コロナ日誌1

まんまとコロナに罹患してしまった。もちろんワクチンは3回接種済み。
だが接種対象でない小さな子どもと一緒にいることや、毎日通勤が必須な仕事であることなど複数のリスク要因が相まってどこかで感染してしまったようだ。まさか自分が、というショックはあれど、とりあえず現状は国のしょうもなさを嘆く事くらいはできるのでここに綴る。

ことの発端は今月初旬に遡る。鼻水を出し咳をしている息子の症状をあっさり旦那が引き継ぎ、「おやこれは」と思い抗原検査をさせたら陰性。私も時間を置いて急に喉が痛くなったので「まさかついに」と思いPCRを受けたら陰性だった。「ほんまかいな」と思いながらも次第に回復はしていっている感があったので仕事を続けていたら、鼻水を出していた息子が微熱を出したので看病をし、その5日後に私も鼻水が出始めた。薬をもらいついでに軽い気持ちで念のため再度PCRを受けたらまさかの陽性だった。

何が言いたいかというと、つまりいつどのタイミングでコロナを拾ったのか全くわからない。初旬に陰性判定が出た時に実は隠れ陽性だったのか、息子が微熱を出した時にもらったのか、それとも陽性判定が出る前日に行ったダンスのプライベートレッスンやマッサージ、一人でランチに訪れたレストランで拾ったか。はたまた普通に仕事をしていた職場や市中で感染したか。オミクロンの潜伏期間は1~5日というので、子ども、仕事、ダンス、マッサージ、レストランの全てが容疑者だ。

というわけで、感染した現場がわからないまま10日間の自宅謹慎が始まったが、この間とにかくお役所仕事のいただけなさに辟易した。まずは陽性判定を出した診療所から「保健所から連絡が来るのでその指示に従って下さい」というが、待てど暮らせど連絡はない。都の下請けの下請けの明らかにバイトの関西弁のお姉さんが「熱はありますかー」「家から出ないで下さいー」などペッパーくんが言えそうな文言を淡々と言うが、こちらの「PCR検査場がどこも連絡つかないのだが、濃厚接触者の家族が優先的にPCRを受けられるところはないか」「病状が悪化した時に陽性判定を出した診療所に行けと言うが、その診療所は職場の近くで自宅近くではない。どうすれば良いか」「隔離終了時のPCR検査はどこで受ければよいのか」など聞いても「こちらではわかりかねますー」という。誰かこいつの代わりにペッパーくん連れてきてくれ。全く意味のない電話を切り、疑問点を調べるがどこにも書いてない。PCR検査場、PCR検査を行っている医療機関はどこも電話がつながらない。非常に無駄な時間ばかりが過ぎていく。私は熱ないから良いけど、これ熱ある人無理ゲーじゃない?

そうこうしていると今度は市区町村の担当者から連絡がある。今度は都の担当者よりは使えそうだがそれでも肝心な質問の答えはない。「基本的には陽性判定が出た場所でPCR再検査、薬の処方なんですよね」というので、「それ会社の近くなんですけど陰性結果出てないのに電車乗っていいんですか。そもそもその時体調悪くても外出ないといけないんですか」と聞くと、「疑問点は保健所に問い合わせてください」と上に丸投げする。もしかしてこれ答え用意されてないのか?そして保健所からきた連絡は、熱や体調をフォームに書き込んで毎日連絡せいという一方的なSMS連絡だけであり、このフォームの初期設定がまたくそめんどくさい。設定するのに30分くらいかかる。だからこれ熱ある人無理だってば。

そして陽性判定から2日後、やっとの思いで予約が取れたPCR会場に旦那と息子が車で向かうが、1時間かけて行ったPCR会場は濃厚接触者不可とのことですごすごと帰ってきた。子ども可濃厚接触者可のPCR検査場は驚く程少なく、やっと連絡が取れた場所は「症状がある人だけなんですよ」という。子どもは鼻水が出ているので良しとして、旦那は特に症状はない。「だるくて味覚障害あることにしとけ」となり、ようやく受診が出来た。結果は陰性だったが、10日後にこれをまたやるのかと思うと反吐が出そうだった。マスクの教訓どこ行った??

隔離から5日経ち、症状は何も変わらない。薬が切れたらどこで受診出来るのかもわからないのでうかつに薬も飲み干せない。そもそもコロナなら一般の薬意味なくない?治療薬そういえばどうなった?まだ瀕死の人しか飲めないの?パクスロイド、アメリカとか普通に処方されてるよね?厚労省、忙しいのはわかるけどしなくていい仕事ばかりでしなきゃいけない仕事してなくない?と色々むかむかとしてくる。陽性になったバイデン大統領が陰性になった後再び陽性になったというニュースも入り、え、それじゃあ10日経ってPCR受けて陰性でもまた陽性になる可能性あるってこと?と混乱もする。このシステムもう破綻してないか?そもそもPCRの精度はどの程度のものなのか?諸々色々信じられなくなる。

以上がコロナ隔離期間5日間の感想だ。国に見捨てられたような気がするが、もはやコロナになったやつが悪いんだから自分で寝て治せということだろう。それで陰性になって再び日常生活を送って隠れ陽性になっても知らんということなようなので、こんなんじゃ感染者数は減らないし、実数が減っても実態は増え続ける、ということが続くだろうなあと思う。

で、5日間何をしているかというと自宅の寝室を隔離部屋にし、ご飯は旦那にドアの前に運んでもらい日中子どもの世話も全部任せられるという想定以上のパラダイスに身を置いている。軽症者に限って言えばコロナ患者よりコロナ患者の家族の方が大変だ。とりあえずセックス・アンド・ザ・シティーの続編であるアンド・ジャスト・ライク・ザットを一日で全部見終え、ドライブ・マイ・カーと総理の夫というこれ以上ないクソ映画を立て続けに見て胸くそ悪くなり、それ以外は横山光輝の三国志を読みふけっている。完全なる引きこもり人間だ。外に出られない、身体を動かせない以外の不都合が全くなく、社会復帰が恐ろしくなる。

そしてふと、もし仮に自分がこれで死んだとしても私は人生に全く悔いがないな、と思った。旦那は「ふらふら出歩くから陽性になるんだ・・」と言いたげだが、仮に仕事先で罹患したとしてもダンスレッスンで罹患したとしても、どちらも自分がやりたくてやっていたことなのだから全く後悔がないと思った(そもそも息子はPCR陰性だが、症状発症から1週間経っているので自然治癒した可能性も排除出来ない)。そして隔離している間息子は「ママに会いたい!」と泣き叫ぶかと思いきや全くそれはなく現状を受け入れており、「ああこの子は私がいなくても大丈夫」と確信した。しっかりしたもんだ。自分の人生間違ってなかったと思えたことは幸せなことだと思った。





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