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貧乏サラリーマンが見た世界366

エネルギーの話が続くが、今週、日EU水素ビジネスフォーラムが東京で開催された。日欧間におけるいくつかのMOUが締結されたが、経済性がまったくないのに何をやっているかというか、実質賃金が25カ月連続マイナスという経済状況の中、無駄遣いをし庶民に増税(炭素税)として押し付けるのかというのが正直なところだ。まず、再生可能電力からのグリーン水素製造は水電解装置が必要になるが、現在最大の装置能力は5MW=750トン年に過ぎない。日本政府は2030年までに年間3百万トンの水素を製造するとしているが、それには少なくとも20GW(4千基の水電解装置)が必要となる。世界最大の電解装置メーカーでも年間1GWを製造するのがせいぜいなのだ。また装置を製造するにしても、製造した水素を運ぶにしても、はたまた使うにしてもまったく経済性がないのだから、全て補助金=増税にしかならない。政官財の上級国民や富裕層はそれでも良いのだろうが、水素を発電に使うとなると庶民にはおそろしく高い電気代が想定される。おそらく家庭の電気代は一桁違うレベルになるだろう。お偉いさんたちのグリーントランスフォーメーション(再生可能なクリーンエネルギーへの転換)を旗印とする今回のようなバカ騒ぎは勝手にやって貰えば良いが、それは庶民の生活苦となって全て跳ね返ってくるのだから堪らない。政府は水素社会推進法案を今国会に提出し、産業用の熱需要、プロセス需要、更には輸送燃料需要にも水素を使うとしており、水素製造のために一体どれだけの電力を使うつもりなのかと思う。この水素製造のために対応する電力を作るには規模からいって原発しかない。そして、こんなことをすれば二酸化炭素を排出しないとしても、その放出する人工熱で日本は灼熱の地獄となり、冷房用の高額の電気代が払えない貧乏人は日本に住むことは出来なくなるだろう。今、足元で庶民に出来る対策としては高断熱、高エネルギー効率のZEH(ネットゼロエネルギーハウス)対応の住宅やマンションに住むことである。自分もZEHーMのマンションの一室を購入し、住み始めたが、確かに断熱効果は大きい。効率がどの程度かは今後検証していくことになる。将来的にはマンションの外壁面に張り付けるフィルム型のへロブスカイト太陽電池と蓄電池を組み合わせた分散型電力供給システムが可能になると期待している。大型設備で発電し、送電線で電気を運ぶという現在のシステムは再生可能電力には合わないので日本でも既に多くの再生可能電力が無駄になっている。北海道の風、九州の太陽から電力を作るとしてもどうやって都市圏の電力を賄うのかということになるし、現在の送電システムにおいては送電ロスが大きいうえに電気を貯めておくことは出来ないのだ。自分のように長く海外の現場で働いて来た人間からすれば、快適な事務所空間で働き、連休には出張と称して観光地を満喫し、更には日常的に高級レストランやバーで飲食を楽しむ政官財の上級国民には現場のことを想像するなぞ思いも寄らず、机上の空論を展開しているだけに見える。彼らが庶民のことを考えていないことだけは確かである。


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