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ディジタル時代の「超」整理法

◇ディジタル情報の時代:「整理の方法」は、「検索の方法」になった
 ディジタル情報の時代になって、PCなどの記憶容量がムーアの法則で拡大し、スペースの制約はなくなりました。

 しかし、整理の必要性は高まっています。なぜなら大量の情報を保存することになるからです。

 ディジタル時代になり、整理法のノウハウの半分は、検索法のノウハウになりました。
 ディジタル情報の時代のモットーは、「分類するな。ひたすら検索せよ」です
 このモットーにしたがって、どのようなシステムを構築するかが重要になっています。

gmailの通信記録をどう管理するか?
 私の場合、つい最近まで、文章の基本的な格納場所は、gmailでした。
 これは、「原稿を書いて出版社に送る」ということが基本的な作業になっているからです。原稿を送るときはメールで送るので、特別の操作をしなくても、自動的に過去の原稿がここに蓄積されます。
 なお、それ以外にも、私はバックアップの代用として自分自身にメールを送ることをしばしば行なっています。

 ところが、そのうちに問題が生じてきました。それは、お知らせや広告等のメールが大量に押し寄せてくることです。雑誌や新聞などに登録すると、そこから必ずメールが送られてきます。
 これらのメールを「迷惑メール」としてブロックしてしまえばよいのですが、情報価値があるものもあるので、ブロックしないでいると、極めて大量のメールが送られてきて検索する場合の雑音になります。

 それよりは、検索の方法を向上させることが重要です。
 送付先名とのand検索にするとかなり絞れます。  
 原稿の場合には、その中に含まれていると考えられるキーワードと送付先出版社の編集者の人の名前で、かなり限定化ができます。

 そのうちに気づいたのは、私の場合には、「原稿」という言葉を加えると、さらに限定化できるということです。これは、原稿を送る場合、送り状に必ず「原稿をお送りします」と書いているからです。
 検索のためにこのような文言を書いていたわけではないのですが、結果的に、これが極めて強力な検索キーワードになりました。
 このように、送り状に特定の言葉を入れるのを習慣にすることで、かなり有効なタグとしての役割を期待することができます。

Googleドキュメントをどう整理するか?
 しばらく前から、原稿を書く際に、出発点として音声認識でGoogleドキュメントに入力するという方式をとっています。
 この方式をとると、原稿は自動的にクラウドに上げられるので、どのデバイスからアクセスしてもその原稿を閲覧、編集することができ、大変便利です。

 ところが、文書が溜まってくると、どのように整理したらよいかが、重要な問題になってきます。
 ここにあるのは、完成原稿ではなく、作成途中のものやメモであるため、完成原稿にまで至ったものは削除することにしていたのですが、なかなか面倒です(それに、削除の操作をしたにもかかわらず、残ってしまう場合も頻繁にあります)。
 「Googleドキュメントは削除せずに検索で探す」という人がいましたが、ドキュメントがいくらでもたまっていくと、やはり使いにくくなります。

 一つ一つの文章にはタイトルをつけているのですが、似たようなタイトルのものが大量にできるようになると、やはり見出し難くなります。
 そこで、つぎの2つのことを行なうようにしました。
 第1に、タイトルに必ず作成日を入れるようにしました。例えば、「メモ2019-1-1」といった具合です。

 第2は、ここでもMTF原則を用いることです。Googleドキュメントの基本的な配列は時間順なのですが、参照しただけではトップに移りません。
 そこで、参照したドキュメントには小さな修正を加えて置くことにします(小さな空白を一カ所加えるだけで十分です)。するとトップに来ます。
 そして、使わなかったドキュメントは下のほうに集まることになります。つまり、「押し出しフィリング」と同じことになるわけです。
 ただし、下にあるものが必ずしも不要なものではありません。記録等で重要なものもあるからです。これらは、コピーして別の場所に保存します。そして、他のドキュメントを削除します。

しかし、Googleも徹底していない
 Googleも、「分類せずに検索せよ」という考えを完徹できていません。
 とくに問題なのは、メールのスレッドです。

 メールがスレッドになってしまうと、検索をしたときに、スレッドに含まれているメールが全部出てきてしまって、スレッド中のどのメールに入ってるのか、分からなくなるからです。
 検索で探し出せるのだから、なるべく短い単位の方が望ましいのです。
 スレッド方式が必要な人もいるでしょうが、少なくともデフォルトは、「スプレッド解除」にすべきです。

 タグもあまり意味がありません。
 なぜなら、問題意識が変わるからです。整理とは思想なのです。

 ウインドウズのシステムに至っては、ファイル整理の基本が、「名前」(50音順)という役に立たない分類になっています。ファイルを名前の順に並べるのは、住所録の発想です。ディジタル 情報には全く適していません。
 更新日時(時間順)に直すのですが、不思議なことにいつの間にか「名前」に戻ってしまうことが多いのです。
 しかも、ここでも、Googleドキュメントと同じように、開いただけだけで編集しないと、フロントに来ないのです。このため、私は必要な文書は、少しでも編集して、フロントに移すことにしています。

ウインドウズ「エクスプローラ」についてのメモ
・「名称を変更」の操作に注意
 ウインドウズのファイル管理システムには、重大な問題があります。これは「整理」の問題ではないのですが、現実に重要なので、この機会に述べておきます。

 フォルダまたはファイルの名称を変更するには、ウインドウズ「エクスプローラ」でフォルダやファイルを開き、右クリックします。ウインドウが開かれ、そこに「名前の変更(M)」という項目があるのでクリックすると、フォルダやファイルの名称が反転するので、修正します。
 ところが、「名前の変更(M)」のすぐ上に「削除(D)」という項目があるのです。
 誤ってこれをクリックしてしまうと、フォルダやファイルは、たちどころに消滅してしまいます

 通常「削除」には、「本当に削除してよいですか?」といった警告がでるのですが、いまの操作では、警告がありません。まったくあっという間に消滅してしまうのです。消滅したことに暫く気づかないほどです。
 私は、この事故に数回見舞われました。「名前の変更(M)」を押すときには十分注意してやっているのですが、それでも事故が起こってしまいます。
 重要な資料が入ったフォルダを削除してしまった場合には、本当に悲劇です。「バックアップをとっておかなかったのが悪い」と言われればそのとおりですが、もう少し親切な設定にしてもらえないものでしょうか?
 「本当に削除してよいですか?」という警告をだすか、あるいは、「削除(D)」ボタンを他から離れたところに置く、などの措置です。

*「名前の変更(M)」の操作につき、dai-majinさんから大変有益なコメントをいただきました。このページのコメント欄をご覧下さい。dai-majinさん、ありがとうございました。


ファイルを他のフォルダにコピーまたは移動させる方法
 フォルダを選んで、Ctrl とNを押すと、そのフォルダのコピーが作成されます。それを移動させると、元の画面が現れます。
 別のフォルダを選ぶと、画面に2つのフォルダが表示されます。つまり、2つのフォルダが画面に表示されます。
 この状態で、フォルダ間でファイルを、「ドラッグアンドペースト」によって移動またはコピーできます。多数のファイルを移動またはコピーするには、これが一番簡単な方法です。


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