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賃金のデータが消えてしまった!

上と下の奇妙な表をご覧いただきたい。
これは、「毎月勤労統計」の最新の統計表だ。
2011年以前のデータがすべて消え去っている前代未聞の異常事態という他はない。

もともとは、もちろん、こんな奇妙な表ではなかった。
下の表は、2018年7月当時のもので、私がたまたまダウンロードしてあったものだ。

毎月勤労統計については、データの収集・集計方法に不正や誤りがあったとして、現在大問題となっている。
この経緯については、ダイヤモンドオンラインの記事 で詳しく論じたので、それをご覧いただきたい。

ここで訴えたいのは、データ利用者の立場から見て、現状が信じられないほど異常な状況になっていることだ。データがなくなってしまったので、賃金に関する分析ができなくなってしまったのだ!

この状況は、将来是正されるのだろうか?
厚生労働省は、2011年以前のデータを修正するための基礎資料を廃棄してしまったとしている。
そうだとすると、今後2011年以前の期間についてどんなデータが出てきても、それは確たる資料に基づく信頼できるデータではなく、何らかの想定に基づいて作成された虚構のデータということになってしまう。

言うまでもないことだが、賃金のデータは、経済を分析する場合に欠かすことのできない重要なデータだ。それがこのような状態になってしまっている。一体どうしたらよいのか?
今年は公的年金の財政検証が行なわれる年だが、年金の将来設計にあたっては、将来の賃金について正しい想定を置くことが極めて重要だ。そのためには、過去のデータに基づいて賃金の分析をする必要がある。ところが、そうした分析ができない状態になっているのだ。

現在、国会で、第三者による調査が実は内部調査だったことの追及が行なわれている。
その追及はもちろん重要なことだが、データがなくなってしまったことがもっと大きな問題だ
国会では、是非、この問題を議論してもらいたい。



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