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野田元総理が起こしたA級戦争犯罪者の名誉回復とは? 戦争犯罪とともに振り返る


A級戦犯とは?

第二次世界大戦後、日本は連合国のもとで極東国際軍事裁判を経て、多くの戦争指導者たちが裁かれました。この裁判では、いわゆる「A級戦犯」と呼ばれる戦争犯罪人たちが「平和に対する罪」に問われました。この記事では、A級戦犯の背景と、その名誉回復の動きについて詳しく解説します。

A級戦犯の判決

1946年5月から東京で開かれた極東国際軍事裁判で、
東條英機以下28名がA級戦犯として起訴されました。

判決の結果、7名が絞首刑16名が終身禁錮刑2名が有期禁錮刑となりました。

主要なA級戦犯

  • 東條英機: 絞首刑

  • 東郷茂徳: 終身禁錮

  • 嶋田繁太郎: 終身禁錮

  • 岸信介: 終身禁錮

  • 広田弘毅: 絞首刑

当時の先人たちが裁かれたことは、
戦争の責任は取ったと言えます。

戦争の計画遂行に深く関与したとされ、
その責任を問われました。

なおA級戦犯の罪状は以下のものです。

①死刑:板垣 征四郎(陸相) 
罪状は中国侵略・米国に対する平和の罪
②死刑:木村 兵太郎(陸軍次官)
罪状は英国に対する戦争開始の罪
③死刑:土肥原 賢二(奉天特務機関長)
罪状は中国侵略の罪
④死刑:東條 英機(内閣総理大臣)
罪状はハワイの軍港・真珠湾を不法攻撃、米国軍隊と一般人を殺害した罪
⑤死刑:武藤章(第14方面軍参謀長)
罪状は一部捕虜虐待の罪
⑥死刑:松井 石根(中支那方面軍司令官)
罪状はB級戦犯、捕虜及び一般人に対する国際法違反(南京事件)
⑦死刑:広田 弘毅(元内閣総理大臣)
罪状は近衛内閣外相として南京事件での残虐行為を止めなかった不作為の責任

なお昭和天皇は罪に問われず、あくまで軍幹部や指揮官のある内閣総理大臣、
文官の1名が死刑となりました。

名誉回復の動き

第二次世界大戦後、日本は戦後の復興とともに、戦犯とされた人々の名誉回復の動きが進められました。これは、彼らが戦争犯罪人としてだけでなく、日本のために尽力した一面も持っているという認識からです。具体的には、以下のようなステップが取られました。

サンフランシスコ講和条約と国会決議

1951年に締結されたサンフランシスコ講和条約第十一条には、
極東国際軍事裁判の判決を受け入れることが明記されていました。

Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan

出典:サンフランシスコ講和条約第十一条

外務省による日本語訳ですと「極東国際軍事裁判所並びに国内外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判の受諾」を示されました。

しかし、その後の国会決議により、
A級戦犯を含む戦犯全員の名誉が法的に回復される動きが進みました。

衆参合わせて四回に及ぶ国会決議に基づき、これらの戦犯の名誉は回復され、
法的には戦争犯罪人とされることはなくなりました。

元総理の功績

2011年、菅直人総理が辞任したのに伴い、
当時与党の民主党は新たに代表を選出しなければなりませんでした。

その時に勝利したのが野田元総理です。

野田元総理は立憲民主党内でも
保守的な思考を持つ総理経験者であり、かつて
A級戦犯の名誉回復に積極的な立場を取りました。

A級戦犯の名誉回復が日本の戦後の国際関係の改善に寄与するとの考えから、
名誉回復のための具体的な措置を講じました。

靖国神社参拝の論争

A級戦犯の名誉回復とともに、
内閣総理大臣の靖国神社参拝が大きな議論を呼びました。

以下、野田佳彦議員の一部の発言を引用し解説いたします。

___________
十月十七日、小泉総理は靖国神社の社頭参拝を行ったが、これに対して各方面から批判が上がっている。
 内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する理由として挙げられるのが、「A級戦犯」という戦争犯罪人が合祀されている靖国神社に内閣総理大臣が参拝することは、日本が軍国主義を美化するあらわれとなる、という論理である。中国ならびに韓国からも同様の理由で、内閣総理大臣の靖国神社参拝に関して反対が表明されている。

極東国際軍事裁判に言及したサンフランシスコ講和条約第十一条ならびに
それに基づいて行われた衆参合わせ四回に及ぶ国会決議と関係諸国の対応に
よって、A級・B級・C級すべての「戦犯」の名誉は法的に回復されている。
すなわち、「A級戦犯」と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではないのであって
、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に
内閣総理大臣の靖国神社参拝に反対する論理はすでに破綻していると解釈できる。

一 「戦犯」の名誉回復について
 1 極東国際軍事裁判に言及したサンフランシスコ講和条約第十一条において、「これらの拘禁されている者を赦免し、減刑し、及び仮出獄させる権限は、各事件について刑を課した一又は二以上の政府の決定及び日本国の勧告に基づくの外、行使することができない。(続く)極東国際軍事裁判所が刑を宣告した者については、この権限は、裁判所に代表者を出した政府の過半数の決定及び日本国の勧告に基づくの外、行使することはできない」とある。これは、日本国政府が勧告し、さらに刑を課した国ならびに極東国際軍事裁判所の場合は裁判所に代表者を出した政府の過半数が決定すれば、拘禁されているものは赦免、減刑、仮出獄されるという意味に相違ないか。
 2 昭和二十七年五月一日、木村篤太郎法務総裁から戦犯の国内法上の解釈について変更が通達された。これによって戦犯拘禁中の死者はすべて「公務死」として、戦犯逮捕者は「抑留又は逮捕された者」として取り扱われることとなった。さらに「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の一部が改正され、戦犯としての拘留逮捕者を「被拘禁者」として扱い、当該拘禁中に死亡した場合はその遺族に扶助料を支給することとなった。これら解釈の変更ならびに法律改正は、国内法上は「戦犯」は存在しないと政府も国会も認識したからであると解釈できるが、現在の政府の見解はどうか。
 3 昭和二十七年六月九日、参議院本会議において「戦犯在所者の釈放等に関する決議」、同年十二月九日、衆議院本会議において「戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議」がなされ、昭和二十八年八月三日、衆議院本会議においては「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が全会一致で可決され、昭和三十年には「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」がなされた。サンフランシスコ講和条約第十一条の手続きに基づき、関係十一カ国の同意のもと、「A級戦犯」は昭和三十一年に、「BC級戦犯」は昭和三十三年までに赦免され釈放された。刑罰が終了した時点で受刑者の罪は消滅するというのが近代法の理念である。・・・
 4 「A級戦犯」として有罪判決を受け禁固七年とされた重光葵は釈放後、鳩山内閣の副総理・外相となり、国連加盟式典の代表として戦勝国代表から万雷の拍手を受けた。また、それらの功績を認められ勲一等を授与されている。同じく終身刑とされた賀屋興宣は池田内閣の法相を務めている。これらの事実は「戦犯」の名誉が国内的にも国際的にも回復されているからこそ生じたと判断できる。・・・
 5 「A級戦犯」として受刑し、刑期途中で赦免・釈放された重光葵、賀屋興宣らの名誉が回復されているとすれば、同じ「A級戦犯」として死刑判決を受け絞首刑となった東條英機以下七名、終身刑ならびに禁固刑とされ服役中に獄中で死亡した五名、判決前に病のため病院にて死亡した二名もまた名誉を回復しているはずである。・・・
 6 すべての「A級戦犯」の名誉が国内的にも国際的にも回復されているとすれば、東條英機以下十四名の「A級戦犯」を靖国神社が合祀していることにいかなる問題があるのか。また、靖国神社に内閣総理大臣が参拝することにいかなる問題があるか。

___________

この問題が民主党の議員から言われ、本来保守である
自民党の総理が答弁する異例の事態でした。

今思うとその言葉につきます。

しかし残念ながら内閣総理大臣の靖国参拝には
現在もまだ反対の声が強いこと深刻な懸念ですね。

靖国参拝=戦争の美化という
認識は過去のものであって欲しいと願います。

ただこれは日本国の主張であって、
周辺国からの反発も当然あるため、
その部分の議論や相手国の立場をくみして
外交が行われることを祈ります。

法的見解と社会的誤解

極東国際軍事裁判の判決に基づき、
日本国内外でのA級戦犯に対する認識は複雑なものとなっています。

サンフランシスコ講和条約とその後の国会決議によって名誉回復が
法的に認められたにもかかわらず、社会的には「戦争犯罪人」としての
レッテルが残る場合があります。

これは、内閣総理大臣の靖国神社参拝に対する批判や議論の根底にあります。

靖国神社とは日本の過去の英雄を祀る神社です。

そのため第二次世界大戦に関係するA級戦犯が
祀られていることは、一部の左翼や中国、韓国は
参拝すること自体、美化されています。

【戦犯それぞれの罪状】
A級戦犯:平和に対する罪
B級戦犯:通例の戦争犯罪
C級戦犯:人道に対する罪

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