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「発想力トレーニング」(その1:通勤経路を変えてみる)

『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書、2019年9月)では、「発想力トレーニング」というものを提案しています。

 発想のためには、つねに発想を続ける「現役」であることが必要ですが、その実行は容易なことではありません。
 そこで、「毎日できるような簡単なトレーニングをしよう」というのが、「発想力トレーニング」の提案です。
 運動選手が、毎日トレーニングするのと同じことです。
 その具体的な内容は、『AI時代の「超」発想法』の各章の最後に提案しているものをご覧ください。

 例えば、発想力トレーニング(1)として提案しているのは、「通勤経路を変える」ということです。
 電車で通勤している人なら、帰り道、いつも降車している駅の一つ前で降車してみたらどうでしょう。これなら、あまり負担にならず、今日からでも実行できるでしょう。
 そして、実行してみれば、実に多くの新しいことを発見するでしょう。

 いつも通っている道とは少し違うだけなのに、風景ががらりと違うと感じることもあります。いつも見慣れている建物を別の角度から見るだけで、新しい発見をすることもあります。
 場合によっては、全く新しい世界を歩いているような気持ちになることもあるでしょう。そして、これまで住んでいた世界には、気づかないでいたことがきわめて多く、それをこのようにして広げることが可能だ、ということを実感できるでしょう。

 そして、同じことが、仕事や発想についても応用できることが分かるでしょう。
 これまで解決しようと思っていて解決策が見つからなかった難問であっても、見方を変えたり、全く新しい手段を考えたりすれば、実に簡単に突破できてしまうことがあるかもしれません。
 問題の設定を変えてみたり、アプローチの方法を変えたりする。あるいは、これまで使っている資料を変える。それらの変化がわずかなことであっても、大きな効果をもたらすことがあり得るのです。要は、惰性に委ねていた生活や仕事を変えることです。

 「方法を変えて見よ」とは、昔から言われてきたことです(「引いてだめなら押して見よ」などといわれてきました。しかし、「実際にどうしたらよいのか」というのが分からない場合が多いのです。
 「部屋の模様替えをする」という提案もありますが、実行は簡単ではありません。
 「通勤経路を変える」という誰でもすぐに実行できることを突破口として、「方法を変える」ということの感覚を掴むことができます。



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