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貧乏サラリーマンが見た世界299

再就職先である海外事業会社の設立準備に時間が掛かっており、現在日本で待機中なので、健康の為、敢えて隣町のスーパーに歩いて買い出しに行く毎日である。日本でもインボイス制度が始まる中、コストプッシュに抗い、各店がギリギリの競争をしているようで、食料品の買い物をしているとデフレ圧力がまだまだ根っこにあるように感じている。特価品が毎日必ずあるし、特売日のポイント割増制度でも各店が競ってからだ。スーパーには商品も溢れており、その品質も海外生活の長い自分から見て諸外国に比べて高い。現在東京都区外の田舎に住んでいるが、行き交う買い物客から生活苦は感じられないし、近所にホームレスや浮浪者も見ない。とはいっても都心のように富裕層が住む地域ではないが、保育園も多く、子育て世代が住むには武蔵野の大地には自然も残っており、悪くない郊外である。こんなミクロの日常にはこれといった不満はないが、マクロで観ると日本経済の基盤というか屋台骨は腐りかけている。11月初、ドイツ銀行のアナリストが日本円は世界最弱通貨であり、今やトルコリラ、アルゼンチンペソと同類だとし、日銀に対し、さっさと金融緩和政策を止めないと円安に歯止めはかからないと警告した。確かにドル換算では自分の金融資産価値は減価を続けているので、この先海外出稼ぎでドルを稼がないことには中長期的には不味いことになるが、足元は手持ちのドル、ユーロを売ることで円換算上は国内インフレ以上の利益を挙げ、生活費を得ている。また日経平均も上げ基調であり、且つ持株の配当増もあるので自分だけのミクロ経済上は問題はない。一方で日本全体というマクロで見ると令和5年度上半期の経常収支黒字は12.7兆円となり、エネルギー価格の下落で表面的にはマクロでも経済は改善しているものの、問題は、その中身である。円安にもかかわらず、輸出は伸びていないのだ。貿易黒字幅もたったの240億円に過ぎない。日本は海外投資からの上がり、即ち所得収支の黒字で辻褄を合わせているが、キャッシュでどれだけ稼いでいるかを見ると、黒字幅は10分の1に縮小する。海外での儲けは海外に再投資されるか、利益が海外で留保されている。更にはグーグル、アップル等の海外巨大プラットフォーマーへの支払いが増え、半期で4兆円近くになっている。本来、国産でカバーすべき、また出来たはずの分野なのだが、日本はデジタル経済戦争でも完全なる敗戦国となり、今後とも支払いが続くが、一体何で稼いでいくのか、強みが残る漫画やゲームソフト、或いは観光でどれだけ稼げるというのだろうか。ついには豊かな自然の残る土地そのものを売り渡すことにもなりかねない。そして既得富裕層を除く将来世代の日本人には3Kの仕事しか残らず、正に外国人からすれば、別荘地の使用人に落ちぶれるような悪夢も想像されるのである。もう65歳である自分というミクロ経済の見通しは、これから数年再び海外で働けば良いということで立っているが、日本国はどうするのか、現役世代の皆さんの将来世代への責任は重い。岸田さん、そして現与党政権や財務省には任せられないと思うが、日本人全体が覚醒する時間が残されているようにも見えない。といって今だけ、金だけ、自分だけで良いのかという点は自分にとっての課題でもある。


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