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jump&climb 1日目

9月初旬のカリフォルニアの空の下Bishopに着いたのは午後8時近く。家を出発してから約25時間の1日がようやく終わろうとしている。
Bishop Village MotelでVonsのレトルトスープとサラダ&チキンの夕食をとる。
明日はクライミング。興奮と緊張が渦巻いている。
ここは標高約4,000ft(1,200m)。
結構寒い。疲れと気温のおかげで熟睡できた。

初日の宿

翌日Wilson’s Eastside Sports でPrAnaのTシャツ やパンツを購入し
Owens River Gorgeへ。
何も無い道を14milesほど走り、地図を頼りに荒野の中へ。
目指すはアプローチが一番易しいUpper Gorge。

映画で見たような荒野をひた走る

Gorge Rd.を走り、手前にあるアプローチを横目に見ながらUpper Gorgeのゲートへ。ゲート前には3台ほど車が止まっていた。ここからUpper Gorge Approachまで0.2milesほどを歩く。ここは、グランドキャニオンの小型版のような渓谷である。谷底に降りると両壁には無数のルートがあるのだが、まずは谷底に降りなければならない。ところが、クライミング出来るだけあってかなり険しく、アプローチで多くの命が飲み込まれている。
一番易しいアプローチUpper Gorgeに来たものの、足元はおぼつかないザレ場の急斜面で、油断すると砂利ごと底まで滑落となる。Gorge(ゴージ)峡谷は、落とす岩には事欠かない。ロープを使って懸垂下降できる場所でもなく、一番の核心部かもしれない。今日までの緊張の多くをこのアプローチが占めていた。大概は活字から想像する状況と現地で見た印象はだいぶ違い想像より楽なことが多いのだが、今回はトポ(クライミング用の地図)にあるように確かにアプローチには注意が必要だと感じた。

気温は上がっている。乾燥しているのが救いだ。
この時間は壁の片面は日陰になっていて、乾燥していることもあり、かなり快適な気温だ。ここは標高5,000ft(約1,500m)。
All You Can Eat Cliff(ルートの名前)は全面日陰。昼間は暑いから午前中早目か夕方になってからやって来るのがここの登り方のようだ。ここの岩は凝灰岩、甲府幕岩と同じ種類だけれど、スケールの違いか同じものとは思えない。ここはシェラネバダの懐、見るもの全てが計り知れない大きさだ。

Owens River Gorge
All You Can Eat Cliff

一日中クライミングに興じているうちに谷間はすっかり日影だけになった。目視できる人影は一組が壁に張り付いているだけだ。彼らが連れてきた犬が相手にされずビレイをしている私の足元で伏せている。
こんなのどかで静かな時間が好きだ。

帰り際に川まで降り、冷たい水で顔を洗いスッキリした気分で帰路へついた。
Gorge(ゴージ)峡谷は、落とす岩には事欠かない。
峡谷の上に着くと谷はもう影に覆われている。
日はだいぶ傾いているが空は紺碧の色を輝かせている。
空の色は飛行機から見る色と同じく紺碧で、雲はなく空気は澄みきっている。
とても気持ちの良い時間が過ぎていく。
シャッターの音だけが響いている。
人が苦手な自分にとって至福の時間である。
車に戻ると大きく深呼吸をした。

陽が傾き谷は影で覆われている

緊張が解き放たれていく。
趣味を楽しんでいるだけなのに、日常生活ではこれほどの緊張を強いられることはは少ない。scubadiving、skydiving、rockclimbing なぜか緊張感あふれる趣味を選ぶ傾向があるらしい。アドレナリンジャンキーと揶揄される所以だろう。

海の中では、常に高い圧力と潮の流れや限られた空気への緊張感と共にある。マスク越しの水中の景色は、時としてテレビの画面越しのそれに感じる。
空の中では、逆に圧力からは解放されるが、風の流れや限られた高度への緊張を共にすることになる。このまま永遠に浮遊していられるような感覚になるのが怖い。
岩場では、大きく高い覆いかぶさるような岩からの圧力、ルートの読み違えや落下への緊張を強いられる。登り切るとパズルを解いたような感覚でもある。
これらは意外に安全に配慮されている。
空気ボンベやパラシュートやザイル。これらのおかげで恐怖心はほとんどないのだが、アドレナリン分泌量は空・岩・水の順である。
クライミングが終わったあとの開放感はジャンプの時とはまた違う感覚だが、ビールが美味しいことに違いはない。

さて、今夜の宿はMammoth Lakes。
Owens River Gorgeから約35miles
ここは高級リゾート地で、通り沿いには高級ブティックも立ち並んでいる。
冬はスキーリゾート、夏は釣りやハイキング、乗馬などで賑わい、またクライミングエリアも多数ある。

日はすっかり落ちてしまった

宿をとり、そして夜は更けていく。
明日はYosemiteだ。


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