楽土にいたりたくて
あさきゆめみしで源氏物語のファンになったという人は多いはず。
しかも、大河ドラマというと戦国時代や幕末が多く、平安時代を取り上げるのはまれ。しかも、紫式部が主人公とは!ということで、決定したときから2024年度が待ち遠しかった。
とか言っておいて、ものすごいファンなのかといえば、さほどでもなく、ゆかりの地といえば、たまたま宇治にいったときに句碑をみつけて
「そういえば宇治十帖」の舞台か・・・」
と思ったくらいだ。
ただ、大河ドラマの1話をみて、自分の中では、がぜん盛り上がりをみせてきた「光る君へ」。なんだけど、世間では低視聴率?なんで?戦国時代か幕末じゃないとみんな盛り上がらないのか?平清盛も歴代ワースト1とかいわれているが、個人的に超絶おもしろかった。家康とか秀吉あたりの人物相関図はみんな頭に入っているから見やすいのか?水戸黄門が安定的に最後ハッピーになる安心感と似ている感覚?!
と、いつのまにやら話がずれてしまったが、滋賀県の三井寺近くに用事があったのでまずは三井寺に出向いてみた。
ちなみに、某財閥とはなんの関係もなく読み方も「みいでら」なのでご注意を。私は普通に某財閥と同じ読み方をしていた大バカ者である。
三井寺の歴史は古く、天智、天武天皇の勅願により建立。この時代を生きた女性天皇・持統天皇の物語といえば「天上の虹」。
いとこ、兄弟などなど、普通に近親婚が描かれていて、中学時代のうぶなわたしは「えええ?いいの?」なんて興奮して読んだ漫画だ。
天上の虹のおかげでこの時代の歴史は完璧だった。里中先生ありがとう!
で、紫式部とはなんのゆかりがあるかといえば、叔父の康延と異母兄弟の定暹は、三井寺の僧侶。そして、今、ドラマで絶賛、まひろの気になる存在としてドキドキしている藤原道長からの信仰も厚く、道長が奉納した弥勒菩薩が秘仏として伝わっている。
そんな関係から「紫式部関係文書特別展」も開催中。
三井寺にいったらぜひとも見ておきたい、ひと撞きしたいと思っていたのが「三井の晩鐘」。ゆく年くる年の除夜の鐘をテレビで聞いてから一度は本物を聞いてみたいと思っていた。
それもそのはず。昔から音の三井寺と称され、形の平等院、銘の神護寺とともに「日本三名鐘」に数えられている。さらに「日本の残したい音風景百選」にも選ばれている鐘なのだ。
誰か鳴らしてないかな~と思うも人っ子一人いない。
聞きたい・・・でも中に入れない。
と鐘の周りをぐるぐる回っていると、当たり前なのだが冥加料としてひと撞き800円の看板発見。
冥加金というのは、自分で意識してなくても、いつのまにやら神のご加護を受けていて、それに対し自発的に支払うお金のことだ。自発的に払うのはちょっと・・・と思うなら払わなくてもいいのかもしれないが、けちって不運なことでもあったらな・・・と心配してしまうのが日本人。
なんて書かれると、やはり聞きたくなる。
楽土にいたりたい・・・
年始からなんやら心配事が多くて困っている。
楽な土地=心配や苦労がない場所、いわゆる楽園にいたれるとなると、死後の世界?!、いやいやいや、まだ連れて行ってくれるな!とぶるんぶるんと頭をふる。
ぐるぐる回ったり、ぶるぶると頭を振ったり、相当挙動不審者が気になったのか、横にあるショップの中からおばちゃんが出て来た。
「せっかくだから撞きなされ」
と扉をあけてくれた。相当、撞くか撞かぬか迷っていると思われたのかもしれない。
「かなり重いから、い~ち、に~、さ~ん!で勢いよく撞きなさいね」
とのお言葉。
最初は、ゆるやかに、2回目はややひき、三回目で勢いよく、撞いた。
ブボォォォォォォォ~~~~~~~~~ン
撞いた瞬間は重々しく、だんだん頭の奥底にじわりじわりと響いてきて、最後はふ~っとどこかに魂がぬけちゃうような引っ張られちゃうような余韻。
2分くらい余韻が続いた。
なんだか音の余韻が心地よくて、楽土にいたったような気がする。そう思うだけで十分だ。
神のご加護をたっぷり受けたので、冥加料を支払いに売店へ。
お寺に必ずあるお守りがずらり。一年を通してありとあらゆる寺社仏閣を訪れるから、いつもはスルーするのだが「水琴」という文字にひかれつい手にとってしまった。
手に取ってゆらゆらしてみると、金の砂がサラサラと風に流されるとこんな音じゃないかというほどの、まさに癒しの音色。
あああ、これはなんだろ。癒される。とかなりしつこくゆらゆらしていたらおばちゃんが
「もう、あんた買いなさいよ」
と言いたげな顔で笑っている。
こうなってくると隣のミニ鐘も気になって手に取る。
ビストロスマップで中居君が
「オーダー、カレーライス」
というときのあの音にそっくり。
これはこれでいい音だし、実家に帰った時に
「オーダー、だまこもち」
とお母さんにリクエストするときに使おうと買ってみた。
3つ購入しリュックにいれて帰ったのだが、小走りするたびに水琴鈴と鐘がじゃらじゃら鳴り、かなりうるさい女と化してしまった。
そしてnoteを書いている今も、ゆらゆら揺らして癒されている。
応援ありがとうございます!いただいたサポートは次回のブータン旅行時、キッズ僧侶たちへ日本のあめちゃんを大量に購入する費用にいたします。