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GRを着替えたら

オンラインで話しましたが、反響があったので簡単にまとめておきます。

まずイメージコントロールを、いったんフォントのようなものだと考えるところから。
イメージコントロールをスタイルだと考えることもできますが、バルトが提案したようにルックなんて見た目であって着替えるように交換可能で、それによって内面に影響を与えることもあるけれど、本当のスタイルとは生きてきた年月や興味によって形成されたものだと思います。今回はとくに、それくらい気軽に考えることで楽しみが増えますよという提案です。

内容はどれも同じだけれど、受ける印象はまるで変わりますよね。

右下のFUTURAはルイ・ヴィトンのロゴにもなっていて権威的に見えるし、左下のCopperplateだとディーン&デルーカが使っていることから写真を頑張って撮っているとチョコレート(それもオーガニックなもの)をご褒美にくれそう。

GRIIIはこのイメージコントロールを軸にして、カメラの設定を丸ごとユーザー登録することができます。家族三人でまるっきり違う設定を入れておいて、お父さんはモノクロのスナップが好きだからハイコントラスト白黒でパンフォーカス、お母さんはスイーツをインスタにアップするため画像は軽くスクエア、娘さんはマクロで花を撮るのが好きだけれど露出やWBはみんなカメラ任せ、といったふうに使い分けることも可能。
ぼくの場合、GRIIIxのU1には"Minimalist"と名付けて、クロスプロセス/スクエア/プログラムAE/高感度/WB:auto、といったふうにタフで素早く撮れる設定にしてあります。
ドラクエでいえば、すばやさはダントツ。かいしんのいちげきは少ないけど。

コントラスト高めでスクエアなのでミニマル向き、インスタもいけるのでは。


季節によって、撮影地によって、あるいは自分の変化によって、これを作り変えるのが楽しいです。
GRIIIxも発売されて時間が経ったため、U3を自転車用にしてみました。
自転車に乗ることをRIDEと呼び、イギリスの大好きなバンドがいるので、代表作のアルバムから"NOWHERE"と名付けています。

このフォントだと三回に一回は間違えそう

ちなみにこれはそのアルバムの中で最も有名な曲。
配信では音源が使えなかったので、ぜひ。


設定の数値を紹介してもいいのですが、露出値などは撮り方によって違うため、変なバイアスがかかってしまうのは良くないのと、試行錯誤していくときにカメラやイメージコントロールについて理解が深まって楽しいので、ぜひ自分の好みを見つけてもらいたいです。

どんなふうにトーンを調整していくか、例を。

まずこのシチュエーション

自転車に乗っていて見つけたものをメモ感覚でぱちぱち撮っていくため、雨よりは晴れを想定して、片手で撮れるよう設定は甘めに。季節の移り変わりや時間帯による変化を残したいので、WBは日中光を基本にしています。


ギアチェンジ

おっ、と思う出会いがあったら、ギアチェンジ。
露出補正を2/3から1くらいアンダーにすると、ハイライトだけが際立つようになっていて、本格的な作品づくりにシフトできます。

自転車に乗る心理をカバーしてくれる

GRIIIxはメニューや設定に関してGRIIIを踏襲していますが、換算とはいえ40mmともなればボケもあるし、自転車に乗って息が上がっていると普段と同じようには撮れません。移動のあいだにさっとカメラを取り出したとき、慌ててシャッターを切ることもある。
そこで「もし失敗するとしても、気持ちいいほうに失敗するように」設定を追い込んであります。フォーカスが抜けるとしたら? 露出補正が使えなかったら? といったところです。

けっこういい感じに仕上がりました。



ここでGRに注文があります。
いまイメージコントロールごとに「キーは+1、彩度は-1・・・」といったふうに違いが見えるようになっていますが、それぞれのイメージコントロールのデフォルトは全部ゼロにしてあるほうが扱いやすいし、好みのトーンを作ったときでも戻しやすいと思います。そもそもクロスプロセスのマイナス1とポジフィルム調のマイナス1を並べて考えるわけにはいかないから。
キーだけでいいから1/3で設定できたらベスト。アンダー気味が好きだからいつもマイナス1/3にしてあるというような人もいますよね。


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