”私は冨永愛。深夜にラーメンなんて食べないわ”。このナリキリ戦法は執筆でも使える。

私はダイエット中、よく冨永愛になりきります。

とにかく食べるのが好きだから、食事制限していると急に間食したくなったり深夜にバカ食いしたくなるです。

そこで登場するのが冨永愛。

「私は冨永愛。世界のランウェイが待っている」と思い込む。そうするとさっきまでコンビニでサッポロ一番塩ラーメンなんぞ食べようとしていたのにエビアンだけ手にして店を出ることに成功したりします。なんなら歩き方すら変わってくるのです。

この手法はなかなか使えるもので、記事を書く時にも応用しています。

以前、デカ盛りグルメ本やラーメン本の取材依頼が大量に来たことがあります。懇意にしている版元でもあったし私自身結構大食いだったので、まあ頑張れるかなと思って引き受けました。

でも私、女子力低めだけど一応女なので、デカ盛りとかラーメンとか正直そこまで興味強くないというか、詳しくないわけです。「私が書くより男性ライターが書いた方が迫力出るよね」。そんな負け言葉が頭をよぎりました。

でも引き受けといてそんな負け腰ではいかん。女だけど男視点で書いて、せめて及第点は取らなきゃならん。ということでこの”ナリキリ”戦法が大活躍。

例えば背脂チャッチャ系の家系太麺ラーメン記事の時。

「私は彦摩呂。お口の中が宝石箱や〜!!」

と目を閉じて瞑想。

彦摩呂になりきるまで「うーん、うーん」とぐずぐずしていたのに、なりきった途端スラスラと出てくるわ出てくるわ「〜の宝石箱」さながらのグルメなワードが(たぶん)。そして座り方まで彦摩呂風に変わってくるから不思議です。

お次の例はデカ盛りの丼物。

「私はジャイアント白田。確かにデカ盛りだが15杯はいけるな」

とジャイアント白田以上にジャイアント白田になりきり、めちゃハングリーな男目線の記事が書けました(つもり)。

あれから10年経った今でも、このナリキリ戦法はよく応用しています。私のようなタイプには非常におすすめ。

余談になりますがこのグルメ本の一連、一日の取材撮影スケジュールは早くて10時から遅くて18時という時間帯で4件回りました。カメラマンと分け合って食べればなんとか4食ラーメン・丼いけるだろうと思ったけど、ラーメン屋の店長は大抵フレンドリーで太っ腹。「撮影したものをいただきます!」 と事前に伝えていても「冷めてるから新しく作ってやるよ!」とか「カメラマンさんも食ってけよ!」とかになったりするのです。これは想定外だった。だから、いつもなら冷たい店長さんだったりするとムカついたりするんだけど、その仕事ではムカつくどころか「ここの店長は新しいラーメン作ってくれるような優しい人じゃない!ラッキー!!」と、心の中で万歳三唱したものです。

とはいえ、おいしいラーメンや丼ばかりだったので、一軒目は正直めちゃ嬉しかったし心から美味しいと思えました。二軒目は美味しいけどちょっと苦しかった。三件目では新たなラーメンを用意された時には本当に意識が遠のいた(食べたけど)。四軒目は正直に満腹であることを白状してその後はカメラマン(男)にすべてを託した。「せっかくのご親切をお断りするなんて非常識だがリバースするよりはマシだろう!」 という究極の選択です。そうして、落ちた物を拾えないくらいに満腹になりのけぞりながら帰りました。

しかし総じて良い経験になりました。手法が一つ増えたということで。そして、人間、やはり机上の空論よりも場数だな! と再確認もできましたし。(※胃袋には”ナリキリ”先方は使えなかった。体はだませない)。

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