毒親からの解放ストーリー (10)

 私は今まで、勉強より読書優先の生活をしていたが、自分の目標がハッキリと見えてきたので、今までのような勉強に対する態度を改めて、勉強中心の毎日へとシフトする事に決めたしかしこういう私の心の変化は母には見つからないようにしなくてはならない。だから、いつも通りの時間に帰って、母の手伝いをしなければならないのだ。

 夕飯の支度をするためには遅くとも六時には帰らなければならないので授業中は今まで以上に集中して、先生の言葉は一つも聞き漏らすまいという態度で授業を受けた。 そのために、その日の授業内容はその日のうちに理解することを心がけた。それができない時は、直ぐに先生を追いかけて教えを乞うようにした。

 真剣な授業態度の私に、先生達は驚きながらも、快くレクチャーしてくれた。私は英語と数学は特に力を入れて勉強しなければならないと考えた。大学受験に必須だし、中学からしっかり勉強しておかないと、高校生になって遅れをとってしまうと考えたからだ。

 英語のリーディングや単語の暗記は、机の上でなくとも出来る。小さなノートに単語や慣用句などを書き写し、常にそのノートを持ち歩くと決めた。 
 お湯を沸かしている時や煮物をしている時の隙間時間を利用して暗記した。数学は得意でなかったので、初めからやり直すつもりで勉強をした。つまり初めのページの練習問題を十ページ解いたら、次の日は一ページから二十ページを解く。このように毎日毎日一ページ目から問題を解いていく。するとそのうちに問題を見ただけで腕が勝手に動いて、問題を解く事ができた。

 このやり方を続けているうちに、数学の応用問題を見ただけで、『これはこの問題と、あの問題を合わせたものだからこう解けば良いのだな』
 と瞬時にわかるようになっていった。こんな風に毎日勉強しているうちに、中学三年の終わりには学年一位になった。

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