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台湾総統選と立法委員選挙の振り返り


頼副総統の当選で親米路線は確立

今回の台湾総統選では両岸関係が重点とされ、
3者とも現状維持という話でした。

台湾は外交を結んでいる国はわずかであり、
多くの国々は中国とのパイプがあります。

しかしTSMCをはじめ、世界でも強いスタートアップが
台湾の地域に現れていることで、
一つの中国の原則は守りつつも、地域間の関係は
必要との認識、これが今日に至る現状維持です。

その台湾総統選挙では与党・民進党の頼 清徳氏が得票率4割で
総統選挙に勝利しました。

13日に投票が行われた台湾の総統選挙で、与党・民進党の頼清徳氏が550万票を超える票を獲得し、野党の2人の候補者を破って当選しました。台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担うことになります。

引用;NHKニュース 1月14日 台湾総統選 民進党・頼清徳氏が当選 立法院は過半数維持できず

頼氏は蔡英文政権の副総統として知られ、
安倍元総理の葬儀にも出席された人です。

今後、蔡英文政権と同じ路線に近い
政権になると思われますが、
民進党の議会での過半数割れは
同時に痛い事態でしょう。

総統選挙を振り返って

今回の総統選挙、まず民進党の政権不満は
確実に表れていたとも言えます。

現に中国共産党のナンバー4の王滬寧氏が
国民党副代表と会談し、融和姿勢を打ち出しました。

 10日、政協のトップに就任した王氏は1995年から共産党の中央政策研究室に幹部として勤務し、江沢民氏、胡錦涛氏、習近平氏の3代にわたって政策ブレーンとして仕えています。

 王氏は先月、台湾最大野党・国民党の副主席とも会談していて、来年の台湾総統選を前に、台湾統一に向けた活動にも関与していくとみられます。

引用;朝日新聞 2023年3月10日 中国 政協トップに王滬寧氏 「台湾統一戦線工作」も担当か

ただ一方で苦戦したのは不満に反映する野党の
票が一本化できない点です。

両岸関係の融和を打ち出す侯友宜候補の国民党は
李登輝時代までの組織力や馬英九前総統といった
総統経験者がいるものの、安全保障面での課題があった
かと思います。

また第三党の民衆党は少数政党ですが、
二大政党制の不満を持ち、
馬英九前総統が提案した一本化は
事実上、組織力もある国民党の一部となれと
受け入れるようなものです。

その結果、野党が一本化しませんでしたが、
国民党は善戦したかと伺える結果も出ています。

まず融和路線の国民党は当然、中国と地理的に近い
金門県連江県を約6割近くの票数を取り、
首都の台北市も民進党とわずか639票など
接戦まで追い込むことには成功しました。

民進党の土俵に滑り込み、確実にものにしたことは
なかなかすごいと感じます。

ただ台湾の地方部の数多くを国民党は制することが出来たものの、
候補者一本化できず、野党票が分散し、
大都市部のほぼ全ては民進党の勝利に終わりました。

民進党に至っては台南市以外、過半数を取っていないなど
やはり政権不満票も一定数表れていたともいえます。

しかし議会は国民党単独過半数を許さず

しかし議会で驚いたのは国民党と民進党の差が
わずか1議席だということです。

今回の選挙では民進党の過半数割れは前回選挙の票数から
見ても、台湾の地方選から見ても、可能性高いとは
考えていました。

ただ結果は国民党がわずか1議席だけ民進党を上回る結果で
終わり、支持が広がらなかったのです。

【民進党→国民党】 全113議席中
台北4区、新北7区、新北8区、新北12区、
桃園1区、桃園2区、桃園6区、台中2区、台中4区
台中5区、台中6区、基隆選挙区、南投2区、雲林1区、台東選挙区

このように都市圏が11選挙区もの民進党が制した地盤を
国民党が奪還することができました。

ただ比例区では民進党と国民党は同じ13議席であり、
結局は僅差で国民党が第1党となる結果となりました。

台湾立法委員選挙(過半数57議席)
与党:民進党 51議席(-10)
野党:国民党 52議席(+14)、民衆党 8議席(+3) 無所属:2議席

2024年の台湾総選挙

鍵を握る超党派と中国への姿勢

蔡英文政権と違い、頼政権はおそらく法案や議会でも
強行的な採決に至らず、民衆党や超党派での
議会となり、柔軟に対応することでしょう。

また国民党と中国共産党の交流が進むことで、
議会の第1党を握る国民党が法案に反対し、
民衆党と組めば逆に中国への融和姿勢といった
要素の法案も通過することでしょう。

いずれにせよ両岸関係の行方は目が離せません。

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