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毛糸探しの旅に出る

今日も今日とて容赦ない暑さですね。
萎えます。
こたえます…
エアコンをつけていても、連続して染色していると我が家の構造上、キッチンだけ温度が上がります。
しかも、染めているのがソリッドなら時間も体力も使います(って、腕だけだけど)。
本当なら、次のショップアップデートに向けて染めなければならないのですが、ここのところ体調が低調でイマイチ染めにチカラが入りません。

その代わりと言ってはナンですが、新しい毛糸を探してネットの奥深くまで潜行しています。
この毛糸探しの旅、とても面白いです。
私なりの旅のしかたはあるのですが、それで良さげな毛糸が見つかったとします。
そうしたら、そこのサイトを確認して卸売りをしているか、あるいはしてくれるか、価格は?そして日本に送ってもらえるか、支払方法は?クーリエ(国際配送会社、業者)は?代金は?
とたくさんの「ハテナ」を付けた英文メールを送る場合もあります。
まぁ、卸売りのネットショップがあればハナシは簡単ですが。

一応ダイヤー(dyer)なので、未染色の糸を染めて販売するのが本分なのですが、それ以外の毛糸(紡毛、梳毛含めて)そのものも、販売することもあります。
というか、始めています。
日本で育った羊の毛糸も販売したいところですが、なかなか難しい。
というのは、日本で飼育されている羊の多くはサフォーク種といって、肉用(ジンギスカーン!!)で毛糸には向かないのです。
よく国産のコリデール種の毛糸を見かけますが、コリデールは肉・毛用の羊です。
そして、毛糸用としてメリノ種がありますが、残念ながら日本の風土には合わないのですねぇ…湿気が…
なので、ほとんど飼育されていないのが現状です。

ちょっと話がそれましたが、そういう事情で梳毛糸としては(毛糸には紡毛糸と梳毛糸というのがありまして…これはまた、いつか)海外からの輸入となるわけです。
少し前に当ショップでは、BFL/MashamやWensleydaleなど、英国の羊の毛糸を販売しました。
この時は、あまり多くは販売しませんでした。
というのも、日本では肌触りに重きが置かれているので(個人的意見です)、英国原産のなんというかカサっとした紡毛糸に近いテクスチャは好まれないのではないかと思ったからです。
実際、ナイロン混でもウールはエクストラファインの19.5ミクロンだとウェアに編んでもチクっとしないのですね。
その代わり、スーパーウォッシュ加工をしていますので、保温効果についてはノンスーパーウォッシュに比べると落ちますよ、ということです。
(実際、北海道に暮らしているとその差は大きく感じますので、毛足がある、あるいは長い方が当然暖かいですよね)
ちなみに、当ショップの75/25ソックヤーンのウールは21ミクロンで、26~27ミクロンのものが多い中、けっこう滑らかではあります。

さて英国にはなんというか、自分ちで飼っている羊を自分ちの紡績工場で糸にして卸売りしてる、あるいは飼っている羊のフリースを紡績工場に持ち込んで糸にして販売、という形もあります。
もちろん、フリースを買い上げる場合もありますが。
なんといっても、manufacture=工場制手工業の始まりは、英国の毛織物ですから、その分野では抜きん出ているわけです。
家族経営の小さな紡績工場もけっこうあります。
アメリカにもそういうミル(=mill=工場)はありますが、やはり英国の方が多いと思いますし、羊の種類も豊富かと思われます。

そんな歴史的な背景や、地域的な特徴も調べつつ毛糸を探す旅をするのは、とても楽しいものです。
時間かかるけど。
羊を探しているのに、そこにある小さなお城の歴史のことをウィキで読んでいた、なんてしょっちゅうです。
なんにせよ、私の場合は
「今、編んでいるセーターは、英国のどこどこの、この種類の羊の毛糸なのー」なんてことを知っていると、愛着もさらに沸く、ということなのです。
単純か!

札幌にも「羊ケ丘」なる、羊が草食べてる横で人間がジンギスカンを食べるという、なんとも「・・・」な観光スポットがありまして、そこではかのクラーク博士が「Boys be ambitious」と言って遥か彼方の永遠を指さしていますが、私も遥か彼方、英国へ毛糸探しの旅へ行って参ります。
ネットだけど…








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