世界経済最前線

デジタルユーロ計画で、 中央銀行仮想通貨の競争が始まった

  欧州連合(EU)は、12月5日、欧州中央銀行によるデジタル通貨の発行を検討すると発表した。
 「経済財政理事会」での協議の後、欧州委員会との共同声明の形で発表した。
 ・朝日新聞 
  ・Reuters  

 詳細は、まだ分からない。
 明らかなのは、リブラ阻止だ。
 また、中国人民銀行が仮想通貨(デジタル人民元)の開発を加速化させていることへの対応もあるだろう。

 リブラ「規制」なら中国「デジタル人民元」が世界通貨になる

 さらに、北欧諸国を中心としてキャッシュレス化が進行している状況に、中央銀行が対応する必要もあるだろう。

 なお、フランス中央銀行は、2020年の第1四半期から、ユーロのデジタル通貨の試運転を行なうと発表している。
 これは、小売り段階では使用しない、「卸し型」のものだろうと考えられる。

◇ 影響は全世界に及ぶ
 仮にデジタルユーロが発行されることになれば、その影響はユーロだけにとどまらない。
 まず、イギリスが大きな影響を受ける。

 それだけでなく、世界の他の国にも影響がありうる。日本にも影響が及ぶ可能性がある。

 世界規模でのマネーの主導権を巡る戦いが先鋭化してきていると考えることができる。

◇ 中央銀行の仮想通貨にはいくつもの問題がある
 中央銀行が仮想通貨を発行すると、いくつかの問題が生じると考えられる。
 ・中央銀行が仮想通貨を発行すると世の中が変わる

 秘密鍵付与の際に本人確認を厳格に行なえば、詳細な個人情報が中央銀行に集まるだろう。それが、プライバシー保護との関係で問題だ。

 望ましいのは、リブラのように、管理主体を持たないパブリックブロックチェーンで運営されるタイプの仮想通貨だ。


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