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貧乏サラリーマンが見た世界368

ロンドンの老舗フレンチレストラン「ル・ガヴローシュ」(1967創業)が今年閉店したとは知らなかった。フランス企業研修生としてフランス留学時の1985年春に車でセントアンドリュースまでゴルフ旅行に行った際に立ち寄ったのが、ルー兄弟との出会いだった。後年ロンドンに駐在した際はベルグラヴィアの賃貸ボロフラットに住んでいたのでメイフェアのレストランまでは徒歩圏であり、ロンドンのフレンチと言えば、自分にとってはゴードン・ラムゼイではなくムシュー・ルーのル・ガヴローシュだった。フランス社費留学してから、もう40年も経つのだから、閉店も時代の流れなのだろう。最近では自分の食も細くなり、伝統的なフランス料理オートキュイジーヌはしんどくなった。昨年帰国するまでは安ワインでもガブガブ飲めたのに今年に入り、安ワインはグラス一杯でもう結構となってしまう。舌が肥えたのではなく、食欲や飲酒欲が後退しつつあるようで情けないし、哀しい。毎週末、食事の際にはワインを開けているが、ボトル一本を空けるのに2週間はかかるのだ。斯様な体たらくなので、昔、通った銀座のフレンチレストランもいまだに健在ではあるが、とてもこの胃袋ではと再訪するのは躊躇している。旧ラ・ベル・エポックで牛フィレ肉のパイ包み焼きウエリントン風に当たり年のボルドー格付け赤ワインを合わせて食するのが、自分の現役時代のスタイルだったのだが、今はもう昔の話になった。前菜に合わせてムルソージュヌヴリエール(白ワイン)を飲むのも定番だった。老人の繰り言ではあるが、今年で66歳、こんなに早く胃の機能が低下するとは思いも及ばなかった。毎年末、人間ドックで胃カメラを飲んでチェックしており、特に病気はないので、単に弱っているだけなのだろう。まあ、若い時代に散財し、楽しんだので諦めはつく。そして今現在は、素菜、素食な暮らしではあるが、それで十分に美味なのだ。先日、昔の同僚に誘われ、久しぶりに都心で割烹料理を楽しんだが、綺麗に盛り付けされた少々の高級食材を食べるだけで十二分に満足し、たまに行く和食でもう充分に幸せなのだと悟った次第である。今日、日本年金機構から令和6年度の年金振込通知書を郵便で受け取った。確かに所得税額および復興特別所得税額の欄がゼロ円となっている。加えて昨秋、65歳となり退職と同時に帰国したので、令和6年度に限り、住民税非課税世帯なので住民税もゼロであり、何も働かなくともたまの外食なら減税額もあり、楽しめそうだ。ただ趣味を兼ねて今も外資の顧問として仕事を続けているわけだが、今年働いて得る顧問料は来年の税金支払いの為に貯金せねばならない。庶民には老後資金を投資を通じて自己解決しろとマスメディアを通じて盛んに煽ると同時に、年金で生活出来ないなら働くしかないと脅す。そして働けば老人からも容赦なく税金を取る。脱税し放題の特権階級である政治家のポスターを見るたびに怒りが沸々と湧いてくる。

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