この記事は、興津征雄『行政法 I 行政法総論』新世社(2023年)の情報記事です。
本書では、司法試験(平成18年~平成26年)および予備試験(平成23年~令和4年)の短答式試験問題(行政法)について、本文中に参照符号を付し、索引で肢ごとに該当ページを引けるようにしています。
たとえば、以下は、第8章「行政手続」→8.9「行政手続と憲法」→8.9.3「判例」からの抜粋です。
司法試験・予備試験の短答式問題について、直接解説をしているわけではありませんが、それに関連する記述に年度・問題番号・肢記号を記しているので、その前後の記述を読んでいただければ、問題を解く手がかりになります。年度・問題番号・肢記号の参照部分は、索引から引けるようになっています。
上の引用部分で参照されている令和4年予備試験の第14問は、次のような問題です。
アはわりと有名な判示ですが、個人タクシー判決は審査基準の設定のみを求め、公表までは求めていないというのは、見落としがちかもしれません(現在の行政手続法5条は審査基準の設定のみならず公表も求めています)。
イは引っかけ問題ですが、成田新法大法廷判決は告知聴聞についてのみ判示しており、理由提示については判示していません。上記教科書の引用部分の冒頭に、「判例は、適正手続の類型に応じて異なる根拠を援用している」と記したとおりです。
ウは伊方原発判決の中では見落とされがちな判示ですが、上告理由でそのような主張がなされ、最高裁はそれを退けています。
この問題のようにどの判例に関する問題か特定されている場合には、判例集を見たほうが手っ取り早いかもしれませんが、そうでない問題もあるので、その場合には本書をご活用いただければ幸いです。