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検索魔になるとき

初めて唇を火傷した。
おいしいものはすぐに食べないと気が済まないため、熱いとわかっていても、ハフハフしながら食べ、案の定、口の中が火傷して、皮がベロンチョになるということはよくある。

しかし、今回は唇の上。
火傷の理由もかなりあきれるもので、仕事の打ち合わせでいろいろ下見したあと、流れで、たこ焼きを食べることになった。焼き立てという感じでもなかっため、腹が減ってふらふらしていたのも手伝って、一口でぱっくりいってしまった。ハフハフ言えるぐらいならまだよかった。大阪のたこ焼きらしい、中のとろんとろんの生地が想像以上に熱くというか、もう熱湯レベル。一人で食べていたら間違いなく、すみませんしながらお皿に一度出してしまいたくなる熱さだったのに、この日はそれができない。打ち合わせのメンバーがおやじばかりであれば、すんませんして出したものの、運悪く、目の前にスリムイケメンが、
「おれ、猫舌だから、ちょっと待ってから食べますね~」
なんて涼しい顔して、こっちを見てる。

そんなかわいらしい目で見つめられたら、出せないじゃないか!!!!
初対面の女が、いきなり、熱い熱い言いながら、たこ焼きをペッて出したら、
「なんだよ、このおばちゃん、きったね~」
とか思われるんじゃないかと、びくびくして、出せなかったのだ。

今更、かっこつけたからといって、恋愛関係にならないし、たこ焼き出したぐらいで仕事ほされるわけでもないし、こんな水膨れになるくらいなら、きったね~と思われても出せばよかった。と後悔の嵐。というのも、これだけの大きさ、唇の違和感は言わずもがな、それよりも気になるのが、常に泡ふいてしゃべっているように見える不潔感。

こうなると、すぐに直したい、どうしたらいい?グーグル先生お願いします!ということで、検索魔と化すのだ。

いろいろ調べていくと・・・
放置すると化膿する、水膨れをつぶすと治りが遅い、軽度であれば1週間で治るけれど、皮膚組織までいっていると1か月かかる、乾燥がよくないから保湿クリームをぬるなどなど、いろんな結果が出た。
病院に行くのが早そうだけれども、一応、保湿クリームも調べてみるか!

検索して、複数のクリームが候補にあがる

どれがいいか一つずつ口コミ読む

これに決めた!と思いきや、ネガティブコメント見つける

また検索に戻る

と保湿クリーム一つ、なかなか決まらない。
口コミって千差万別だから、全部を信じなくてもいいとわかってはいるものの、一つでもネガティブがあると、「これって当てはまるかも?」と思ってしまうのだ。

ひとまず病院に行きたくとも、平日の診療時間に行けない、クリーム塗って様子を見たい、でも悪化したらどうしよう?と負のループがぐるぐる回って、1日放置した次の日の朝。

あれ?なんとなく固くなってきた?見た目も白くない!
様子見ること2日目朝。
あれ?皮が取れそう?いやいや、こういうのは自力でとったらまた、ベロンとなるから我慢。様子見ること3日目の朝。
あれ?治ってる?

と今回の唇火傷事件は、拍子抜けするくらいにあっちゅうまに治ってしまった。
この大きさの水膨れが3日で治るなんて・・・

は!あ、あたしって、まだ若いんじゃ?若いと傷の治りも早いっていうしね~とニタニタ。

とまあ、今回は、検索魔2日くらいで終わったかなり軽い事例だったが、10年くらい前に、突然、肌荒れを起こしたときは1年くらい検索魔に取りつかれていた。

恐怖の肌荒れ事件

小さい時から、比較的肌は強く、さらにツルスベ肌、基礎化粧品は何を使っても荒れないという、本当に恵まれた肌質で、「母さん、すばらしい肌に産んでくれてありがとう!」と言いたいくらいであった。

そんな肌の悩みとは無縁の生活を送っていた20代最後の年。今思えば、アメリカに2週間くらい行ったとき、クレンジングシートがはやり始め、これ、旅行にいいじゃん!と購入し、毎日、ゴシゴシ化粧を落としていたのが原因だと思う。ゴシゴシこすらなくても、するっとなでるだけでいいはずなのに、なんとなくゴシゴシやらないと取れてないと思ってたんでしょうね・・・

帰国前くらいから、ちょっとヒリヒリしてきて、赤みも出てきた。
が、これは日焼けだろうと気にもせずに帰国し、数日過ごしていると、なんだか赤みがどんどんひどくなる。さすがにみんなに
「どうしたの?赤いし、かさかさじゃん」
と突っ込まれ、鏡の中の自分を見るのもつらくなってきた。

気にせず、いつもの化粧品を使っていたのだが、友人から
「肌敏感になってるようだから、化粧品変えてみたら?」
という一言で、検索開始。

敏感肌の化粧品を検索して、よさげなものを注文。

商品届いて、使ってみる

やっぱりあわずに断念

再度検索して、商品購入

届いて使ってみるも、やはりあわず。

を繰り返し、気づけば給料の半分を化粧品に費やしていた。
しかも、よくなるどころかどんどん悪化していき、ついには目があかなくなるほど顔がパンパンに腫れるという事態に。

ここまでで半年経過。ここでようやっと皮膚科という選択肢にたどりつく。

すると、
「なんで、こんなになるまで病院に来なかったの?ひとまずこれを1週間ぬったら治るから、しっかり塗って治しなさい」

と1本のクリームをもらった。

これが、まあすごい魔法のクリームで先生が言ったとおり、1週間で元のきれいな肌に元通り。
なんだったんだ、あたしの半年は!

と一気に、やる気を出し、化粧も開始していいということになり、やっと下を向いて歩く生活から解放!と思いきや、1週間たったころから、また赤みがムクムク。

あれ?なんじゃこりゃ?と思い、病院に行くと

「もうちょっと、こないだのクリーム塗ってみようか。」

と言われ、1週間塗って、治る。が、またムクムクと赤みが出てくる。

なんでだ?この薬は一体?!と検索してみると、ステロイドいうものだった。ネットで読んでみると、なんだか恐ろしい。一度使ったら手放せないとか、悪魔の薬とか・・・

ギャーーーーーーということは、この薬がないとあたし、もう元の肌に戻らないのか!!!!と怖くなり、病院にいくと

「よくそういうこと書いていますけど、あなたの場合はかなりひどかったからクリームを使って、一度直さないと難しかったんですよ。医師の指示通り使えば問題ないんです」

ということらしい。
結局、3回これを繰り返し、や、やっぱりこのクリーム、やばいんじゃないか?と先生のいうことも聞かずに、検索魔登場!

脱ステロイドなんてのを見つけては、試していった。脱というほど使ってないくせに、もうステロイドが悪魔の薬のように感じていたため、こんな薬に頼らずとも治してやる!とよくわからない闘争心に燃えていた。

最後にたどり着いたのは、どっかの深層水?
この水を毎日スプレーで化粧水がわりにつけるだけで、自然治癒力で回復!
なんだそうだ。
水なのにバカ高く、平常心であれば、絶対に買わない値段なのに、こういうときっておかしくなってるんでしょうね。
キャッチコピーだけで、このバカ高いお水を半年分お買い上げ~。

最初は、抗体反応とかで悪化するが、するするよくなりますという言葉を信じて、水だけ生活スタート。

水だけだから、肌はカピカピ、乾燥するもんだからお顔真っ赤という状態になるものの、

この水を毎日スプレーで化粧水がわりにつけるだけで、自然治癒力で回復!

のキャッチコピーを信じ続け3か月。

治ったのだ。あのときは、深層水のおかげ!と思い、サイトに口コミまで掲載して、このお水に心酔しかけたが、今思うと、いろんな化粧品に浮気せずに、水だけでデトックスしたのがよかったんじゃないかと。

そのあとはというと、敏感肌用でなくても普通に使えるようになり、しかも、水だけでデトックスしたのがよかったのか、保湿クリームを塗るとものすごい美肌に!

1年かけて、悪化したり治ったりして、皮がぼろぼろむけたせいか、ピーリング効果もあったのか・・・

肌荒れをしていた1年は、家と会社の往復で、暇さえあれば、肌にいい化粧品を検索して、片っ端から買いまくっていた日々。給料のほとんどを体にいいもの、肌にいいものに費やし、財布のひもはゆるゆる。こういうときって、湯水のごとくお金使ってしまうんですよね。怖い。

今は何か不安なことがあるとすぐ検索して、いろいろ回答が得られるけれども、それが正しいかどうかわからない。しかも、自分に当てはまるのかもわからない。けれども、検索してしまう。これってなかなかやめられない。検索できて便利だけれども、情報多いってなんか疲れる。疲れるけど、情報を追いかけるはこれからもやめられないだろうな。

ちなみに、肌荒れが治ったきっかけとなった深層水?はあれから一度も使っていない。あれだけ、お世話になったものの、どこのメーカーだったのかまったく思い出せない。今、検索しても出てこない・・・ということは、やっぱり普通の水だったのか?

結局は、医者にしろ、薬にしろ、信じるか信じないかなんだよな。肌荒れは病気ではないけれども。

#はまったこと

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