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『シャツとダンス』を読んで

およそ6年に亘り、愛用している「メーカーズシャツ鎌倉」の商品。

ワイシャツの袖を通せばすぐに分かる、軽くソフトな着心地。

ネクタイのディンプル(窪み)を作ればすぐに分かる、肉厚で柔らかな生地。

一度身につけたら、他の会社の製品は購入できない位、素晴らしい。

そんな通称「鎌倉シャツ」を題材に、新刊本が出版された。

『シャツとダンス』というタイトルで、創業者の貞末夫妻と、その3人の子供たちが描かれている。

元会長の貞末良雄さんのコラムは、WEBサイトで読んでいた。

「ヴァンヂャケット」の元部長で、いくつかの会社を経て鎌倉シャツを創業。

創業前に勤めた会社は、偶然にも全て倒産してしまったと言う。

どのような人生を歩まれていたのか、以前から興味があったので早速購入。

一気に読んでしまった。

私が最も惹かれたのは、ヴァンヂャケットにいた10年間のエピソード。

上司や周りに遠慮なく物申す姿勢と、疲労を厭わない超ハードワーク。

敵は多く、左遷に近い人事もあったようだ。

だが目先の数字に囚われず、お客様を第一に考える姿勢を貫き通した。

やがて雲の上の存在であった石津社長からも、一目置かれる存在になったとの事。

30代半ばで部長に抜擢され、社内改革を主導していたようだ。

本にはヴァンヂャケットがどのような経緯で倒産に向けて進んでしまったのか、詳しく書かれている。

大手商社からの出向社員が、いかに会社を破滅へと(結果的に)追い込んで行ったか。

まさに経営のドキュメンタリーのようで、非常にためになった。

現在は第一線を退き、今年になって長女に代表権を譲られたそう。

コロナ禍で苦境に立たされているアパレル業界だが、日本の高品質の物づくりを支える気概で、ぜひ頑張って欲しいと思う。

鎌倉シャツの1ファンとして、そう願ってやまない。

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