毒親からの解放ストーリー (7)

 以前は何も考えずに『私のお母さんはこわいお母さん』と思っていただけで、どうしてなのかとは考えてもいなかった。それが普通のお母さんの姿だと思っていたからだ。

 友人とそのお母さんとのやり取りを見て以来、学校の図書を借りるときは、母と娘が出てくる物語に自然に手が伸びて、借りるようになった。特に私のお気に入りは、モンゴメリーの若草物語だった。母親と四人の娘の物語を読んでいるうちに、自分と母親の関係はどこか変だと感じ始めた。

 若草物語の母が一人、一人の娘を思い、娘たちも母親を思いやっている物語を読んでいるうちに涙が出るのはどうしてだろう?
母が弟を見る時と私を見る目が違うのは何故なのだろうか? 当時の私は毎日その事を考え続けていた。そのうちに、母に対する不信感を抱くようになっていった。だから母親が喜ぶように良い成績を取ることにも気を配っていった。もちろん母のお手伝いも、母の目につくように家事や買い物などは積極的におこなった。

 そうこうするうち私は中学生になった。 
私の学校は小学校から大学まであったので、進学の為の入試などはない。それで私は学校の勉強より読書を優先した。もちろん自分探しの為だ。だから勉強をしているふりをしながら、隠れて読書をしていたのだ。
 勉強のほうは、テストの一週間前位から集中して暗記するだけでよかった。そうすれば点数を取る事が出来たので、母から文句を言われないようにしながら、喜んでもらえるように、適度に勉強した。
 
 中学校と小学校は同じ図書室を使っていたけれど、中学生になると難しい専門的な本も借りる事ができた。だから家族に関する本や社会情勢の本なども読み始めた。当時、母子心中やコインロッカーベイビーなど子供の命にかかわる問題や家庭内暴力、登校拒否などの子供やその家族の問題などが新聞、マスコミでも取りあげられ始めていた。

 私は興味を持って積極的にそのような記事や本などを読み漁った。そして読みながら驚いた。まさに私の母についての話のように思えたからだ。
 子供を支配するために、外からの情報に触れさせないとか、お金を取り上げて自由に使うことが出来ないようにするとか、暴力を使って恐怖心を植えつけて自信を喪失させるなど```。


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