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興津征雄『行政法I 行政法総論』改訂に向けた情報蓄積

この記事は、興津征雄『行政法 I 行政法総論』新世社(2023年)の情報記事です。
来るべき改訂を見すえて(また第Ⅱ巻の執筆に向けて)、新判例や法令改正・新法令の情報を蓄積していきます。以下に取り上げる判例や法令をすべて改訂版に盛り込むという趣旨ではありません。コメントも暫定的なものにすぎません。改訂・執筆作業の助けとするための、自分のためのメモにすぎません。


法令

官報の発行に関する法律

  • 令和5年12月13日法律第85号

  • 施行日:公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日(令和7年(2025年)6月12日まで)

  • I巻31.2.1(1)(770~771頁)

国税通則法の令和4年改正

  • 所得税法等の一部を改正する法律(令和4年3月31日法律第4号)9条による

  • 施行日:令和6年1月1日(国税通則法65条・66条の改正規定)

  • 内容:帳簿の不記帳・不保存、記載不備の場合の加算税率の加重

  • Ⅰ巻10.3.2(277~278頁)

  • 参考情報:財務省ウェブサイト「国税通則法等の改正」

  • 新旧対照表(新日本法規)

判例

最判令5.1.30令3(受)2050民集77-1-86(発信者情報開示請求訴訟)

  • Ⅰ巻31.3.1(1)(774頁):発信者情報開示請求の対象(電話番号)を追加する省令改正は、経過措置等の規定が置かれなかったことから、改正省令の施行前に流通していた情報についても、適用される。

最判令5.5.9令4(行ヒ)150民集77-4-859(納骨堂経営許可取消訴訟)

  • Ⅰ巻24.1.1(2):墓地埋葬法施行細則(市の規則)

  • Ⅱ巻:取消訴訟の原告適格

最判令5.6.27令4(行ヒ)274(酒気帯び運転教員退職手当支給制限事件)

  • Ⅰ巻16.2.4(2)(413頁以下):公務員に対する処分の例

  • Ⅰ巻16.3.2(2)(c)(431頁):猥褻・ハラスメント・いじめなどのケースと同視できるか?

最判令5.7.11令3(行ヒ)285(性同一性障害公務員トイレ使用制限事件)

  • Ⅰ巻16.3.5(440頁以下):本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、Xの不利益を不当に軽視するものであって、関係者の公平ならびにXを含む職員の能率の発揮および増進の見地から判断しなかったものとして、著しく妥当性を欠いたものといわざるをえない。

  • Ⅱ巻:人事院の判定(国家公務員法86条)

最判令5.9.4令5(行ヒ)143(辺野古・埋立変更不承認に対する是正の指示取消訴訟)

最判令5.9.12令4(行ツ)144(国会臨時会不召集違憲訴訟)

  • Ⅱ巻:確認の利益、国家賠償法上の保護法益

東京高判令5.10.5令4(行コ)198(セックスワーカー持続化給付金訴訟)

仙台高判令5.10.25令5(ネ)181(旧優生保護法違憲国賠訴訟)

最判令5.10.26令4(行ヒ)296(刑事施設診療情報不開示国賠訴訟)

  • Ⅱ巻:国賠法上の違法性

  • 本件決定当時、東京矯正管区長が立脚した被収容者診療情報が行政機関個人情報保護法45条1項所定の保有個人情報に当たるとの見解に相当の根拠がなかったとはいえず、同管区長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と判断したと認めうるような事情があるとはいえない。

東京高判令5.11.2令4(行コ)294(日米同性カップル在留資格訴訟)

最判令5.11.6令4(行ヒ)228(みずほ銀行法人税更正処分等取消訴訟)

  • Ⅰ巻23.3.5(548頁以下):命令制定権者の専門技術的裁量を理由とする委任

  • 具体的事実関係のもとにおいて本件規定(委任を受けて定められた政令の規定)を適用することが本件委任規定の委任の範囲を逸脱するか(「前記事実関係等の下において剰余金の配当等に係る個別具体的な状況を問題とすることなく本件規定を適用することによって、本件委任規定において予定されていないような事態が生ずるとはいえない」)→委任命令の「適用」の根拠法適合性の審査?

  • タックスヘイブン対策税制

最判令5.11.17令4(行ヒ)234(映画「宮本から君へ」助成金不交付決定取消訴訟)

名古屋高判令5.11.30令2(行コ)31(生活保護基準改定名古屋訴訟)

最判令5.12.15令4(行ツ)275(年金減額改定違憲訴訟)

  • Ⅰ巻31.3.1(774頁以下):経過措置の特例は憲法25条および29条に違反しない。

福岡高那覇支判令5.12.20令5(行ケ)5(辺野古埋立地用途変更・設計概要変更承認代執行訴訟)

  • Ⅰ巻32.5.4(803~804頁)

最判令6.3.26令4(行ツ)318(犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件)

  • 犯罪被害者と同性の者は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当し得る

最判令6.5.7令5(行ツ)334(法人税青色申告承認取消処分取消請求事件)

  • 法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反しない(宇賀克也反対意見あり)

  • Ⅰ巻8.9.3(213~215頁)

最判令6.7.4令和5(行ヒ)108(あんしん財団事件)

  • メリット制の適用を受ける事業主は、労災保険給付支給処分の取消訴訟の原告適格を有しないが、労働保険料認定処分の取消訴訟において支給要件の客観的不充足を主張することができる。

  • Ⅰ巻26.4.4(606~607頁)


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