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貧乏サラリーマンが見た世界377

昭和の文系凡人である自分は幸運にもAI時代が本格到来する前に昨年65歳となり、長年勤めた日本企業を卒業した。今回の東京都知事選挙にはAIエンジニアの安野貴博さんが立候補されていたが、今後AI の利用が増えて行くことは確実であると同時にAIスキルによる所得格差が拡大し、社会の二極化を更に加速すると思われ、自分がまだまだ現役だったならば取り残されていただろうと冷や汗をかいている。AIが不平等を拡大させる可能性のある最初のメカニズムは、既に大手企業で高給を得ているサラリーマンの生産性と所得がAI利用により高まる一方で、対面サービスや肉体労働の仕事に就く多くの非正規労働者や定年退職後の高齢労働者は置き去りにされて行くというものだ。資本主義の現状からすれば、生産性の向上で得た利益はより株主に向かうと思われ、AI時代に対応する知識労働者以外の労働分配率は更に低下するだろう。自分は長年海外事業を担当し、1年100日以上の海外出張と現地駐在も繰り返して来たことから現在外資でコンサルタントの仕事を得ているが、AIの利用により、昔では考えられなかったようなスピードで仕事を片付けることが出来るようになっている。提案書や報告書さえもAIが日本語でも英語でも作業してくれるのだ。自分は最終的に体裁を整えるだけで良い。AI主導の効率化が必ずしも多くの雇用創出に繋がるかと言えば、逆に資本家は当然雇用減少を目指すだろう。大手企業が目指している生産性向上の目標を達成すれば、AIシステム導入の経済的影響は、過去のパソコン導入による効率化とは根本的に異なる社会的影響を及ぼすことになるだろうと文系凡人である自分でも容易に想像出来る。つまりは現在人間が実施している作業をAIが実行するだけでなく、かつてトヨタが生み出したジャストインタイムのような合理化を含む新たな仕事のやり方を人間よりも効率的に、より低コストで発見し発明することがAIに出来るとなると、現在の企業社会がどうなっていくのか、そしてどのように所得が分配されていくのだろうか。企業の成長が労働者に共有され、獲得した利益が公平に分配されるのかという点を考えると資本家と労働者の格差がどれだけ大きなものになるか想像するだけで空恐ろしくなる。こういう課題を考えるには安野さんのようなAIエンジニアの役割が大きくなると思う。人間の労働と機械の間のタスクをいかに割り当て、仕事を編成していくのかが、AIエンジニアの仕事になると思う。そういう意味では小池ゆりこさんが当選後のインタビューでAIの分かる方と仕事をしたいと語ったことは、視点としては良いと思うし、AIによる社会変革の可能性が社会のすべての人々に利益をもたらし、不平等を悪化させないようにするためにはどうすれば良いのか、何が必要なのか方法を考えなければならないと思う。そこに政治家の役割があり、その役割を果たすことが将来の日本社会の繁栄のためには不可欠である。ただ現在そういうことが出来る政治家が見当たらない日本は本当に不幸であり、将来は暗い。今年66歳となる爺いの自分には、AIを取り入れ、収益化に成功している会社を見つけ、株を買うことくらいしか出来ないが、世の中が大きく変わる節目に老後を迎えてしまったトホホな貧乏人にも引き続き勉強が必要なようである。

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