連続小説  母の後悔(2)

 一方古株の「ひげ」と「八われ」猫は裏庭に彼らに猫ハウスを置いているので、丸三年間そのハウスで寝起きし、フードを毎日食べているのでこの庭こそが、彼らの大事なテリトリーになっている。だからよそ猫をやすやすと、このテリトリーには入れさせられない。
 猫というのは自分のテリトリーを死守する動物だ。だからここに見知らぬ猫が侵入すれば壮絶な闘いが繰り広げられる。はじめは、鳴き声で威嚇を始める。すると威嚇されたほうも黙ってはいない。運良く戦いに勝って、相手が退散してくれたら自分のテリトリーになるかもしれないからだ。しかし自分のテリトリーを守るためには負けてはならないので、互いに高い声での「シャー」を発しながらの応戦が始まる。長い時には数時間もの長さで繰り広げるのだ。私は猫の喧嘩には首を出さないことにしているので、終わるまで我関せずという態度を貫く。
 そうこうしているうちに、お互い疲れたのか知らないうちにギャー・ギャーという声が聞こえなくなると,喧嘩が終わったことを意味するのだ。しばらくたつと庭を縄張りにしている「ひげ猫」が帰ってくる。
それから怪我をしていないか「ひげ猫」を観察する。猫の毛が抜けてその一部がはげていなければ怪我をしていないので、抗生剤を用意する必要はないが、怪我をしていれば、私が使っていた抗生剤の残りを猫用にとって置いてあるので、そのカプセルをから粉末状の抗生剤を少し取り出し、猫の大好物であるチュールと混ぜて与えれば,喧嘩でできた傷もなどすぐに治る。

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