遠とも思える程、この二ヵ月 永かった。
エンドレス。もう一生、食パン生活なんじゃないかと 思われた。

「もう、食パン生活は、嫌だ…」

想いが零れてた。
なんて惨めで哀れなこと言ってんだ、と涙が溢れてきた。

涙を呑む私を、先輩は ぎゅうっと抱きしめて「悪かった」と、謝ってくれた。

三ヵ月目、食パンにジャムを塗りながら、テレビを見ていた。

特集されていたのは、Gの撃退法。
食いついて見た。

Gの侵入経路として、シンク下の排水管が挙がっていた。
簡易的な建物だと、排水管が床下に繋がっているだけで、底板に隙間があるらしい。
食パンを冷蔵庫にしまって、早速 シンク下を開けた。

米びつを どかすと確かに、排水管周りの板に大きな穴が空いており、密封されていなかった。

ここか!ヤツらは ここから来るのだな!

速攻、アルミホイル と 養生テープで隙間を ふさいだ。

ふう…これで一安心だ…ううん?

安堵も つかの間、シンク下の上の方に、棚板が在る事に気付いた。
頭を突っ込んでいた私は、悲鳴を上げた。

「ぎゃああああぁッ!!!?」

一気に身を引いたので、ゴチッと頭を強打した。

それどころじゃない。

白木の浅い棚には、いつのものかも分からない、紙製の ゴ○ブリホ○ホイ が設置されていた。

目が合った。
いや、実際には合っていない。

そこに居たのは、お亡くなりになったG。

それも、ホ○ホイの窓から溢れんばかりの大量なGのミイラ。

バタンッと扉を閉めた。

私の呼吸は乱れ、心臓が破裂しそうだ。

はぁッ、はぁッ…あんなものが、米びつの上に、ずっと…

怖気だ。

そのままには、しておけない…
撤去しなければ!食品の上だし!

勇気を奮い立たせ、手にビニール袋を掛け、ゴミ袋を開いた。

そろりシンク下の扉を開き、ホ○ホイの縁を摘んだ。
ミイラを こぼれ落とさないよう、慎重にゴミ袋に移す。

その時だ。

動かされた振動で 劣化したノリが限界に達し、ホ○ホイの天井が バカッと開いた。

「ぎゃあああああッッ!!!!」

ホ○ホイの中にも 詰まりに詰まった、G。
まるで、イ○バの物置のCMの様だった。
普通にかかった量とは思えない。
多分だけど、卵を抱えた雌がかかり、中でGの卵が かえったんだ。

うええん、もう嫌だよおおぉ(号泣)

ゴミ袋をギュッと結び、ごみ捨て場に投げた。

その後、先輩のギャンブル癖は少し落ち着き、ある程度は残してくれるようになった。

私は上司に恵まれ、社員に昇格し、スーツにネクタイを締めて働くようになった。
支払い系も減り、金銭面にも ゆとりが出来て、微々たる貯金も出来始めた。
足として欲しかった125ccのカブ(原付)も買えた。

蓄えの出来た私は、先輩の汚部屋を卒業する決心をする。

初めて一人で お部屋探し。
不動産屋さんと世間話しながら、内見する。

「人生で一番の衝動買いってわかります?
家を買うこと、だそうですよ」

「へえぇ、そういう事もあるんですねぇ」

なんて、その頃は他人事だ。

最寄り駅から遠いけど、
築浅で風呂トイレ別、ペットも飼える 良い賃貸物件に出会えた。台所も広い。
冷蔵庫も洗濯機も新品。
新生活に胸踊る。

私 と 虫 の縁(えにし)は、途絶えていない…

──これにて汚部屋先輩宅、ワンダーワールド は一先ず終幕だが、また、何か思い出したら語るかもしれない。

線維筋痛症と私③

現役時代、私は 握力40kg強・背筋120kg。

バイク乗ってて、自動車整備やってて、五段脚立持ち運んでて、腹筋は無くて、こんなものなのかな。
2mの脚立の頂点に つま先立って、ガラス拭いたり 備品上げ下ろししたり、バランスとれてたものだけど…

低下を辿り 現在、筋力は激減。
ペットボトルのフタを開けるのにすら、難儀する。指では回せない。

フラフラしてて、何かに掴まっていないと 歩けない。
すぐに息が上がって、疲れちゃう。
歩く速度がめっちゃ遅くて、駅とか バンバン追い越される人混みは怖い。

先日 握力測定、10kg未満だ…超ヘコむ…

まだまだ、これからだ!

遊び屋① ※ちょいエロな話※

あ、ちゃんと伏せますよ。多分。

学校行ってなかったから、17歳の時だと思う。
姉の古着をミシンでリメイクして、タイトにしたり ボタン付け替えたり、自分好みに作り変えるのが趣味だった。

当時あまり 良く思われていなかった出○い系。
掲示板に良く書き込みした。
独り遊びは小三には始めてたけど、年頃だもんで、気になってたんですよ、対人の大人な お付き合い。
ネットは従量制で長く使えなかったし、バイトもしてたしで、さっと書き込み、内容は忘れてしまっていた。

ある日、知らない男性からメールが届いた。

凄くフレンドリーに、こないだはどうも的な。
全然 覚えがない。間違いメールかな?
私は律儀に返信してしまった。「どちら様ですか?」と。

今思えば、無作為にメールを送信する、そういう手口だったのかな。

数回メールを やり取りして、話が合ったものだから、一度お会いしましょう、となった。

大学生、と言っていたが真偽は定かでない。
待ち合わせ場所には、もちろん、可愛い格好をして行った。
お眼鏡にかなったのか、小一時間 会話して、週末にデートの約束をした。
今では顔も名前も覚えとらんのだが、当時の私はルンルンで、初デートが楽しみだった。

何着て行こう。
お気に入りの黒ボタンのシャツに、フレアなミニスカにしよ♪
ハイソックスにローファー履いて、少し大人にモノトーンに仕上げた、つもり。

水族館 回って、お昼食べて、広い公園を散策した。

秋の夕日はつるべ落とし。
公園のベンチに座って喋っているうちに、日が傾いた。

街頭に火が灯り始めるが、ベンチは少し離れていて、暗がりだ。
周りに人気も無い。

「キス、した事ある?」

ありません。

彼の問いに、私は ぶんぶん 頭を左右に振った。
頬に片手が伸びてくる。添えられた掌の温かさに、私は目を閉じた。
触れた唇は、ふやっと 柔らかい。

ひゃああ…

彼の舌が、私の食いしばった歯に はばまれた。

「口、開いて」

いきなりフレンチキスとな!

やり方なんか知りません。
私は口を開いて、彼を受けいれた。

「舌、合わせて」

もう、指示に従うしか ありません。
私は懸命に彼の舌に、自分の舌を合わせた。

…うーん。なんか、思ってたのと違う。

どう違うのかは分からないけど、想像してたのじゃない。

彼の片手が、私の体に降りてくる。
服の上から さすられて、素足の ももから、スカートの中まで。

期待値に火照る体とは別に、客観視している冷静な自分も居た。
妙な感覚だった。

彼に言われるがまま、私はベンチの背に向いて膝を乗せ、自分で下着を降ろした。
ベンチの背に両肘を組み、やり方 知らないし、残りは 彼に お任せした。

痛ったぁ…

ぺっと めくられたスカートの下を撫でられ、軽く指で いじられ、つらぬかれた。

独りで遊んでたとは いえ、あまり太いものには慣れてない。
揺すられながら 鈍痛に耐えた。

…思ってたほど、悦くないなぁ。

正直、自分で いじった方が、気持ち悦い。

初めての感想は、そんなもんだ。

翌日、猛烈な痒みに襲われた。
下半身だけでなく、顔・衣服があった上半身まで、めっちゃ蚊に喰われていた。

うえぇん、もう お外じゃヤんない(泣)

心に誓った。

私はメールボックスを確認しなくなり、彼とは連絡を絶った。
大して好きでも なかったんだと思う。

青姦は、蚊に喰われますよ。

複数恋愛主義 ※苦手な方ご注意※

ご存知だろうか、ポリアモリー(複数恋愛)。私は現役時代に築くことは叶わなかった。

私は、ポリアモリスト(複数恋愛主義者)だ。

気持ちは一本気。
だけど、惚れっぽい性分も有り、右往左往。

誰に対しても本気。気は うわついてない、本気なんだ。
常に複数恋愛。
例えば、特定のパートナーが居る時分、目前に相手が居る時はパートナーの事しか頭にない。
だが、視界から外れれば平気で別の想い人と連絡し合う。時には関係も持つ。
対峙している間は、対面している方の事しか考えない。他は頭によぎらない。

罪悪感など無い。誰に対しても真っ向勝負、本気だから。
自分の感覚が、他者と違うと認識したのは、数年前。

学生時分より大好きで、時々連絡を取り合い、関係していた方に

「○○は、いつも誰かしらパートナーが居るよね」

と、言われた時。

私は どちらも本気なんだけど…

そうは受け取って貰えなかった。

その方とは、それ限り。連絡は無くなった。
こうして並べると、浮気者の常套句にしか読めないな。

私の気持ちは一本に撚ると 重すぎる。結構 周りに迷惑を掛けてきたものだ。
分散している位が、丁度良い。
現役時代に その事に気づいていたら、少しは現状が違ったかもな。

現在は 体力的にも、誰かと お付き合い出来る状態では無い。
しり が軽い、と思われても構わない。軽蔑されても仕方ない。

ただ、想いを寄せる事だけは、お許し願いたい。

ユキ君が好き。あの方が好き。巨○さんが好き。未だ出逢わぬ あなた が、好き。

迷惑千万な想いだけれど、さっと 身を かわして頂ければ、幸いです。

遊び屋② ※ちょいエロな話※

あ、ちゃんと伏せますよ。恐らく。

学生時に知り合った 数個歳上の殿方を、私は兄貴のように思って慕っていた。
アレした コレした 試してみた、赤裸々な恋愛事情を あけすけと猥談する仲だ。

密やかに想いを募らせ、実家に毎年届く年賀状を、壁に飾ったりしたものだ。
決まって 車やバイク、愛車と一緒に兄貴の写真がプリントされた年賀状。
レイアウトもセンスを感じる。
隅には必ず綺麗な文字で メッセージが手書きされてる、細やかさ。

自室で ほうっと、眺めていたりしたものだ。

時折 携帯に届くメールには、ツーリングや旅先での土産話。

好きになりますよね。
私が成人した祝いに、兄貴が ご馳走してくれた。
居酒屋でサシ だなんて、期待してしまう。

当時、兄貴には特定の方が いらしたけど、ハシゴして入った小洒落たバーで、バーテンさんを混じえ 三人で会話するうちに、お酒の力も得た私は、思い切って 想いを打ち明けた。

兄貴を困らせてしまった。
兄貴は身持ちの硬い部分もあった。
特定の方を大切にしているから、私の想いには応えられない。

キッパリ スッパリ、お断りされてしまった。

凄く哀しくて、私は女々しく食い下がってしまった。
それでも頑として、兄貴が私の想いに なびくことは なかった。

失敗したなあ…告るんじゃなかった…

兄貴との関係が切れてしまう。
私の卑しい思いを知ったら、今まで通りには、きっとならない。

私は不安で いっぱいだった。

翌日、メールが入った。

昨日は楽しかったな♪また、二人で呑もう!

兄貴…(感涙)

ありきたりな短い文だけれど、どれほど安堵したか。

兄貴は“今まで通り”を選択した。
お互い忙しくて、時折メールは やり取り するものの、呑みに行く時間が合わず、気付けば数年経過していた。

そんなある日、兄貴から呑みの お誘いがあった。

おおー、兄貴から だなんて珍しい。しかも ちょうど休みじゃん。ラッキー♪

久方ぶりに兄貴に逢って、顔を見ながら喋れる。凄く楽しみだ。
転機が訪れた。

日が落ちる前の 早い時間から、沖縄料理居酒屋に入り、泡盛で乾杯。
仕事や生活なんかの近況報告し合って、昔のように赤裸々に私のパートナーの話をした。
兄貴は 私の話を聞いてから、色々あり 以前の特定の方とは別れた、と告げる。
目の前に居る兄貴は、フリーだ。

何だと!?

もう スポーンッ、と 自分のパートナーの事は忘れましたよね。

泡盛にラフテーでご機嫌な 兄貴は、私の告白話を始め、頭に手を当てヘラッと笑う。

「実はさ、あの時 ホテル連れてっちゃおうと思ってたんだけど、近くに無くてさ」

「なら、抱けや」

間髪入れず、本音がポロッと漏れ ツッコんだ。
あの時 兄貴が断らなければ、多分 先輩との汚部屋 生活は無かった訳で…あれは あれで 面白かったから構わんのだけど。

意図せず誘ってしまった訳だが、ソーキそば食べて他にも結構食べ呑み、「じゃあ行こうか」的な軽いノリで、酔っ払い二人 肩を組んで 目に入った ビジネスホテルにチェックイン。

何度も言うが、気は うわついてない。本気なんだ。
今 目の前に居る、兄貴が全て。
そういう性分なんだ。

軽くシャワーで体を ゆすいで、交代した兄貴を待つ。
どうせ脱ぐんだし面倒だ、と全裸でベッドにダイブした。

ラフテー、美味かったな…違くて。

パンイチで出てきた兄貴の腹筋はキレている。
私より厚みのある締まった体は、正直 羨ましい。
ベッドに寝転んだまま両腕を突き出せば、兄貴は微笑んで ぎゅうっと 抱き返してくれる。
軽いノリに反して、兄貴の抱擁は力強く熱烈だ。

え?え?…ヤバッ…

ねっとりした愛撫に口付け。
触れた部分が熱をおび痺れる。

私が知ってる前戯じゃない。
開始速攻、指でイジられただけで イッてしまった。
あられもない声が、口から勝手に漏れ出す。恥ずかしいのに止められない。

こ、これが、プロの遊び屋の技…!!

全然違う。色々試したとはいえ 私が やってきたのは、所詮は おままごと に過ぎなかったんだ、と確信した。
世界って、広いなあ。
ヘロヘロに なりつつも、負けじと 兄貴のテントを張ったパンツに手をかけた。
ぷいんっと そびえた兄貴の御本尊様に、目を見張った。

──でかッ!!!

丈こそ普通であれ 軸はやや太め、際立っていたのは、主張強く張り詰めた傘。

雁高というやつだ。

そりゃあ、こんな立派なもん持ってたら遊ぶよ…

怖々 口に含めば、半分が限界。
それでも懸命に しゃぶった。

「ん、上手いね」

お世辞だろうが、褒められて嬉しい。口淫は頑張ってきて良かった。

挿入る気が全くしない。

当てがわれた先端に、恐怖を抱いた。
兄貴は 分かってるんだろう。
とても ゆっくりと、私の様子を見ながら挿入れてくる。
全然、痛くなかった。

兄貴の 相手を考える心遣いが、男前すぎる。
完敗だ。

時間的には早かったから、明日仕事だし、終電には間に合うかな、と思ってたんだが。
凄く悦くって、ハグしたり喋ったり後戯も のんびりしながら、本番3回した。
流石に終電逃した。
泊まっても良かったな。と 今は思う。

タクシー乗って朝帰り。すっかり明るくなっていた。

私の頭は既にパートナーの事で いっぱい。
自宅に帰って、寝ているパートナーの布団に潜り込めば、ぎうっと ハグしてもらえる。
パートナーの体温に、ほっと安心して、満ち足りて至福だった。

明日も仕事 頑張るぞ。

なんて、やる気に溢れる。

兄貴とは、ちょいちょい連絡を続けてた。
他の想い人とも連絡とってた。
自分からパートナーに喋る事は無かったけれど、携帯にロックは掛けていない。
開けば誰でも中身が見れる状態だった。

だって、悪いことしてると思ってないんだもん。

どちらも本気。誰にも本気。
それが、私です。

さよなら、兄貴

今頃何してるんだか。
最後に逢ったのは もう何年前かな。

兄貴には兄貴の譲れない心情が有って、私の不義理に付き合いきれなく なっちゃったんだよね。
物分り悪くて ごめんなさい。

最後に泣き続ける私を、ぎゅうっと抱きしめて揺らしながら なだめてくれたこと、今も忘れてない。
兄貴と別れたあと、近くの公園に座って しばらく泣いた。
喉が乾いたなーと思って、コンビニでガ○ガリ君 買って、また公園 戻って呆けてた。どれくらい留まってたかな。

もう、連絡くれることも無いだろうけど、もし、機会が有るなら 謝りたい。

兄貴の気持ちを踏みにじって、ごめんなさい。
もし、機会が有るのなら、今度こそ、兄貴と なんでも話せる仲良し兄弟みたいな関係 になりたい。

来世でいい。あるのか知らんけど。

兄貴も もう、落ち着いてんのかな。良い家庭を築けてんのかな。

兄貴、ありがとう。
体に気をつけて、元気でね。
兄貴の幸せを、心から願って。バイバイ♪

母親は、アレ②

私の母親は、とにかく褒めない。子供時代に褒められた記憶は ほぼ無い。

「母ちゃんて、褒めないよね」
と言ったら

「褒めてるよ?」
と返ってきた。

本人は褒めてる つもりらしい。

母親は「これが出来たなら、あれも出来るよね」タイプの人間だ。

次々お題がレベルアップする。
クリア出来ても 次が来るし、キリがない。
その上「そのくらい出来て当然」と言う。
全く褒めてくれない。やりがいが無い。

私は結構ハッキリ「出来ないものは出来ない」と言う口だから、先日も「出来る」「出来ない」の応酬に なってしまった。

私が 粗大ゴミ 出してなかったのが、悪いんだが。
言い訳がましいが、理由は こうだ。

天気も安定せず、かつ、粗大ゴミなんて体調の良い時でないと出せない。
体調は結構 天気の影響を受ける。
電話したからといって、即日回収にはならない。数週先になる。
その時体調が良くなければ、搬出 出来ず 迷惑だ。
せめて梅雨が明けるまで、今は 出来ない。

の、結果の部分「出来ない」しか言わない。
多分、言い訳は見苦しいと思ってる節が有るからだ。

母の言い分は、こうだ。

「お昼ご飯食べられたんだから(回収業者に)電話くらい、出来る!」

いや、お昼ご飯 関係無い。

出来ない、出来る、を数回やりとりし、最終的に 激おこプンプン○な顔をされた。

解せぬ。

いつかの らくがきブックも結局、ひとつしか描いてなく「やった?」「やってない」と会話した。

そして再び 置き去りにされた、百均の らくがきブック。

……え、これマジで 全ページお手本 描かないと、ダメなやつ??
私 今、小説の方の絵を描きたいんだけど…

来月も一悶着ありそうだ。

遊び屋③ ※ガチな話※

えぇと…伏せられるかなあ?とりま書き始めてみます。
現状、私の“独り遊び”に関してです。

※苦手な方、興味無い方、数コマ先の「???」まで、すっ飛ばして下さい※

たとえ相手が居なくても、気持ち悦い事 大好きだもんで、独りで快楽を追い求めます。
オカズ観ながら。
私の場合、持病的に 何がトリガーで痛みが増悪するか分からん、爆弾抱えているようなもの。
いかに体に負荷を掛けず 悦くなるか、に尽きます。

なので、結構しっかりした準備をします。
始めたら 手以外 ほぼ動かさない。

1回 遊ぶのに、3時間は掛けるかなあ。
大変だけど悦くなりたいんだもん。

用意するのは・スマホ ・ニトリルグローブ ・ペットシーツ ・ゴム ・ワセリン ・お気に入りの玩具

終わったら 悦い気持ちのまま、パッと寝られるように…

負荷を減らすため、広さより深度を求めます。
あんまり太くない鬼頭がついた 細身のスティックが 今のお気に入り。

目指すのはK点超。

あー…
読みたくない・知りたくない方も多いんじゃないかと思い、ザックリとした内容は、スマホエディタのスクショにしました。
字も一番小さくしたので目に留まりにくい、とは思うんですが…
興味のある方だけ、どうぞ。 ※画像 自主規制※

オカズは長編なら1本、短編なら2~3本 観ます。
インタビューも早送りません。

とにかく一度 悦くなったら、ずっと悦いままでいたい…貪欲。

終わったら汚れたものはペットシーツに丸めてポイ。

長く遊ぶと、数時間は気持ち悦いが続くので、その間に妄想増量、凄く幸せです。テヘ♪

以上です???

表現 出来ない

どんな心持ちなのか、気持ち悦いのか、?く瞬間の感覚については、悩みます。
折角だから小説に書きたいし。

自分でも、どんなかな~?て、今日こそは捉えるぞ。と意気込むんですが、上手く分かりません。

何が一番ピンと来るのかなあ…

何も考えられないんですよね、私は その時。
ただでさえ無い 語彙が激減して「気持ち悦い」と「ヤバ」しか出てこない。
状況すらも分からない。

もう少し 気の利いた言葉が浮かんでくれる頭なら助かるんですが…
表現力が めっちゃ低い(泣)

あ、忘れてましたが、ニャンコは平然と足元に おりますよ。
みんな慣れっこ。てか、気にされてないw

母親は、アレ③

十代後半、素行を悪ぶっていた時期がある。
バイクに またがり、髪を金に脱色して、右耳のピアスを拡張して。

まあ、中身は ただのオタク なんですけども。

遅めの反抗期も重なり、母親を随分と泣かせてきた。これは、今もか。

母親のことを「すぐ泣く」と ため息し 呆れながらも、私は毎日、飯を二人分 作ってた。
姉らも独立していて、母子二人きり。
「絶対、再婚しないから」
と豪語した母親の そばに居てあげれるのは、私しかない。

なんやかんや不平を口にしながらも、そう決心していた頃だ。

M先生に愚痴った記憶が有るから、高校②の時代かな。

母親が仕事に出勤中、一本の電話が入った。
いつもなら居留守を使うのだが、なんとなく 私は その電話に出た。
受話器を上げて「もしもし」と言った途端、電話口から女性の声がした。

「あなたの お母さん、売春してるのよ」

私は ガチャンッと、受話器を置いた。

チッ、イタ電かよ。

間髪入れず、再び電話が鳴った。

しつけぇな…

文句を言ってやろうと受話器を上げた。

「ちょっと!!切らないでもらえる!?」

いや、切るよね 普通。

思いながらも若かった、私。
母親を侮辱され ブチ切れた。

「うちの母ちゃんが そんな事してるはず無ぇだろ!!チキった事 言ってんじゃねぇぞ、テメェ!!!」

…うん、若かい若かい。
相手の女性も引けを とらなかった。
お互いヒートアップしてしまい、罵詈雑言の応酬。

全然 終わらない。
時計を見れば、軽く10分は大声で ののしり合ってた。

流石に疲れて息が上がり、頭が冷えてきた。

はあ…確か、こういう時って「相手を刺激しないように冷静な対応を」て、何かで観た…
多分、電話 切っても、また 掛けて くんだろうな…

さっさと終わらせたかったが、切るにも切れず、私は息を整え、女性に話しかけた。

「なあ、ちょっと休憩にしない?話なら聞くからさ」

女性も疲れてたんだろう。休戦の申し出に、声を静めた。
電話を切る気配は無い。仕方なく 椅子を引き寄せた。

まずは状況を把握せねば。
これだけ しつこく言いがかって来るのだから、ただのイタズラ電話では あるまい。
きっと理由があるはずだ。

私は、女性に尋ねた。「どうしたの?」

話を聞けば、私の母親の彼氏の内縁の妻だと言う。

…ちょっと待て。母ちゃんに彼氏が居るとか 初耳なんだけど。

私は、その時 初めて、母親も一人の女性 なんだと知った。
全然、気付かなかった。
ショックを隠しつつ、女性の話に耳を傾ける。

「彼が留守の間にメーターボックスの合鍵で部屋に入って、私 見たのよ。
ゴミ箱に入ったティッシュと使用済みのコンドームを!」

──アンタ それ、ストーカーじゃん。

女性は 彼氏の家に 毎日出入りし、掃除や洗濯、時にはご飯を作り、帰るらしい。

聞けば聞くほど、ストーカー…

その上、彼氏とは数ヶ月 顔を合わせてない、と言う。

はい。ストーカー確定。

正直、頭おかしいストーカーの話を聞くのは 鬱陶しかった。
晩飯の準備したいし、いつ終わるんだ、コレ。
女性の話は ほぼほぼ、猥談。
私も猥語を混じえて受け答えたが、母親の そんな生態 耳を覆いたい。

「少し前にも あなたのお母さん、私の彼氏と旅行に行ってるでしょ」

私、社員旅行だ、て 聞いてたんだけど。
また、嘘か。

女性は どうにか 別れさせるよう、子供の私に 母を説得させたいみたいだ。
私としても、こんな変な女 くっついている男性は 止めてもらいたい。

その前に、この電話を終わらしたい。

「アンタさあ、そんな男 止めちまえよ。
話聞けば、アンタ 気遣い出来る優しい 良い女じゃん。もったいないよ。
男が悪い、二股かけてんだから。」

精一杯、おだてた。
恋愛相談に移行した。
ろくな恋愛してない私が 何 偉そうなこと言ってんだ、と自分で自分に呆れた。

会話するうちに、女性も 彼氏が悪い、と思い始めたようで「別れる」と言い出した。

良かった、良かった。

「でも、別れてくれなかったら、どうしよう?」

いや、別れてくれるよ。絶対。

思いはしたが、言ったら終いだ。

「じゃあ、そん時は 俺が彼氏を ぶん殴りに行ってやんよ。
それでも駄目なら、野郎ども連れて アイサツに行ってやっから」

嘘八百である。見知らぬストーカーに義理立てするほど 私の心は広くない。

「何か あったら、連絡くれ。いつでも話 聞いてやっから」

そう伝えて、円満に電話を終えられた。

はあ、疲れたなあ…

時計を見れば、軽く2時間は喋っていた。

そろそろ母親が帰宅するけど、晩飯 作れてない。
それ以上に、こんな ややこしい彼氏の事は 考えてもらわねば。

…口では伝えづらいな。

私は、コピー用紙とボールペンを構えた。
ストーカー女との 電話のやり取りを、頭から最後まで一言一句たがわず、全部 書き出した。
両面使って4~5枚になったかな。

帰宅した母親に、私は無言で 束にしたコピー用紙を差し出した。

母親は それを読んで、みるみる顔色を変えた。
夜叉のような憤怒の表情で、怒鳴り始めた。

「○○!!こんな、卑猥な言葉 使うんじゃない!!」

……え???

お門違いの ところで怒り始めた。

何で私が怒られてんだ??

どうにも母親は、私が女性に放った 汚い言葉や猥語が 気に食わなかったらしい。

いや、怒りたいのは こっちだよ。
そんなの分からん歳でもないのに、嘘まで吐いて彼氏作って旅行行ってて。
正直に話してくれれば、私だって許すのに。

言葉を失った。
ただ黙って怒鳴られ続けた。

結局 私は、三者の痴情のもつれに 巻き込まれ 踏んだり蹴ったり。
私は なんにも悪いこと してないのに。

ああ もう、今日の晩飯 レトルトで良いや。

その後、母親は彼氏と別れ、私は絶対 電話は居留守した。
ちょっと ズレてるんですよね、あのひと。

セカンドハイスクールライフ①

十代末、自動車整備系 高等学校に入学した。

最初の高校をドロップアウトした私は、最終学歴 中卒or高校中退。
当初は単純に 高卒資格が欲しかった。

なんでかって言うと、バイト先で おばちゃん達 全員、個別に
「何で高校 行ってないの?」
て、聞かれたからだ。
ただでさえ回答に困るというに、まとめて聞いてくれれば良いのに、一人一人 答えにゃならん。
心配してくれるところ、大変 申し訳ないが、わずらわしかった。
学校行くのが当たり前な時代。私みたいのは珍しいんだ。

高校は二年の終盤には行ってない。
だけど、単位が取れてて三年に進級出来てた。
整備学校の面接で、三年に編入して 卒業したら、系列の専門学校に進学したらどうだ、と提案された。

私は断った。
高校一年から やり直す覚悟だったからだ。

なんでかって、高校と専門と重複して入学金が必要だし、専門的な分野で中途から、は ついていけない可能性も有る。

なあんて、ぶっちゃけ高校資料に載ってた、一年 最初の原付・自動車オーバーホール実習が、やりたかった だけなんだけど。

一年は整備、二年は板金、三年は塗装、みたいな修学内容だったかな?

せっかく自動車整備系なんだから、整備 やりたいじゃん。

バイトで貯めた お金で、免許も取ってたし、バイクも買ってたし。

(誤記) 二年は板金、三年は塗装 × → 二年は板金・塗装、三年は卒業制作 ○

この話を数年後 公言したら、「効率悪い」「無駄」「気が知れない」的なことを言われたけれど、私は微塵も後悔していない。

だって、楽しかったんだ、三年間 本当に。
3期生の皆と一緒に学べて、本当に良かった。

確かに 人生の岐路だったかと思う。

今の私が在るのは、この選択をした からこそ。
よき出逢い、よき別れ、色々あって涙したりも したけれど、
「あの時、あれがあったから、ああしてたから、今の“幸せ”に繋がっている」
私は そういう考え方。

経験したこと 全てに、無駄など存在しない。
全てが、私の中で活きている。
全てに、感謝だ。

おっと、話が脱線してしまったな。
理由の有る子を受け入れる学風だったから、学年の三分の二は金髪、三分の一は落ち着いてる子。
見た目は違うが、皆ヤンチャで可愛いのよ、これがまた。

年代も様々で、その中でも私は 一人 最年長だった。
社会に出れば関係無いが、十代の頃の一歳差は でかい。

1階は整備場 2階が教室、工場みたいな
小さな学校だったから、一学年の人数も少ない。
グループ派閥の壁なんかも無くて、みんな連んで仲良く行動していた。

そんな中、ずっと独りの子が居た。
K君だ。
凄く大人しい子で、赤面症 喋るのが苦手。

私は独りでも全然平気な性分なので 構われなくても いいんだが、K君は放って おけなかった。
自分は放置しておいて欲しいのに 他人は見てられない とか、お節介にも程がある、と 我ながら思う。

15歳の K君にも、青春を経験して欲しかった。

最初は実習中に話しかけたり 一緒に整備したり、お昼は机を向かいに合わせ 一緒に食べた。
頬を赤らめて はにかむK君は、あどけなくて凄く可愛いのだ。
そのうち 私より一つ下の Y君も、机並べて一緒に食べるようになって、K君の面倒を みてくれるようになった。

私は御役御免だな。

私が一緒に居ると 逆に近寄り難くなってしまうし、Y君の方が適任だ。
私は そっと離れた。
もちろん K君にも Y君にも、恋してましたよ。告っちゃった、えへへ♪

私は学校生活の拠点を 職員室に移した。

職員室って、普通は お堅いイメージだろうけど、そうじゃない。
常に扉が解放されてて、生徒の出入りも自由。
先生方も生徒も 和気あいあい として、例えるなら 赤ちょうちんの 居酒屋みたいな感じ。
分かりにくいかな。

誰かが どこかで 拾って来たんだか、おんぼろ の くたびれた二人掛けのソファーが 設置されてて、寝心地が良いものだから 私は しょっちゅう ソファーを占拠していた。
だから、先生方とも かなり仲良くしてた。

特に喋ったのが、事務員の お姉さん(?)。母親と同年かな?

通常授業サボって入り浸ってたから、仕事の邪魔だったろうな。
実習以外の 通常5教科は、ほぼ遊び。
国語は ペン習字、英語は アルファベット覚え、数学は 数独、理科社会は 一緒だったかな。
通常授業に関しては、ほぼ記憶に残っていない。
あ、体育も あったな。

毎度の事だが、前置きが長い。
恋愛事は 大して無いが、第二の青春を語ろうと思う。
②に続く──

セカンドハイスクールライフ②

毎日 往復80km、バイクを うならせ登下校。
私の プチツーリング事情を、四季ごとに まとめてみる。
これ、バイカーの方々にも通ずるものが あるんじゃないかな。だと嬉しい。

─夏─

制服のツナギを上半身脱ぎ 腰に縛って、タンクトップ一枚。

実習場が暑いんだ。
ショートブーツの安全靴に、ヘルメット被って 帰路に着く。
愛車に またがり、エンジン始動。

陽はまだ高い。

国道で大型トラックに囲まれた。すり抜けられない。

暑い。トラックの焼けた車体が、熱気を放つ。
暑いよおぉ(泣)

ようやく枝道に入り、風を切れば 温風だけど 汗ばんだ体に心地好い。
まだ道の半分も進んで ないのに、随分 体力を消耗してしまった。

信号だ。
停車すれば、カンカンに照りつく陽射しと、陽炎の立つアスファルトに 挟まれ、灼熱地獄。
膝の間のバイクのエンジンからも熱が来る。

逃げ場がない。

ううう…メット脱ぎたい…

ヘルメットの中はサウナ状態。クラクラだ。

もう、ダメ…

思わず くにゃりと体を曲げて、左腕に メットごと頭を置いた。

信号が 青になるまで、ちょっと休憩…

パーッ!!

突然、背後でクラクションが鳴らされ 飛び起きた。

ヤバ、信号変わっ…て、ない??

多分、背後のタクシーの運ちゃんが、私が熱中症で倒れたんだと思ったんだろうな。
紛らわしいこと しちゃった。
背後にペコリ一礼して、青に変わった信号を進む。

夏のバイクの楽しみは、コンビニ様。
必ず、寄り道する。
キンキンに冷えたコンビニ店内。
自動ドアが開けば ひや?ッと冷風が吹き抜ける。

ふあぁ…生き返るうぅ?

ハ○ハ○なんか食べちゃうと、もう最高ですね。

─秋─

私の一番好きな季節到来だ。
晴れ間が多く 気温も落ち着き、ツーリングにも絶好な気候。

優しい太陽に 色付く木立、天高く いわし雲。
風は涼しく、信号待ちでは ぽかぽかと暖かい。

始業時間に すり抜け急ぐことも忘れ、のんびり 渋滞にハマってた。

そういう気分の時も あるのだ。
今日の渋滞は一段と酷いな…

ほぼ動かない。進んだとしても数メートル。

停車中 ブレーキは足元のペダルを踏んでるだけだが、流石にクラッチを握り続ける左手が疲れてきた。
時折ギアをニュートラルに入れ 休ませつつ、それでも渋滞にハマり続けた。

四車線の国道。右手には稲穂しなだる田園風景。
左手には家屋や店舗の立ち並ぶ市街地が広がる。

ふと、対向車線の車の下から 、ひょいっと何かが頭を出した。
長く太い濃い灰色の体を うねらせ、こちらに向かって這って来る。

アオダイショウだ。

でか!初めて見た!

こんな大きな車道に出てきたりするんだ、と感動した。

何が目的なんだろう…
田んぼや雑木林を見捨ててまで、市街地に行く理由は何なのか。

冬眠前に あったか~い お召し物でも、買いに行くのかな。

なんて、阿呆な事を考えながら、アオダイショウを観察していた。

前方車両が進行。
クラッチ握り ギアをローに入れ、半クラでアクセルを回す。

…あのコ、ひかれてないかな。

─冬─

寒いッ!! 凍えるッ!! 死ぬるッッ!!!

霜が降り立つ早朝、系列の専門学校に向かって爆走していた。

今日はイベント、学校主催のバイク講習会。プロのバイク乗りの方が指導に来る。

面白そうじゃん。参加したいじゃん。

綿入りのジャンパーの下にヒ○トテックインナーとフリースを着込み、首にはマフラーぐるぐる巻き。手袋も二重だ。

それでも寒い。身が切れるように痛い。
だんだんと感覚が失せていく。

系列校も なかなかに遠い。

着いた頃には、ガチガチと歯が鳴り 震えが止まらない。
あたたか~い お飲み物を自販で買って、握り締めたまま 講師の挨拶なんか聴いた。

…もうダメ。

お飲み物 程度では、冷えきった体は温まらない。
皆が自分のバイクに またがり、ブオン ブオン と楽しそうに講習を受ける最中、私は そっと専門学校の学舎に入った。
暖房の効いた職員室で、先生方に心配されつつ、ひたすら凍えと戦った。

くうぅ…楽しみにしたのに…

午前中、ずっとうずくまった。

何しに来たんだろう…

結局、午後の八の字走行くらいしか受けられなかった。

帰るのが辛い。
また、同じ道程を進まなければ お家に行き着かない。
自分で やるしかない…

帰宅速攻、エアコン付けて ホットカーペット入れて おこたに潜った。

ううう、冬嫌い。夏も嫌い。
年中 秋なら いいのに(泣)

─春─

再び、絶好なツーリング季節到来。
暖かな風、うららかな陽射しのもと、帰路に着く。

ルンルンでバイクを走らせ、なんとなく、いつもは通らない裏道に入ってみた。
のどかな風景が過ぎ行く中、前方に桜並木が見えてきた。

おおお、こんな ところに良い穴場が。

こんな発見も楽しみである。
桜は風に揺れ 散りゆく花びらが舞い アスファルトに積もる、幻想的だ。

私のヘルメットのサンシェードは黒い。
こんな素敵な場所 くぐるのには、色味も堪能せねば もったいない。
私はシェードを上げて、桜吹雪の中を走行する ことにした。
路面の花びらが、バイクに あおられ、舞い上がる。

痛ッ!? 痛たッ!!?

ピシリ ピシリ、と むき出しの顔面に疝痛が走った。

バイクの速度に加速した、降り注ぐ 桜の花びらは、凶器だ──

なんか…こうやって書き出すと、シンドイ思い出しか出てこない…何故だ。

好きなんですよ、バイクも車も運転するの。
大好きなんですよ、本当に。
③に続く──

目撃・通報談①

これは セカンドハイスクール ライフ の話なんだが、その時期以外にも有るので、別にしようと思う。

実家の駐輪場に停めていた、愛車のアメリカンバイク。
あ、コケる前の まだ綺麗な濃紺だった時。
ワックスかけたり 磨いたり、随分 大事に愛でていた。

駐輪場は奥まっていたので、カバーを かけていなかった。
しょっちゅう磨いてピカピカだったし、屋根も在ったし。

登校しようと 朝、身支度 済まして 駐輪場に出た。
バイクのチェーンロックを外し、横に立ち ヘルメットを被る。

当時のバイクはボタンスタートでは無い。
ポケットからエンジンキーを出し、かがみ込んだ。

──ん???

バイクの側面に在る、エンジンスタートの為の、イグニッション・キーシリンダー。
キーを挿してONにするやつ。ハンドルロックも これで掛ける。

キーが挿さんない…

なんでだか、全く挿さらないのだ。
キーが挿さらねば、ハンドルロックも外せない。
力ずくで引っ張り出し、確認した。

何だコレ!!?

鍵穴をのぞき込めば、一円玉のような破片が数枚、ねじ込まれていた。

手前側のは どうにか取れたが、奥の方まで入り込んでる大きな破片は ビクともしない。

うわーん、イタズラされた(泣)!!

子供か大人か知らんが、アルミ片で エンジンかかる訳が無かろう。それともただの嫌がらせか。

どちらにせよ、許すまじ。

私は近くの派出所に走った。

「おまわりさーん!」

ガラリと引き戸を開いて呼びかけたが、他所で事件でもあったのか あいにくと出払っていた。

どうしよう…110番するほどでは、無いよなぁ…

凄く悩んだ。

カウンターに、警官不在時の臨時連絡先の札が出ている。
携帯を出そうと胸ポケットに手を入れ、空を掴んだ。

──携帯、忘れてる…

忘れ物が多いのも、私の悪い癖。

仕方ないので、市外局番から始まる普通の電話番号を 凝視し 覚え、実家に走った。

息付く間もなく 固定電話の受話器を上げ、ダイヤルした。

メモ書き 落ち着いてから電話するべきだった。
電話口からは警察署応対の挨拶がした。
恐らく民間の警官では無い、一般事務員の お姉さん(?)。

「どうされました?」

私は慌ててた。

「イグニッションにアルミ片突っ込まれました!」

「…もう一度?」

聞き取れなかったのかな。

「だから、イグニッションにアルミ片突っ込まれました!」

「──はあ!?」

突然、お姉さんの優しい口調は、猛然と怒りに変化した。

「あなた ねぇ、警察が どれだけ忙しいか 分かってるの!?」

…え???

お姉さんは怒りに任せ、警察の忙しさについて、お説教を始めた。

何で私、叱られてんだ???
私 なあんにも、悪いことしてないのに…

理解出来なかった。
後から考えれば“バイクの”とか、イグニッション・“キーシリンダー”とか、大事な部分が抜けていた。
ちょいちょい 主語が抜けるのも、私の悪い癖。

電話中は気づきもせず、お叱りを受け続けた。

「…ごめんなさい。お忙しいところ、ありがとうございました…」

すっかり消沈して、受話器を置いた。
時計を見たら、小一時間 お説教を食らってた。

忙しいんじゃ、なかったのかな…
と 思ったのは、内緒だ。

仕方なく泣き寝入りだ。

携帯持って駐輪場に戻り、しばらく悩んだ。
配線切って直結させたところで、ハンドルが斜めにロックされているから 円方向にしか進めない。

バイク屋に依頼するか。
出張サービスは午後になると言う。学校を休まざるを得なかった。

結局、パーツの取り寄せや 何やらで、一週間 公共交通機関 通いだ。
修理費も軽く一万円。凄く痛い。

多分 お姉さんは、意味不明な単語を言われ イタズラ電話と思ったんだろう。

知らない人にも 分かるように伝えるって、難しい。
私の説明文が くどいのは、多分 この お説教のトラウマだ。
大事な事に気付かせて頂いて、誠に ありがとうございます。
社会でも とても役に立ちました。いや、現在進行形かな。

──これで終了では無い。

一週間後、修理から戻ってきた私のバイク。駐輪場に停めた。

明日から、またバイク通学だ♪

翌朝、ルンルンで駐輪場に行き、バイクの横に立った。

──キーが挿さらない だと!!?

戻ってきたばかりのバイク。再び、鍵穴にアルミ片が詰まってた。

またかよ(泣)!!

前回 痛い思いをしたので 気は進まなかったが、私は トボトボと派出所に歩いた。

「おまわりさーん…」

この時は、いらした。
警官の2人の おじさまに事情を説明したら、とても親身に話を聴いて下さって、ジェラルミンの箱を持ち、一緒にバイクの元へと向かうことと なった。

現場検証だ。

箱の中から銀の粉と ぽんぽん を出し、バイクに塗布する。
指紋を摂る、あれだ。

おおー、これが本場の。ドラマみたい。

感動した。
粉末で白くなってしまった バイクを指し、警官のおじさんが教えてくれた。

「この白い粉ね、中性洗剤で落ちるから」

中性洗剤で落ちるんだ。

派出所に戻り、被害届に署名しながら、一応 前回の分も一緒に出せるか聞いてみた。
現行は知らんが、当時は出せなかった。
修理して上書きされてるんだ、物証が残ってないのだから、仕様がない。

まあ、アルミ片的に同一犯だろうから、一件分でも構わない。

再び、一週間 公共交通機関 通いだわ、修理費で一万円すっ飛んだ。もの凄く痛い。

どちらの件も、とても勉強になりました。ありがとうございます。

犯人に告ぐ。
「修理費二万円、弁償しろ」
あ、ちゃんとバイク用の丈夫なカバー買って、掛ける習慣つけましたよ。

セカンドハイスクールライフ③

一年生 最初の整備実習。
原付のオーバーホール。

一人一台 中古の廃車寸前な原付を与えられ、分解・清掃・組付 をして、走行テストを行うんだ。

もちろん、状態も さまざま。最初からエンジン不良のものも混ざってる。
ガソリンが入って無く、動くかどうかは運次第。
ツールボックスが一人一箱、支給された。

中には各サイズ、コンビネーションレンチ・モンキーレンチ・ラチェットハンドル&ソケット一式・プライヤー・プラス&マイナスドライバー・六角レンチ…なんかが入っており、専用工具が必要な場面で無い限り、一通り困らない。

太字の油性ペンが回ってきた。
最初の課題は、ツールボックスに自分の名前を書くのだ。
目立てば目立つほど良い。

これには理由が有る。
皆 揃いの変哲の無い工具箱、中身は同じ。分かるかな。

全員 年若いヤンチャ者、大人じゃない。
工具貸し借り返却しない。その上、他人の工具箱 当たり前に使うんだ。
失くされるんですよ。
だから、失くされる前に使わせない努力が必要だ。
私は結構 死守した方だが、それでも三年の頃には、いくつか消えてた。

話を戻そう。
原付の車種も さまざま、大まかな仕組みは同じだけれど、工程を全員 揃えて進めるのは不可能だ。

外したボルトのナットは失くさぬよう、元の土台に仮止めする、
配線にはマスキングテープにペン書きして、抜いた箇所が分かるようにしておく。

その他 基本的な事を教わり、残りは ほぼ自由だ。自分のペースで自分で考えながら分解していく。
困ったら先生に聞く、タイヤを外して不安定になったら 学友と協力して 支えてもらったりしながら進めろ、との方針。

凄い助かる。

なんせ、私は他人と足並み揃えるのが苦手な性分。超が超超超 付くマイペース。
今は体力無いから無理だけど、昔は一度 熱中すると周りが見えないほど集中する。加えて、手先は器用な方だ。

支えが必要な部分も 特に誰かの手を借りることなく、考えたら工具箱 下敷にすれば良いじゃん。
完全 独りで 分解・清掃・組付、難なく全部やってのけてまった。

なので、あんまり記憶に残ってない。
作業は もちろん、楽しかったですよ。

一番に終わったかな。
日程より数日早く完了し、ガソリン入れて エンジンも掛かったから、手持ち無沙汰になってしまった。
空いた時間は、学友を手伝ったり備品を準備する先生と喋りながら邪魔したり、二年の同い年の子に連れられて 壁隣の整備場を見学したり、三年の卒業制作 見に行ったり。

それでも余った時間は、自分のバイク磨いたり、日当たりの良い工場の前で過ごしてた。
日向ぼっこ が一番多かったかな。
サボってたんじゃ、無いですよ(汗)多分…
生徒の自主性に任せる 自由な校風だもんで、持ち前のマイペースにも拍車が かかりましたね。良い意味で。

エンジン掛からない原付も数台 在る。
そういうのは生徒も先生も一丸と、バラしてキャブレター クリーニングしてみたり
「ああでもない、こうでもない」
協力し合って全台 動くまでに到達した。
走行テストは、空き地の広い系列の専門学校で行う。

全員分のナンバーの無い原付は、先生方がトラックで運ぶ。そういう準備にも私は積極的に顔を出した。

だって 面白そうじゃん。社会勉強じゃん。

トラックの荷台に橋を掛け、一台一台 荷揚げされる原付を眺めた。
ガシャーンと ドミノ倒れて大騒ぎする先生方を 爆笑してた、私。
うん、手伝っては ないですね。

三角コーン並べ、プチ原付講習。
半数はバイク乗りだけど、半数は全く乗った時も無い。

初心者が怖々 運転する横で、経験者は ウィリーしたり バンク走行したり ガリガリとマフラー擦っちゃってて、風景的にはカオスで面白かったです。

表現力か、やはり表現力なのか

何故だ。
何故 文章になると淡々としてしまうのだ。

もっと、こう

ひゃっはぁ☆たあのし~い♪♪♪

て、感じなのに…
全然 楽しさが文章に現れてない。

課題だな、これ。
精進します(泣)

セカンドハイスクールライフ④

自動車のオーバーホールは、流石にグループ実習。

数台分の班に分かれ、実習場のリフトの上に設置された自動車を、実際の車検 点検項目になぞってオーバーホールする。

K君と同じ班だ。やったあ♪

いや、うん。可愛いんですよ、事ある毎に 赤くなっちゃって、もう。
私 年上派だけど、お世話したく なっちゃうんですよ、つい。
あ、もちろん 他のコ達も可愛いもんですよ、うふふ♪

ドアもボンネットも外装・内装 全部 バラバラ。
エンジンだけは専用工具が学校には無いので降ろせなかったけど。
ブレーキパッドの仕組や点検、オイル系のチェックなんか 教わって。

強烈だったのが、デフオイル。
FRトランスミッション、後輪にエンジンの駆動を伝える大きな部品。
その一部の、後輪の間に有る ディファレンシャル という円錐の中に入ってるオイルなんだけど…

臭っせえ!

臭っせえのよ。
オエッ、となる臭さ。
例えるなら、豆腐? 嗅いだ時に オエッ となる系統。
手に着いちゃうと地獄。
数日、臭い。とれない(泣)

あれ、なんで あんなに臭いんだろう…こういうの絶対 質問してる はずなんだが、忘れてしまったな。
今度 調べよ。

原付 以上に、車の古くなったグリース類は 厄介だ。

汚れで真っ黒 タール状。
灯油だとか、工業用の専用石けんで手を洗うんだが、
まあ、落ちない。
爪は もちろん、手相 指紋にまで入り込んで、お風呂入っても落ちない。

そんな黒い手で、晩飯 作るの最初は抵抗あったけど、そのうち見慣れた。

同じく、制服のツナギも汚れが激しくなってきて、普通の洗剤では綺麗にならない。
他の衣類に汚れ移ったら嫌だし、自分で洗濯してた。
どうにかならんかな、と思ってた最中、出会いました!
買出し中に 消耗品コーナー で目に留まった、黄色い容器。

作○着用洗剤!

なんて、どストレートなネーミングだろう!

普通の洗剤より 割高だけど、カゴに入れちゃいましたよね。

完全に落ちはしなかったけど、服の色落ちしないし結構 良い。
使い古した経年も、味があって好きではあるんだが。
学友のツナギが どんどん 洗濯で色あせる中、私のツナギは支給当初の 発色の良いシアンのバイカラーをキープし続けた。

落ちきれない汚れや、塗料なんかで彩色された、私のツナギ。
今でも押入れの天袋で 大切に保管してある。

カビてないかな…

話を戻そう。

パンク修理は好きだったな。
自転車と違いチューブが入ってないから、空気抜いてホイールから手作業で タイヤを着脱するのが、特に。
一般のタイヤ屋さんには機械が在るのだが。
協力し合い 自動車オーバーホールを完了して、接点無かった子達も随分 話しかけて くれるようになった。

夏休み前、残った実習時間でM先生が「ゴミ箱とベンチを作ろう!」と 言い出した。

おおお、欲しかったんだ ベンチ。

日当たりの良い工場前には 椅子が無い。
手洗い場か、自分のバイクか、地面に直に座るしか、なかった。
夏に差し掛かり、焼けたシートに コンクリート打ちっぱなしの地面は熱い。
もちろん、板金なんかもやる整備学校だ。
普通に木工では無い。

長さ数m、5mm厚 鉄の角パイプ。
こいつを切って溶接する。

最近DIYのメディアなんかでは お馴染みだが、当時そんな特殊な工作は町工場で行うもの。

面白そうじゃん。やりたいじゃん。

数十本の角パイプ、床置きされたマイターソー。
電動式の円のこ なんだが、静止した金属の円歯は、湾曲した刃がギザギザ生えた LP盤。

正直、ホラー的で怖かったですね。

歯により余計に削れる分も 正確に採寸して 角パイプに印したら、マイターソーにセットして電源ON。
円歯を角パイプに降ろせば、ギュイイインッ と、けたたましい金属音に飛び出す火花。

まるで、横倒しちゃった 花火のド○ゴン。
すげえ飛ぶのよ、火花が。

入れ替わり立ち替わり、全員でパーツを切り出していく。
順番待ちの長い時間は、ずっとハラハラで気が気でない。

大丈夫か!?怪我しないか!?腕切っちゃわないか!?

気分は完全、お母さん。
産んじゃいないけど。

(誤記) 歯 × → 刃 ○

可燃性ガスの アセチレンと、酸素。胸の高さ程の 大きなボンベが学校に常備されてる。

ガス溶接だ。

革手袋に防護メット、補助者はゴーグルを掛ける。溶接の閃光は目に悪いので。
溶接棒、ハンダ付けに使うハンダの立派なやつ。太さ3mm程 1m位の びよんびよん しなる棒を構える。

ガスを出し点火。
シュゴオオォ と、吹き出す火は バーナーの親分。

直角に合わせた角パイプの 接地部分に 溶接棒を当て、小さく円を描くようにして 溶剤が鱗状になるのを目指し、角パイプ二本を溶接する。

初めてだったけど、M先生に「綺麗にできてる」て 褒めてもらえた。えへへ♪

溶接した箇所は もちろん、素材は熱伝導の良い 鉄だ。

「溶接したら、絶対 触るな」

と 注意も有った。

防護の為に、溶接者も補助者も、革手袋を はめている。
制服のツナギも耐火性だ。

自分の番が終わり、再び順番待ちをしていた私。

コロコロン…

慣れない分厚い革手袋に摘み損なったか、溶接棒が 私の元へ転がってきた。
落し物は拾いますよね。

私は ひょいっ、と 溶接棒を 摘んだ。

…………熱ッ!!!

革手袋は数が少ない。貸し回しだ。

私は素手で 熱された 溶接棒を摘んでいた。
しかも、熱さを瞬時に感じられず、しばらく持っていたのだ。
馬鹿確定案件。

うええん(泣)

水道で数十分、流水にさらした。
ジリジリ ビリビリ、と 親指と人差し指の 指腹が痛む。
見れば 皮は 焦げ赤く膨れ、水が溜まりつつあった。
そこそこ 深かったんじゃないかな。

利き手の指先だ。
鉛筆が持てなくなるのだけは回避せねば!

もう、実習どころじゃないですね。私にとっては死活問題ですから。

私は職員室に向かった。
小さな学校だから、保健室は無人なので。
事務のS女史に訳を話し、凄く心配されながら ビニールの小袋に氷を詰めてもらった。

実習場に戻って、くたびれたパイプ椅子を広げ 氷の袋を握り、座れば もう 動かない。

しばらくしてM先生に
「○○、やるか?」
と 聞かれたけれど、私は無言で掌を払った。

もう おなかいっぱいです。

他人の心配しといて、自分が やらかしてるんだから世話無い。

実習中、一番に怪我したのも、また 私。

終日 氷の袋を握っていたので、手は かじかんだり、数年 指紋が2cm無かったりしたけど、お陰か 今では跡形も無い。
先生方にS女史、本当に ご心配お掛けしました(礼)

翌日、冷えた土台の溶接部のポコ付きを軽くサンダーで研磨し、塗装する。
もちろん、塗料は車のボディに使うもの。
大きな容器の付いた、エアースプレーガンを構え、邪魔にならぬよう ホースは後ろ手に持ち、均一に横に薙ぐ。

みるみる金属色が 渋い黒に色付いていく。

おおお、なんかプロっぽい!

感動した。
やっぱ色塗るのは楽しいですね♪いや、まだヘボいんだけど…

座面用の白木の板にも クリヤーを吹いて防水仕様。
電動ドリルでネジ穴を開け、座面と土台をボルトで固定し、完成☆

同じく枠組みを作ったゴミ箱と共に、各所に設置。
結構な台数作ったから、生徒全員 活用 出来ましたよ。
学校生活が 凄く快適になった。
日常の 日向ぼっこ にも拍車が かかる。

散らかり放題だった、ゴミ問題も 解決。
大きなゴミ袋を中に挟んで、縦に斜めに切った角パイプの内枠を はめる感じ。
分かりにくいかな。
簡易的だけど凄く使い易い。

全てM先生の考案、本当に感謝です♪
⑤に続く──

線維筋痛症と私④

それまで軽い不眠なんかは抱えていたが、最初に“痛み”の症状が現れたのは、二十代後半。

「趣味は仕事」と堂々 公言していた、末端の中間管理職であったが、上役や部下と対決するのが楽しい働き盛り。
私は「線維筋痛症」にたどり着くのに、ドクターショッピングを重ねた口だ。
まあ、仕方ない。

今から十余年 昔の事。
一般認知度は おろか、医療従事者ですら 病名を知らない者が多かった。
難病でも無く 目立たず、研究者も少なかっただろう。
「そんな病気があるのか」というところから議論され、「詐病だ」と疑う者すら居たと聞く。

加えて、私の症状は部分的に始まった。
絵を描く時間は ほぼ取れなかったが、日報・月報 文字を書く機会は多かった。
職場でも結構、手先を酷使する。

自宅で月報を書いてた折、突如として 鉛筆を握っていた、右手親指の付け根に疝痛が走った。

丈夫な釘でも打ち付けられたような痛みだった。

何事!?

鉛筆を落とし、痛む右手を眺めた。
あ、学生時分の火傷は多分関係無い。完治していたし、部位も違う。

腱鞘炎かな。

自然と治るだろう。当時は軽い気持ちだ。

文字を書くのも痛くて辛い。職場でも手先を使いずらい。
だが、鉛筆の持ち方を変え 親指を使わないコツなんか掴んで、そこまで支障ではなかった。

“治る”と思い込んでたし。

翌月、ジリジリ ビリビリと 右掌が痺れ始めた。
流石に仕事の合間を縫って、整形外科に行った。
レントゲンを撮っても異常は無く、原因不明で病名すら付かない。

ドクターショッピングの始まりだ。

痺れは全く治まらず、今では両肘下・膝下が常に痺れている。痺れていない時は無いが、感覚は有る。

このまま右手を使っていたら潰れてしまう。

私に とっては死活問題だ。

安直な考えで私は、右手を休ませよう、と思った。
ボールペン字の練習帳を買い、左手で文字を書く修練を始めた。
箸も左手で使えるよう訓練した。これ、結構キツい。

数ヶ月後マスターした頃に、左手にも同様の疝痛が走った。

あ、ダメだコレ。

今度は違う整形外科に行ってみた。
レントゲンに触診、やはり異常は無い。
結局、負担が分かれるよう、両手を交互に使うようにした。

翌年、背部に五寸釘を打ち付けられてる激痛が始まった。
市販の痛み止めを飲んでも効かない。

職場でも「痛い」と、呟くようになっていった。
「大丈夫?」皆、凄く心配してくれる。

あまりにも日常に「痛い」と言い過ぎては、もっと何かしら危機的な痛みに襲われた時、誰も信じてくれないのでは。
オオカミ少年を思ってしまった。

私は「痛い」と言うのを止めた。
でも、やっぱり言葉に出さないと耐えられない。
代わりの言葉を考えた。
私は「痛い」時「疲れた」と変換して言葉にした。

これ、オススメしない。

「疲れた」は確かに誰にでも伝わり共感を得られるが、社会的にも“怠惰な人間”と評価されてしまう。

その上「痛い」のに、今だに「疲れた」と言ってしまう。
習慣になってしまった。
病院でも症状を「疲れた」しか言えない。
正確に症状を伝えられない。

皆様は「痛い」時は、素直に「痛い」と、表現して下さいね。

⑤に続く──

病気に関しては、私もどう語るべきか迷っているので、何かしら ご質問がございましたら、お手数ですがDM頂けると助かります。
専門知識の無い私が語れるのは、経験談くらいな ものなんですが…

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